検査は、不良を排除するために欠くことのできないものですが、いくつかの種類に分類できます。
製造プロセスに着目して分類すると、受入検査、工程検査、最終検査、出荷検査に分類できます。また、検査数量に着目すれば、全数検査、抜き取り検査、チェック検査に分けられます。検査の性質による分類では、破壊検査、非破壊検査、官能検査に分けられますし、検査場所による分類では、定位置検査、巡回検査、持ち込み検査、出張検査に分類できます。では、それぞれの分類ごとに、ひとつづつ見ていきましょう。
【目次】
1.製造プロセスによる分類
2.検査数量による分類
3.検査の性質による分類
4.検査場所による分類
1.製造プロセスによる分類
①受入検査
受入検査は、購買品や外注品など、生産活動を行うために必要な原材料や部品を取引業者から購入し、受入れる時に実施される検査です。受入検査の目的は、不良品を工場に持ち込まないことです。
②工程検査
工程検査は、加工部品や組立品をある工程から次の工程へ移る際に行う検査です。これは、不良品が次の工程に流れて損失を生じることを防ぐ目的で行われます。
③最終検査
最終検査は、顧客の要求も含め製品全体を製造工程の最終段階で行う検査です。これは、完成品が製品としての要求事項を満足しているか否かの判別がなされ、顧客に対する信用の低下や各種の問題、損失を未然に防ぐ為に行われます。
④出荷検査
出荷検査は、出荷直前に行う品質確認のための検査です。製品製造における最終検査は済んでいても、その後の梱包や運搬、保管期間などにおいて品質が劣化している可能性があります。
製造後~出荷までに起こる劣化には、次の2通りが考えられます。
- 人的な劣化:乱雑な運搬の結果として、運搬中に起こす変形やキズといった劣化
- 経時的な劣化:長期間の保管や保管状態が適切でなかったことにより発生する、変色や錆、ねじのゆるみなど
出荷検査は、これらの劣化をチェックし、出荷品質の安定を図るために行われます。
2.検査数量による分類
①全数検査
全数検査は、検査対象となっている品目をすべて個々に検査する方法です。全数を検査しますので、不良品を確実に排除することができますが、一方で多くの手間が必要となりますので、工程や期間など重点を決めて実施するべきでしょう。
②抜取検査
抜き取り検査は、同一の製造過程を経たある単位の中から一部を試料として取り出し検査する方法です。一般に、単位とはロットを指し、ロット単位に合格、不合格の判定が行われます。
③チェック検査
チェック検査は、適当なサンプルを摘出して行う検査です。この方法は、抜取検査のように確率基準にこだわらず行われ、品質が安定している品目や、それほど重要でない品目に用いられます。
3.検査の性質による分類
①破壊検査
破壊検査は、検査対象となっている商品を破壊するか、又はその商品の価値が下がるような扱い方で検査する方法です。
②非破壊検査
非破壊検査は、商品の価値を損わずに行う検査です。大部分の検査はこれに該当し、全数検査を行うことも可能になります。
③官能検査
官能検査は、人間の感覚(目、耳、舌など)を計器として用い、品目の品質および特性を検査する方法です。 音、外観、臭い、味などの他に、手で触った時の触診で検査する方法もあります。
4.検査場所による分類
①定位置検査
一定の場所に位置を定めて行う検査方法です。
- 品目を1ヵ所に集めて検査した方が経済的な場合
- 試験のための特殊な設備が必要な場合
- 検査時間が長い場合の時
などに用いられます。...
②巡回検査
検査員が適時、製造現場を巡回して品目を検査する方法です。一定の検査工程は設けられませんので、検査場所への品目の移動が不要となり、製造リードタイムの短縮につながります。
③持込検査
持ち込み検査は、業者が品目を発注元に納入する際、自社で検査せず、発注元の工場へ持込んで受入検査を受ける方法であり、一般に広く用いられています。
④出張検査
出張検査は、購買品や外注品の受入検査を自社で行わず、購買先や外注先などの発注先に行って実施する検査です。自社に検査設備をもたない場合や、次工程が外注の場合などに行われます。