サプライチェーン全体のリードタイムと在庫を削減する全体最適の構築方法論がバーチャル・インテグレーションです。このとき、業務連鎖とストック(在庫)ポイント、すなわち資材調達先、外注先、販社を経由して最終顧客に届くまで自社の業務連鎖を超えて描く必要があります。
サプライチェーン上の業務連鎖と在庫ポイントと移動距離はどれくらいあるでしょう。自社のサプライチェーンの一部が外注されていれば、往復すると4か所在庫ポイントが多いことになります(自社出庫→外注先の入庫→外注先の出庫→自社入庫)。外注先の資材の購入先を含めれば、在庫ポイントはさらに多くなります。
全体の広い視点でモノの流れを分析しなければ、サプライチェーンマネジメントは有効に成立しません。戦略的な自由度つまり打てる手の数を大きくするためにも、自社だけではなく上流の部品メーカー・さらにその上流の素材メーカー・金型メーカーからの供給連鎖をモデル化して、可視性を上げることが重要です。
このサプライチェーン時代において、「運命もろとも」の事態を回避するためにも、護送船団のもたれ合いを単に過去の延長として持続することは禁物です。サプライヤーとして既存の系列取引先などが果たして良いのかどうか、自社のキャッシュフローが向上するためのパートナーの棚卸評価が必要です。
赤字部門が赤字部門へもたれ合う構造の急速な廃止は、大手総合家電メーカーで顕著になりました。次の新技術・新商品による産業の進化は、部品メーカーが親会社や系列に過去の延長で依存できないという現実によって生み出されています。
ロジスティクスをベスト・イン・クラスのサプライヤーにアウトソーシングして、デル・コンピュータはパソコンの部品・OSに特化するビジネスモデルを短期に作り上げました。バーチャル・インテグレーションのサプライチェーン経営モデルを可能にしたのは、インターネット技術とERP/SCMのソフトウエア技術です。
米国に比べて日本の製造業経営における...