製造業における5sとは?効果から進め方まで徹底解説!

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【目次】

     

    1. 5Sとは

    5S(ゴエス)とは、主に製造系企業が生産効率向上のために行っていた「整理、整頓、清掃」の活動に「清潔・しつけ(躾)」を加えたもので、各項目の頭文字「S」から名付けられた日本発祥の管理技術の一つであり、安全衛生活動の基本です。

    5Sの源流については諸説ありますが、トヨタ自動車が行っていたインダストリアル・エンジニアリング(IndustrialEngineering)を用いた生産性改善に関する活動から生まれたジャストインタイム(Just in time:JIT)が確立する中で形作られた技術です。

    5Sの徹底を図ると、職場をよく見るようになり、問題点などの顕在化が進んで、職場の安全性向上の他、業務の効率化、不具合製品の流出の未然防止などの効果があります。

    整理

    必要なモノと不要なモノを区別し、不要なモノを処分すること。職場に必要なモノ以外は、一切置かない。
    →具体的には職場で不要なモノの基準を定める、不要なモノに印を付けて誰の目で見てもわかるようにする、不要の印が付けられたモノの評価、対処を行うなどです。

    整頓

    必要なモノが誰にでも、すぐに取り出せる状態にしておくこと。探すムダを省く。
    →具体的にはモノを探す行為、運ぶ行為を無くすことを目的にモノの配置を改善する、標準化を行うなどです。

    清掃

    整理・整頓・清掃を徹底すること。この3つの実行で、清潔な職場環境を保つことができる。
    →具体的には清掃の基準を定める、ゴミなし、ヨゴレなしの状態にするなど。

    なお、清掃はその目的に応じて日常清掃、点検清掃、保全清掃の3つに分類することができます。職場に応じた3つの清掃の基準を定め標準化する事で持続的で円滑な清掃を実施することができるようになります。

    [清掃の3分類]
    日常清掃 定めた基準に適合したゴミなし、汚れなしの「綺麗」な状態を維持する清掃
    点検清掃 異常や変化などを感知する事を目的とした清掃
    保全清掃 改善を目的とした清掃

    清潔

    整理・整頓・清掃の基準を定めて徹底する。この3つを実行することにより、清潔な職場環境を保つことができます。
    →具体的には、「清潔」という単語は行為を指すものではなく状態を表すものであることから、「整理・整頓・清掃(3S)」を継続する事となります。

    しつけ(躾)

    決められたことを、決められたとおり正しく実行できるように習慣づけること。
    →具体的には職場のルール・規律を策定、更新する事、職場のルール・規律を守る事、4つのSを習慣づける事などです。

    2. 5Sの目的

    5Sの目的は「Q(品質)・C(コスト)・D(納期)の改善」です。

    • Q:Quality(クオリティ/品質)
    • C:Cost(コスト/原価)
    • D:Delivery(デリバリー/納期)

    5Sの目的である「QCDの改善」をより具体的に挙げると以下の3点になります。

    • 業務効率化
    • 職場環境の改善
    • 安全性の確保

    5Sの目的1:業務効率化

    必要なモノが、どこにあるかわかる状態にすることで、ムダ時間を削減します。結果的に業務の効率化につながります。

    5Sの目的2:職場環境の改善

    整った職場環境を維持することで、ムダな労力が削減され、ストレスが少なくなります。また意欲・モチベーションの向上にもつながることで、離職率の改善も期待できます。

    5Sの目的3:安全性の確保

    異変や異常の早期発見、アクシデント原因の除去により不足の事故を未然に防止できます。

    3. 5Sによって期待できる効果

    5Sの期待効果は数えきれないほどあります。その中でも主要なものを示します。

    業務効率化が期待できる

    ムダな時間の削減のほか、業務がスムーズに行える環境が維持されるため生産性も高められます。

    コスト削減につながります

    生産性の向上で省人化ができることで人員の採用を抑えることができるほか、在庫管理を徹底することで不要な買い物が抑えられます。

    職場の安全性が良くなる

    常に整った職場環境を維持する取り組みにより、事故やアクシデントの発生率を下げられます。

    品質が向上する

    ルールの徹底、作業の標準化が基本となることで、結果的に業務上のムダやムラの削減につながります。これにより安定した品質の商品・サービスを提供しやすくなります。

    組織力、チームワークの向上が期待できる

    5Sを徹底することで職場のコミュニケーションの活性化、情報の共有の促進が期待できます。これらのことは組織力、チームワークの向上ならびに、職場環境の改善につながります。

    4. さっそく実践!5S活動の進め方

    ① 改善対象となる場所・職場を決める

    (ポイント)

    • 整理、整頓が出来ていない、動線やレイアウトが悪いため、「探す」「移動」時間が多く発生している場所や職場を改善の対象とする。
    • 5S活動をスタートするにあたり、対象となる場所や職場に関して、現場スタッフが同じ問題認識を持てるようにする。

    ②「探す」時間を最小にする対策案を検討する

    (ポイント)

