潜在ニーズとは

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潜在ニーズ

 

大きな顧客価値を創出する製品の多くは、革新的な製品です。この大きな顧客価値を創出する上で、研究開発部門は社内で最も大きな責務を負っています。一方、研究開発部門は心理的に経営プロセスと遠いところに位置しており、顧客価値を創出するには課題を抱えています。この課題を解決するには、研究開発部門をマーケティング志向に変えることです。今やマーケティングは、研究開発部門が備えておかなければならないというレベルの話ではなく、企業存続のための必須能力です。このような背景を踏まえて、今回は、潜在ニーズの解説です。

◆関連解説記事『商品企画七つ道具:潜在ニーズ発掘とは』

 

1.  潜在ニーズとは

潜在ニーズは、顧客が顕在しているニーズではなく、見えていないニーズや語られていないニーズや諦めたニーズです。

 

魅力品質創造のためには第一段階として顧客の基本的要件へ適合します。第二段階として顧客満足の実現である顧客の顕在要求を実現します。第三段階として魅力品質創造である顧客歓喜のための顧客の潜在要求を実現します。

 

記憶は潜在意識と顕在意識の中で混沌としていますが、そのほとんどは顕在意識の欲求を満たして満足しています。上述のように顕在ニーズをマーケティングの商品企画に用いるのは必須ですが、商品が成熟してもので溢れている中では、既に顕在化されているニーズに対応した商品は製品化されています。そこで次には潜在ニーズを見つけることが重要になります。潜在ニーズを見つけるにはどのようなアプローチがあるでしょうか。

 

潜在意識の中に潜在ニーズは含まれていますので、まずは、潜在意識へ入り込みます。その方法として5W1Hを使って仮定質問をすると、人間の記憶の中で潜在意識に入ることができます。記憶を引き出すためにこれらの質問を繰り返す中で、潜在意識に接近できます。昔の記憶を甦らせることや体験させることによって潜在ニーズを引き出すのです。

 

5W1Hを使って仮定質問を有効に使い、インタビュー調査やグループインタビューを実施する事が効果的です。

 

◆関連解説:インタビュー調査、評価グリッド法とは(その1)

 

2.  ニーズ(欲求)とウォンツ(望み)

商品開発は顧客のウォンツ(望み)を取り入れ、さらにニーズ(欲求)を満たすことによって、新しい価値が生まれます。顧客要望が大きな顧客価値になります。

 

マズローの欲求五段階説では、欲求は次のように高くなります。第一段階:生理的欲求、第二段階:安全欲求、第三段階:社会的欲求、第四段階:自我欲求、第五段階:自己実現欲求。

 

前述のマズローの言葉に金槌しかもっていないと、全ての問題は釘に見える。というものがあります。限定的な思考パターンから脱皮してその思考パターンに拘泥してしまうことなく、潜在ニーズを模索することです。

 

3.潜在ニーズの引き出し方

顧客の潜在ニーズを発掘するためには、顧客自身が気づいていないニーズと気づいていてもそのイメージが曖昧なニーズを見つける必要があります。では、なぜ潜在ニーズの発掘が必要なのでしょうか、それは、顕在ニーズでは他社の差別化になりにくく、成熟社会においては顧客の要求は満たされている可能性があり、急激な社会、環境の変化に顧客要求が追いつていないからです。魅力的品質を創造するためには顕在ニーズだけでは物足りないのです。

 

潜在ニーズは顧客から発言された要望だけではないため、次のようなアプローチで潜在ニーズを発掘します。それは、顧客の行動プロセスを洞察して、顧客になりきりニーズを考えます。そして、顧客の本質的価値・表層的価値など価値の側面の捉え直しを行います。

 

ここでは顧客と一体となった、カスタマージャーニーのような行動プロセスの観察の仕組みづくりと情報収集した後のニーズの精査が必要です。顧客との接点が多い担当者を参集して、顧客の行動を収集する仕組みを構築します。例えば、BtoCメーカーにおいては、自社モニターを活用して、製品を使う様子の行動プロセスを把握するなどです。また、BtoBメーカーにおいては、自社の現場従業員を活用して、工場における動作をモニター観察するなどです。BtoBの場合は、特に価値創造において社会的ニーズを達成する必要もあります。社会的ニーズとは環境問題、CO2削減、SDGs対応、脱プラなど社会的要請を劇的に変化させることも重要です。

 

