2022年11月に国家資格である技術士第一次試験が実施されました。
ものづくりドットコム事務局の新人である筆者が実際に受験しましたので、難易度や勉強方法について皆様にお伝えできればと思います。受験部門や問題の選択によって違う部分は多いかと思いますが、これから受験される方にとって少しでも参考になれば幸いです。
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1. 技術士とは?
科学技術に関する技術的専門知識や実務経験を持ち、国による資格認定を受けた人の事を指します。部門は機械部門から原子力・放射線部門、及び総合技術監理部門の21部門からなり、様々な企業や技術コンサルタントとして活躍しています。
機械部門 | 船舶・海洋部門 | 航空・宇宙部門 | 電気電子部門 |
化学部門 | 繊維部門 | 金属部門 | 資源工学部門 |
建設部門 | 上下水道部門 | 衛生工学部門 | 農業部門 |
森林部門 | 水産部門 | 経営工学部門 | 情報工学部門 |
応用理学部門 | 生物工学部門 | 環境部門 | 原子力・放射線部門 |
総合技術監理部門※ |
(※総合技術管理部門のみ、第一次試験は当分実施されません)
2. 技術士一次試験の概要
2022年度の試験は、11月下旬に全国12地域(北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県)の会場で行われました。第一次試験は基礎科目、適性科目、専門科目の3つがあり、おおむね大学エンジニアリング系学部卒程度の知識が問われます。専門科目は20の技術分野(部門)から選択でき、基礎科目と適性科目は共通問題となっています。年齢・学歴・国籍・業務経歴等による受験制限はなく、誰でも受験することができます。また第一次試験の合格部門に関わらず、第二次試験はどの部門でも受験することができます。筆者は「情報工学部門」で受験しました。
第一次試験は全てマークシートで解答します。記載漏れや基礎科目や専門科目の選択問題で規定より多くマークシートを塗りつぶしてしまうと失格になりますので注意してください。
試験は専門科目、適性科目、基礎科目の順になります。詳しい内容については、後述する「試験の難易度」をご覧ください。
3. 技術士一次試験の合格率
技術士一次試験の合格率は、2022年度は約35%~80%ほどで、今回受験した「情報工学部門」は、63.9%でした。部門によって合格率に差があるので、どの部門で受験するか迷われている方は1つの指標として持っておくのもいいと思います。
4. 技術士第一次試験の難易度
技術士第一次試験の難易度は、受験される方のバックグラウンドによって感じ方は様々だと思います。筆者は芸術系大学院出身、高校から芸術系学部にいたので、数学は数1Aを少々、科学は化学基礎・生物基礎を少々…というレベルなのですが、そのレベルの人間がどう感じたのかをお伝えします。
◆技術士第一次試験:基礎科目
試験時間:1時間
問題数:1群~5群(それぞれ全6問)から3問ずつ、計15問を選択し回答
- 設計・計画に関するもの:金属、分布、ヤング率、コスト計算など
- 情報・論理に関するもの:集合、アクセス時間、ビット計算、アルゴリズムなど
- 解析に関するもの:導関数、慣性モーメント、荷重計算、張力計算など
- 材料・化学・バイオに関するもの:金属、化学式、ひずみ、DNAなど
- 環境・エネルギー・技術に関するもの:気候変動、廃棄物、技術史上の業績など
基礎科目は、筆者が数学や科学にあまり触れてこなかったためか、とても難しく感じました。
特に「1群 設計・計画に関するもの」と「3群 解析に関するもの」は、高校数学や科学、大学数学くらいまで学習していないと難しいのではと思います。残りは、どこまで知っているかの知識問題なので、しっかりと過去問や関連するところを勉強しておくのをお薦めします。
◆技術士第一次試験:適性科目
試験時間:1時間
問題数:15問
適性科目は記憶力が試される問題が多く、例えば、5つ文章が書かれており、その中で正しいのはいくつあるでしょう?という出題方法なので、ケアレスミスが命取りになります。
過去問や参考書でしっかり「技術士倫理綱領」などを一言一句読み込むのがお薦めです。
また、ものづくりドットコムのオンデマンドセミナー「技術者倫理の概要を知る」も、基本的な考え方を学ぶうえで大変有用です。
◆技術士第一次試験:専門科目
試験時間:2時間
問題数:35問のうち25問を選択し回答
専門科目(情報工学部門)は、問題の半分くらいは過去問から似た問題が多く出ていると感じました。「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」、「情報処理安全確保支援士試験」を受けて合格した方は問題ないと思いますし、独学でも過去問10年以上をこなしていれば、十分に対応できるかと思います。
5. 技術士第一次試験に合格するためのお薦め勉強法
◆過去問題を解く
特に「専門科目(情報工学部門)」と「適性科目」は過去問を解くことを中心に進めるのがお薦めです。その中で学習が必要になる項目が出てきたら、参考書で勉強するなど苦手なところを埋めていくのが良いと思います。過去問をもとに選択肢などをアレンジした問題が出題されることも多いため、ただ単に過去問の答を暗記するのではなく、どうしてその答えになるのかをしっかり調べて理解する必要があります。
◆参考書を買う
全体的に設問がどういった傾向にあるか、頻出箇所はどこか知りたい方にお薦めです。...