金属材料は建築物、自動車、電子機器、工作機械、工具など部品から製品まで、幅広く私たちの身近で様々なところに使用されています。金属材料のその特性を生かして製品設計する場合、金属の基礎的な加工方法や材料組織を理解することが必要です。一方、もしこれら金属材料が破損した場合、人命にかかわる重大な事故が発生します。金属の破損・不具合として疲労破壊や腐食があります。疲労破壊は大きな変形を伴わず、ミクロレベルの小さな欠陥から大きな破損につながります。金属加工においては、高性能なソフトウェアや機械設備を導入すれば、良い製品が自動的に出来るということはなく、永く蓄積された実績が重要になります。
1.金属加工とは
金属加工とは、金属を目的の形にする為に行う加工全般を指します。
金属加工の種類
金属加工の種類は大きく「変形加工」、「除去加工」、「付加加工」の3つに分けられ、それぞれに様々な工程があります。
2.変形加工
変形加工は、金属材を除去することなく変形させる工程です。主な方法として以下のものがあります。
1,鋳造
2,塑性加工
3,板金加工
鋳造
鋳造は材料を融点以上に加熱し溶かしたものを型に流し込んだのち冷却して目的の形に変形させるものです。
塑性加工
塑性加工は材料の塑性(力を加えた際に永久変形を生じる性質の事)を利用して目的の形に変形させるものです。以下のような種類がある。
- 鍛造
- 押し出し
- 圧延
- 引き抜き
- プレス
- ぎょう鉄
3.除去加工
除去加工は、最終的な形状において不要である部分を取り除いて加工するものです。鋸での切断や、ドリルでの穴あけ、ガスによる切断、電子基板などで用いられる化学薬剤により不要部分を取り除くエッチングなど様々なものがあります。
ここでは機械による切削加工の一部を紹介します。
1,機械加工
2,旋盤加工
3,ネジ切り加工
4,切削加工
機械加工
機械加工は各種機械で材料の不要部分を取り除くことで形を作るものです。フライス盤やドリル、リューターなどが機械の一例です。
旋盤加工
旋盤加工は機械加工の中で特に旋盤を用いて行う加工の事です。
ネジ切り加工
ネジ切り加工は、タップ(雌ネジ)ダイス(雄ネジ)を使ってネジ切りを行うものです。
研削加工
研削加工は材料を削って形を作る加工の事で、砥石車やグラインダーなどが使われます。
4.付加加工
付加加工は、最終的な形状にむけて必要な部分を接合し加工するものです。以下のように大別できます。
1,機械的接合…ネジやリベットでなど接合具を用いるもの
2,冶金的接合…溶接、ろう付け、はんだ付けなどにより接合するもの
3,接着接合…各種接着剤により接合するもの。ファンデルワールス力を用いるものが多い。ここでは冶金的接合の種類について紹介します。
冶金的接合の主なもの
- 溶接
- ロウ付け
- はんだ付け
溶接
溶接は金属材同士を金属や熱可塑性物質で溶かして一体化させる加工です。熱だけでなく、熱と同時に圧力を加えて溶かすものもある。
ロウ付け
ロウ付けは接合に使う金属を450℃以上の...