実際に潜在ニーズを満たした商品は、誰も見たことがないようなニーズを発掘したものなので、顧客から「こんな商品を開発してくれたのだ」と共感と感謝を生みます。例えば、ライブカメラ、ICT、行動履歴、GPS、SNSなどを活用して顧客の声を収集します。

 

さらなる潜在ニーズの発掘のためには一企画担当者だけの情報収集ではなく、顧客と企業、サプライチェーン、組織が顧客要望を発掘するための継続的な仕組みを作るとよいでしょう。

 

4.潜在ニーズの見つけ方

新事業を始めるときは、速い馬を見つけるのではなく車を作る思考によって、優位性を持った商品を開発する必要があります。では、潜在ニーズの見つけ方は、具体的にどうしたら良いでしょうか。

 

(1)顧客にヒアリング

顧客に対してヒアリングを実施するときは、以下の2点が重要になります。

 

【誰にヒアリングするのか】

ここでよくある間違いは、既存顧客にヒアリングを行い、否定的な意見が返ってきて諦めてしまうということです。既存顧客は、現状のサービスに疑問を抱いていないことが多いのです。そこで、以下のような顧客以外の人たちからヒアリングを行います。

 

<共に商品を開発する協力会社>

共に商品を開発する協力会社であれば、利益や損失を分け合うため、正直な意見が返ってきます。

 

<商品のターゲットになることが予想される見込み顧客>

現状取引がない見込み顧客からは、率直な意見を聞ける機会が増えます。

 

マーケティングでは、新商品や新サービスに利用メリットがあると分かれば、それらを積極的に活用するユーザが存在することは広く知られています。このような見込み顧客層は、ベンチャー企業などのお客様に多いので、そのようなベンチャー企業とのつながりを持つことが大切です。

 

【どの...

潜在ニーズ

 

大きな顧客価値を創出する製品の多くは、革新的な製品です。この大きな顧客価値を創出する上で、研究開発部門は社内で最も大きな責務を負っています。一方、研究開発部門は心理的に経営プロセスと遠いところに位置しており、顧客価値を創出するには課題を抱えています。この課題を解決するには、研究開発部門をマーケティング志向に変えることです。今やマーケティングは、研究開発部門が備えておかなければならないというレベルの話ではなく、企業存続のための必須能力です。このような背景を踏まえて、今回は、潜在ニーズの解説です。

◆関連解説記事『商品企画七つ道具:潜在ニーズ発掘とは』

 

1.  潜在ニーズとは

潜在ニーズは、顧客が顕在しているニーズではなく、見えていないニーズや語られていないニーズや諦めたニーズです。

 

魅力品質創造のためには第一段階として顧客の基本的要件へ適合します。第二段階として顧客満足の実現である顧客の顕在要求を実現します。第三段階として魅力品質創造である顧客歓喜のための顧客の潜在要求を実現します。

 

記憶は潜在意識と顕在意識の中で混沌としていますが、そのほとんどは顕在意識の欲求を満たして満足しています。上述のように顕在ニーズをマーケティングの商品企画に用いるのは必須ですが、商品が成熟してもので溢れている中では、既に顕在化されているニーズに対応した商品は製品化されています。そこで次には潜在ニーズを見つけることが重要になります。潜在ニーズを見つけるにはどのようなアプローチがあるでしょうか。

 

潜在意識の中に潜在ニーズは含まれていますので、まずは、潜在意識へ入り込みます。その方法として5W1Hを使って仮定質問をすると、人間の記憶の中で潜在意識に入ることができます。記憶を引き出すためにこれらの質問を繰り返す中で、潜在意識に接近できます。昔の記憶を甦らせることや体験させることによって潜在ニーズを引き出すのです。

 

5W1Hを使って仮定質問を有効に使い、インタビュー調査やグループインタビューを実施する事が効果的です。

 

◆関連解説:インタビュー調査、評価グリッド法とは(その1)

 

2.  ニーズ(欲求)とウォンツ(望み)

商品開発は顧客のウォンツ(望み)を取り入れ、さらにニーズ(欲求)を満たすことによって、新しい価値が生まれます。顧客要望が大きな顧客価値になります。

 

マズローの欲求五段階説では、欲求は次のように高くなります。第一段階:生理的欲求、第二段階:安全欲求、第三段階:社会的欲求、第四段階:自我欲求、第五段階:自己実現欲求。

 

前述のマズローの言葉に金槌しかもっていないと、全ての問題は釘に見える。というものがあります。限定的な思考パターンから脱皮してその思考パターンに拘泥してしまうことなく、潜在ニーズを模索することです。

 

