レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

更新日

投稿日

レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

 

「現状レイアウトの問題点を、確認する方法がわからない」「工場内で歩く距離が長いけど、どうしてなんだろうか?」「工場内の運搬効率をよくしたい」、このような悩みに対して、工場のレイアウトを設計する場合や、現状レイアウトの運搬効率を高めための検討方法を解説します。今回は、レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とアナログな方法として万歩計による改善です。

 

【目次】
     

    ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめてご紹介!

     

    1.工場のレイアウトを改善する

    現場を歩き回っている人が多いと、工場は忙しそうに見えますが、実際は効率が悪いことも多いものです。製造現場では「歩くことはムダなこと」とも言われます。歩いている間は、何も生産できていないため、効率が悪いという意味です。そこで、運搬作業や歩行時間を改善する対策が取られるのです。

     

    2.DI分析とは

    DI分析とは、製造工程において製品等の運搬回数(Intensity:強度)と運搬距離(Distance)の分析を行い、レイアウトや運搬作業、歩行時間などを改善する分析方法です。

     

    【DI分析の手順】

    • 運搬作業や歩行の回数と距離を調べる
    • データを表にまとめる
    • グラフ化する

    上記の手順が完了したイメージを、次に示します。

     

    レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

     

    左側の表は、各作業ごと回数と距離の関係をまとめたものです。右側の図形はDI分析図で、各作業をプロットし、近似曲線を追加したグラフです。DI分析図では、右上に行けば行くほどムダが多く(効率が悪い)、左下に行けば行くほどムダが少なくなります。

     

    (1)DI分析図で右上の作業を見直す

    DI分析図では、改善箇所が一目でわかります。(グラフの右上に行けば行くほどムダが多い)

     

    レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

     

    今回のDI分析図では、包装材の運搬、部品Bの運搬、包装工程への運搬に、ムダが多いことが分かります。ムダが多い作業を個別に改善していきます。

    【改善方法の例】

    • 運搬作業を見直す・・・・・・・・・・・・・作業を無くせないかを検討する、コンベアなどを設置し自動でモノを運ぶなど
    • 運搬方法を見直し、運搬方法を減らす・・・・専用台車やフォークリフトを使うなど
    • 保管場所を変更し、運搬距離を短くする・・・運搬回数が少ない部品と、保管場所を交換する、レイアウトを変更するなど
    • 運搬ルートを見直し、運搬距離を短くする・・最短距離で運搬できるように、扉や設備のレイアウトを変更する

     

    (2)DI分析図は作らなくてもいい

    DI分析は、グラフに落とし込まなくても使用できます。分析する作業が多い場合は、グラフ化するとプロットが多くなり過ぎて、わかりにくくなる場合もあります。その場合は、DI値(回数×距離の値)だけで判断することも可能です。

     

    レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

     

    DI分析は、比較的簡単にできる生産工学の手法です。運搬作業が多い現場では、一度分析してみると、新しい発見があるかもしれません。

     

    3.歩数測定による作業改善

    DI分析は運搬や歩行を定量的に分析することに役に立ちますが、繰り返し行う作業でない場合は、うまく分析できないことがあります。また、作業者によるバラツキでも、分析精度は落ちます...

    レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

     

    「現状レイアウトの問題点を、確認する方法がわからない」「工場内で歩く距離が長いけど、どうしてなんだろうか?」「工場内の運搬効率をよくしたい」、このような悩みに対して、工場のレイアウトを設計する場合や、現状レイアウトの運搬効率を高めための検討方法を解説します。今回は、レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とアナログな方法として万歩計による改善です。

     

    【目次】
       

      ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめてご紹介!

       

      1.工場のレイアウトを改善する

      現場を歩き回っている人が多いと、工場は忙しそうに見えますが、実際は効率が悪いことも多いものです。製造現場では「歩くことはムダなこと」とも言われます。歩いている間は、何も生産できていないため、効率が悪いという意味です。そこで、運搬作業や歩行時間を改善する対策が取られるのです。

       

      2.DI分析とは

      DI分析とは、製造工程において製品等の運搬回数(Intensity:強度)と運搬距離(Distance)の分析を行い、レイアウトや運搬作業、歩行時間などを改善する分析方法です。

       

      【DI分析の手順】

      • 運搬作業や歩行の回数と距離を調べる
      • データを表にまとめる
      • グラフ化する

      上記の手順が完了したイメージを、次に示します。

       

      レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

       

      左側の表は、各作業ごと回数と距離の関係をまとめたものです。右側の図形はDI分析図で、各作業をプロットし、近似曲線を追加したグラフです。DI分析図では、右上に行けば行くほどムダが多く(効率が悪い)、左下に行けば行くほどムダが少なくなります。

       

      (1)DI分析図で右上の作業を見直す

      DI分析図では、改善箇所が一目でわかります。(グラフの右上に行けば行くほどムダが多い)

       

      レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

       