    • 整理の実施→「要るもの、要らないもの」を区別して、要らないものを撤去すること
    • 整頓の実施→要るものを、「必要なときに」「いつでも」「すぐ使える状態で、安全に取出せる」置き方にすること

    整理と整頓の2つで2Sと表現します。 2Sはモノを「探す」というムダな行動を無くすことに役立ちます。

    ③「移動」時間を最小にする対策案を検討する

    • 改善対象職場のレイアウトを明確にする(イラストを描いてみる)
    • 動線を明確にする(レイアウト図に人の動きを書いてみる)
    • 改善案を検討する(移動が少なくなったり、動線が短くなるような改善を検討する。)

    2Sの実施で清潔が保たれた職場であれば現場環境が可視化され、改善案の検討が容易になります。

    ④ 対策を実施する

    実施すべき対策を選らび、「担当者」「実施予定日」「実施完了日」を決めて、改善実施計画表を作成する。実施後は計画表の項目に対応したチェックリストで実行後の効果測定、さらなる改善案の検討を行います。

    ここで重要になるのは5Sの最後のSである「しつけ(躾)」です。決められたことを、決められたとおり正しく実行できる習慣づけがなされることで対策の実施が容易になります。

    5. 現場での取り組み事例

    5Sの取り組み事例を、ものづくり専門家事例から紹介します。

    ○スリランカ 驚きの5S活動

    各国で5S活動に取り組む企業や公的機関を見てきた専門家が驚いた、レベルの高いスリランカの5S活動とは?

    事例『「5S」の効果的活用と継続方法』を読む

    ○「鈴木流5S」必ず成果の上がるノウハウ・ノウホワイ実践例...

     

    【目次】

       

      1. 5Sとは

      5S(ゴエス)とは、主に製造系企業が生産効率向上のために行っていた「整理、整頓、清掃」の活動に「清潔・しつけ(躾)」を加えたもので、各項目の頭文字「S」から名付けられた日本発祥の管理技術の一つであり、安全衛生活動の基本です。

      5Sの源流については諸説ありますが、トヨタ自動車が行っていたインダストリアル・エンジニアリング(IndustrialEngineering)を用いた生産性改善に関する活動から生まれたジャストインタイム(Just in time:JIT)が確立する中で形作られた技術です。

      5Sの徹底を図ると、職場をよく見るようになり、問題点などの顕在化が進んで、職場の安全性向上の他、業務の効率化、不具合製品の流出の未然防止などの効果があります。

      整理

      必要なモノと不要なモノを区別し、不要なモノを処分すること。職場に必要なモノ以外は、一切置かない。
      →具体的には職場で不要なモノの基準を定める、不要なモノに印を付けて誰の目で見てもわかるようにする、不要の印が付けられたモノの評価、対処を行うなどです。

      整頓

      必要なモノが誰にでも、すぐに取り出せる状態にしておくこと。探すムダを省く。
      →具体的にはモノを探す行為、運ぶ行為を無くすことを目的にモノの配置を改善する、標準化を行うなどです。

      清掃

      整理・整頓・清掃を徹底すること。この3つの実行で、清潔な職場環境を保つことができる。
      →具体的には清掃の基準を定める、ゴミなし、ヨゴレなしの状態にするなど。

      なお、清掃はその目的に応じて日常清掃、点検清掃、保全清掃の3つに分類することができます。職場に応じた3つの清掃の基準を定め標準化する事で持続的で円滑な清掃を実施することができるようになります。

      [清掃の3分類]
      日常清掃 定めた基準に適合したゴミなし、汚れなしの「綺麗」な状態を維持する清掃
      点検清掃 異常や変化などを感知する事を目的とした清掃
      保全清掃 改善を目的とした清掃

      清潔

      整理・整頓・清掃の基準を定めて徹底する。この3つを実行することにより、清潔な職場環境を保つことができます。
      →具体的には、「清潔」という単語は行為を指すものではなく状態を表すものであることから、「整理・整頓・清掃(3S)」を継続する事となります。

      しつけ(躾)

      決められたことを、決められたとおり正しく実行できるように習慣づけること。
      →具体的には職場のルール・規律を策定、更新する事、職場のルール・規律を守る事、4つのSを習慣づける事などです。

      2. 5Sの目的

      5Sの目的は「Q(品質)・C(コスト)・D(納期)の改善」です。

      • Q:Quality(クオリティ/品質)
      • C:Cost(コスト/原価)
      • D:Delivery(デリバリー/納期)