3.潜在ニーズの引き出し方

顧客の潜在ニーズを発掘するためには、顧客自身が気づいていないニーズと気づいていてもそのイメージが曖昧なニーズを見つける必要があります。では、なぜ潜在ニーズの発掘が必要なのでしょうか、それは、顕在ニーズでは他社の差別化になりにくく、成熟社会においては顧客の要求は満たされている可能性があり、急激な社会、環境の変化に顧客要求が追いつていないからです。魅力的品質を創造するためには顕在ニーズだけでは物足りないのです。

 

潜在ニーズは顧客から発言された要望だけではないため、次のようなアプローチで潜在ニーズを発掘します。それは、顧客の行動プロセスを洞察して、顧客になりきりニーズを考えます。そして、顧客の本質的価値・表層的価値など価値の側面の捉え直しを行います。

 

ここでは顧客と一体となった、カスタマージャーニーのような行動プロセスの観察の仕組みづくりと情報収集した後のニーズの精査が必要です。顧客との接点が多い担当者を参集して、顧客の行動を収集する仕組みを構築します。例えば、BtoCメーカーにおいては、自社モニターを活用して、製品を使う様子の行動プロセスを把握するなどです。また、BtoBメーカーにおいては、自社の現場従業員を活用して、工場における動作をモニター観察するなどです。BtoBの場合は、特に価値創造において社会的ニーズを達成する必要もあります。社会的ニーズとは環境問題、CO2削減、SDGs対応、脱プラなど社会的要請を劇的に変化させることも重要です。

 

実際に潜在ニーズを満たした商品は、誰も見たことがないようなニーズを発掘したものなので、顧客から「こんな商品を開発してくれたのだ」と共感と感謝を生みます。例えば、ライブカメラ、ICT、行動履歴、GPS、SNSなどを活用して顧客の声を収集します。

 

さらなる潜在ニーズの発掘のためには一企画担当者だけの情報収集ではなく、顧客と企業、サプライチェーン、組織が顧客要望を発掘するための継続的な仕組みを作るとよいでしょう。

 

4.潜在ニーズの見つけ方

新事業を始めるときは、速い馬を見つけるのではなく車を作る思考によって、優位性を持った商品を開発する必要があります。では、潜在ニーズの見つけ方は、具体的にどうしたら良いでしょうか。

 

(1)顧客にヒアリング

顧客に対してヒアリングを実施するときは、以下の2点が重要になります。

 

【誰にヒアリングするのか】

ここでよくある間違いは、既存顧客にヒアリングを行い、否定的な意見が返ってきて諦めてしまうということです。既存顧客は、現状のサービスに疑問を抱いていないことが多いのです。そこで、以下のような顧客以外の人たちからヒアリングを行います。

 

<共に商品を開発する協力会社>

共に商品を開発する協力会社であれば、利益や損失を分け合うため、正直な意見が返ってきます。

 

<商品のターゲットになることが予想される見込み顧客>

現状取引がない見込み顧客からは、率直な意見を聞ける機会が増えます。

 

マーケティングでは、新商品や新サービスに利用メリットがあると分かれば、それらを積極的に活用するユーザが存在することは広く知られています。このような見込み顧客層は、ベンチャー企業などのお客様に多いので、そのようなベンチャー企業とのつながりを持つことが大切です。

 

【どのようにヒアリングするか】

すでに商品のアイデアが固まっているなら、その商品についての率直な意見を聞けばよいのですが、ヒアリングの段階ではあまり固定観念を持たずに顧客の不満や愚痴などを聞き出すことです。愚痴や不満を解消することが、新しい商品のアイデアとなるのです。

 

5.潜在ニーズのまとめ

VUCAの時代、予測困難な状況下で企業が生き残り、勝ち続けるためには、ターゲットである顧客の潜在ニーズを引き出すための質問スキルを持つことが必要です。市場ニーズをとらえるために、社内において営業やマーケティング部隊と一緒に討議する活動も必要です。しかし、売りたい・開発したい商品企画といった、自社にとって都合がいい仕様ありきで進んでしまう危険が潜んでいます。

 

質問力は一朝一夕には獲得できません。日々の業務の中でそれを高めて、顧客の潜在ニーズを引き出す質問スキルを強化することは重要です。潜在ニーズを顧客から引き出すためにはオープンクエスチョンを使い、顧客の不満・不快をキーワードとして吐き出してもらうことから始め、キーワードをつなげてまとめることで、潜在ニーズをとらえる商品へとつながります。

 

◆関連解説:グループインタビューとは

  

 

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この記事の著者

石川 朋雄

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。


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