      今回のDI分析図では、包装材の運搬、部品Bの運搬、包装工程への運搬に、ムダが多いことが分かります。ムダが多い作業を個別に改善していきます。

      【改善方法の例】

      • 運搬作業を見直す・・・・・・・・・・・・・作業を無くせないかを検討する、コンベアなどを設置し自動でモノを運ぶなど
      • 運搬方法を見直し、運搬方法を減らす・・・・専用台車やフォークリフトを使うなど
      • 保管場所を変更し、運搬距離を短くする・・・運搬回数が少ない部品と、保管場所を交換する、レイアウトを変更するなど
      • 運搬ルートを見直し、運搬距離を短くする・・最短距離で運搬できるように、扉や設備のレイアウトを変更する

       

      (2)DI分析図は作らなくてもいい

      DI分析は、グラフに落とし込まなくても使用できます。分析する作業が多い場合は、グラフ化するとプロットが多くなり過ぎて、わかりにくくなる場合もあります。その場合は、DI値(回数×距離の値)だけで判断することも可能です。

       

      レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

       

      DI分析は、比較的簡単にできる生産工学の手法です。運搬作業が多い現場では、一度分析してみると、新しい発見があるかもしれません。

       

      3.歩数測定による作業改善

      DI分析は運搬や歩行を定量的に分析することに役に立ちますが、繰り返し行う作業でない場合は、うまく分析できないことがあります。また、作業者によるバラツキでも、分析精度は落ちます。そこで、単発作業や作業者のバラツキを把握する手段として、歩数による測定と併用するという方法があります。少しアナログな方法ではありますが、作業者に万歩計を付けて、歩いている時間を測定して改善する方法です。

       

      レイアウトを改善するための分析法(DI分析)とは

       

      万歩計で歩数を測定するメリットは、歩くことのムダを把握できることです。1歩あるくことは、0.7秒のムダに相当します。そのため、もし1日に7,000歩あるいているなら、1日に1時間20分も歩行に時間を使っていることになります。

       

      4.今回のまとめ

      工場のレイアウトを改善する方法に、DI分析という手法があります。DI分析とは、製造工程において製品等の運搬回数(Intensity:強度)と運搬距離(Distance)の分析を行い、レイアウトや運搬作業、歩行時間などを改善する方法です。またアナログな方法で、万歩計を付けて歩数を調べるという手段もあります。もし、あなたの工場が、歩き回ることが多い現場でしたら、万歩計で歩数を測定してみてはいかがでしょうか?スマホアプリでも簡単にできますので、初期費用はゼロで、検証ができます。

       

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      清岡 大輔

      工場の保全業務をアシストします。弊社保全ラボは、あなたの工場の保全パーソンです。①設備管理の設計・計画を支援します。 ➁トラブルの原因を調査します。 ③地球環境と調和する設備管理のあり方を創造します。

      工場の保全業務をアシストします。弊社保全ラボは、あなたの工場の保全パーソンです。①設備管理の設計・計画を支援します。 ➁トラブルの原因を調査します。 ③地...


      「生産工学」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      モデルベース開発とは

        組込みシステムは、通信・安全制御・医療・ロボット・自動車・産業機器・家庭用電化製品まで、幅広く利用されています。特に自動車では電子部品...

        組込みシステムは、通信・安全制御・医療・ロボット・自動車・産業機器・家庭用電化製品まで、幅広く利用されています。特に自動車では電子部品...


      高付加価値創出のための最適金型技術とは

        1. 各種金型の費用・生産数の関係  国内市場が縮小する中、海外市場へ成長の活路を求めて企業の海外進出が加速しています。とりわけ、 モノ...

        1. 各種金型の費用・生産数の関係  国内市場が縮小する中、海外市場へ成長の活路を求めて企業の海外進出が加速しています。とりわけ、 モノ...


      不確かさの定義 計測の精度と不確かさとは(その4)

           【計測の精度と不確かさとは 連載目次】 「精度」とは 計測条件の影響 計測信頼性の評価全般の課題 ...

           【計測の精度と不確かさとは 連載目次】 「精度」とは 計測条件の影響 計測信頼性の評価全般の課題 ...


      「生産工学」の活用事例

      もっと見る
      国際プラスチックフェアー(IPF JAPAN 2017)展示会レポート(その6)

       前回のその5に続いて解説します。   6. 繊維強化の2  東芝機械は、ガラス繊維とPA樹脂からなる熱可塑性プレプリグ(資料では繊維強化熱可塑...

       前回のその5に続いて解説します。   6. 繊維強化の2  東芝機械は、ガラス繊維とPA樹脂からなる熱可塑性プレプリグ(資料では繊維強化熱可塑...


      マシニングのバイス段取りの樹脂ハンマーの使い方とは

       今回は、マシニング加工のバイス段取りにおいて、普段当たり前のように使っている樹脂ハンマーについて解説します。まず良くない使い方とは、次のような状態です。...

       今回は、マシニング加工のバイス段取りにおいて、普段当たり前のように使っている樹脂ハンマーについて解説します。まず良くない使い方とは、次のような状態です。...


      スモールスタートで始めるDX ~ PDCAサイクル高速化で品質・生産性向上

        デジタル技術で現場リーダーの身近な課題を解決 高崎ものづくり技術研究所 濱田 金男氏 【目次】 【アーカイブ動画のご...

        デジタル技術で現場リーダーの身近な課題を解決 高崎ものづくり技術研究所 濱田 金男氏 【目次】 【アーカイブ動画のご...