      5Sの目的である「QCDの改善」をより具体的に挙げると以下の3点になります。

      • 業務効率化
      • 職場環境の改善
      • 安全性の確保

      5Sの目的1:業務効率化

      必要なモノが、どこにあるかわかる状態にすることで、ムダ時間を削減します。結果的に業務の効率化につながります。

      5Sの目的2:職場環境の改善

      整った職場環境を維持することで、ムダな労力が削減され、ストレスが少なくなります。また意欲・モチベーションの向上にもつながることで、離職率の改善も期待できます。

      5Sの目的3:安全性の確保

      異変や異常の早期発見、アクシデント原因の除去により不足の事故を未然に防止できます。

      3. 5Sによって期待できる効果

      5Sの期待効果は数えきれないほどあります。その中でも主要なものを示します。

      業務効率化が期待できる

      ムダな時間の削減のほか、業務がスムーズに行える環境が維持されるため生産性も高められます。

      コスト削減につながります

      生産性の向上で省人化ができることで人員の採用を抑えることができるほか、在庫管理を徹底することで不要な買い物が抑えられます。

      職場の安全性が良くなる

      常に整った職場環境を維持する取り組みにより、事故やアクシデントの発生率を下げられます。

      品質が向上する

      ルールの徹底、作業の標準化が基本となることで、結果的に業務上のムダやムラの削減につながります。これにより安定した品質の商品・サービスを提供しやすくなります。

      組織力、チームワークの向上が期待できる

      5Sを徹底することで職場のコミュニケーションの活性化、情報の共有の促進が期待できます。これらのことは組織力、チームワークの向上ならびに、職場環境の改善につながります。

      4. さっそく実践!5S活動の進め方

      ① 改善対象となる場所・職場を決める

      (ポイント)

      • 整理、整頓が出来ていない、動線やレイアウトが悪いため、「探す」「移動」時間が多く発生している場所や職場を改善の対象とする。
      • 5S活動をスタートするにあたり、対象となる場所や職場に関して、現場スタッフが同じ問題認識を持てるようにする。

      ②「探す」時間を最小にする対策案を検討する

      (ポイント)

      • 整理の実施→「要るもの、要らないもの」を区別して、要らないものを撤去すること
      • 整頓の実施→要るものを、「必要なときに」「いつでも」「すぐ使える状態で、安全に取出せる」置き方にすること

      整理と整頓の2つで2Sと表現します。 2Sはモノを「探す」というムダな行動を無くすことに役立ちます。

      ③「移動」時間を最小にする対策案を検討する

      • 改善対象職場のレイアウトを明確にする(イラストを描いてみる)
      • 動線を明確にする(レイアウト図に人の動きを書いてみる)
      • 改善案を検討する(移動が少なくなったり、動線が短くなるような改善を検討する。)

      2Sの実施で清潔が保たれた職場であれば現場環境が可視化され、改善案の検討が容易になります。

      ④ 対策を実施する

      実施すべき対策を選らび、「担当者」「実施予定日」「実施完了日」を決めて、改善実施計画表を作成する。実施後は計画表の項目に対応したチェックリストで実行後の効果測定、さらなる改善案の検討を行います。

      ここで重要になるのは5Sの最後のSである「しつけ(躾)」です。決められたことを、決められたとおり正しく実行できる習慣づけがなされることで対策の実施が容易になります。

      5. 現場での取り組み事例

      5Sの取り組み事例を、ものづくり専門家事例から紹介します。

      ○スリランカ 驚きの5S活動

      各国で5S活動に取り組む企業や公的機関を見てきた専門家が驚いた、レベルの高いスリランカの5S活動とは?

      事例『「5S」の効果的活用と継続方法』を読む

      ○「鈴木流5S」必ず成果の上がるノウハウ・ノウホワイ実践例

      5S活動をすることそのものが目的になってしまっていませんか?「整理」「整頓」の目的をはっきりと認識することで、成果に結びつきます。

      事例『「鈴木流5S」必ず成果の上がるノウハウ・ノウホワイ実践例』を読む

      6. 5Sについて詳しく知りたい方におすすめのセミナー

      5Sについて詳しく知りたい方に、ものづくりドットコムおすすめのセミナーをご紹介します。

      ○「5S」の効果的活用と継続方法

      5S(ゴエス)活動の意義は分かるものの、参加者のモチベーションを長く継続することは非常に難しいものです。もし、あなたの部門でマンネリ感が漂っているようでしたら、このセミナーを同僚の皆さんで受講してみましょう。アツい講師の説明を聞いているうちに、始めたころの熱意をもう一度思い出すことができます。

      ≫ セミナー『「5S」の効果的活用と継続方法』の詳細を見る

      ○徹底的に成功事例に学ぶ!「5Sの導入と強化」

      あなたの生産現場は、装置の中、周辺、通路、資材置き場、休憩室いずれもきれいに保たれて、常に高い生産性を維持していますか?
      使用の度に工具や資料を探し回ったりすることはありませんか?
      5Sが製造現場の基本であることは皆さん承知しているものの、実行はなかなか容易でありません。このセミナーでは、5S歴30年の講師が写真やビデオを交えて、具体的に成功ノウハウを伝授します。 知識としてではなく、成果を出すための5Sを実行しましょう!

      ≫ セミナー『徹底的に成功事例に学ぶ!「5Sの導入と強化」』の詳細を見る

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      この記事の著者

      大岡 明

      改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

      改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。


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