今回は、断面が一定の形をしたプラスチック成型品を連続的に成形する押出成形の概要を解説します。
1.押出成形とは
押出成形とは、加熱、融解された樹脂を型の中から押出し、そのまま冷却して固化させて成形する方法をいいます。型内部での樹脂の冷却を伴わないで、投入口より入れられた材料がシリンダー内で加熱され、金型の押し出し口を通過させて一定の形状を成形する方法です。これは、断面形状が変化しない成形物を連続的に成形するのに適しています。
成形の種類は樹脂の可塑化、圧力のかけ方により様々なものがありますが、スクリューによる押出法が一般的です。スクリューの形式としては、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機(硬質塩ビ管用)、特殊押出機(ペレット化用)等があります。樹脂をスクリューによって押し出す点では射出成形と同じですが、射出成形は金型内に射出して形を与えるのに対し、押出成形では押出口の形状で賦形します。
射出成形の場合、肉厚製品ではヒケが発生しやすいのですが、可塑化した樹脂が固化する過程で圧力をかけることができる押出成形では、肉厚製品でも樹脂が固化する際の体積収縮による表面の収縮の痕や凹みである「ヒケ」の発生を防止することができます。
2.押出成形の仕組みと工程
押出成形の設備は、押出機、サイジングダイ、冷却・引取・切断装置からなります。
押出成形の特徴は、製品のどこを切断しても同一断面形状であることです。丸い形状の押し出し口であれば丸棒が製造され、ドーナツ形状の金型ではパイプの形状の製品が出来上がります。
食品に例えると、生クリームの絞り金をイメージするとわかりやすいと思います。金型の押し出し口を様々な形状のものに変えることで目的の形状を成形でき、製品の表面が滑らかで仕上げが不要という長所があります。
押出成形の設備は複雑で加工が難しそうにも見えますが、金型の設備を交換するだけで樹脂の形状を自由に連続的に安定して成形することができるため、合成樹脂の合理的な加工方法のひとつです。
押出成形では、樹脂ペレットをヒーターを使って加熱・溶解させながら金型内に押し込んでいきます。その後、金型から溶解プラスチックを冷却固化させて成形が完了します。
溶解プラスチックは金型から絶えず出てくるため十分な冷却時間を確保できないので、成形物が変形しないように支えながら冷却するサイジングダイ装置を通します。
サイジングダイ後は水槽を通り、必要なサイズにカットされていきます。柔らかい製品や薄板は巻き取ってドラム成形することもあります。設備は工程のほとんどを自動で行うため、効率よく生産することができます。
3.押出成形の種類、特徴、用途
押出機を用いた成形方法の種類、特徴、用途です。
【Tダイによるフィルム押出】
シート押出において、ダイ部分をハンガー形状にして薄いシートを成形します。異種材料のラミネーションに利用されています。
【丸棒押出】
パイプ状の成形では二重円筒状のダイを用いますが、丸棒は円筒状ダイを用います。丸棒押出では、固化収縮による丸棒中心のボイド(冷却過程では、外側から冷却され、外側から徐々に固化するため、外側に引っ張られるため)発生もあるので、サイジングダイの設計が重要となります。各種丸棒材に利用されています
【インフレーション法によるフィルム押出】
溶融樹脂を環状ダイから円筒状に押し出し、空気を吹込みフィルムを成形します。 空気吹き込みで直径方向にのばして、巻き取り方向にも引き伸ばすことで、2軸に延伸されて強いフィルムが得られます。
【シート押出】
ダイから押し出された樹脂をロールで冷却させながら成形します。食品容器、建材等、各種シート類が用途です。
【ワイヤ等の被覆押出】
溶融樹脂をコーティングする方法で、クロスヘッドダイの中心に通されているものに樹脂コーティングをします。 電線、金属製の撚り線への被覆に利用されています。
【押出発泡成形】
シリンダー...