トヨタ自動車出身で海外メーカ勤務の国際感覚豊富な筆者が、水素エネルギー社会関連のレポートを連載で解説します。今回は、帝人のドローン搭載用水素タンクです。
帝人から水素燃料ドローンが発表されました。『帝人、水素ドローン用タンク 炭素繊維製で飛行時間10倍』(日経2021年4月3日朝刊)
帝人とありますが、おそらくその子会社の帝人エンジニアリングによるビジネスかと思います。帝人エンジニアリングでは以前から、消防士の作業用の高圧酸素タンク(CFRP製、アルミライナー)を販売しています。ウルトレッサ(写真)という商標です。
このドローン用のタンクは展示会、燃料電池Expoで展示されてました。おそらく樹脂ライナだと思います。あいにくとこの展示会と複合材料学会に日程が重なって、見学に行けませんでした。CES2020では水素燃料ドローンそのものが発表されています。
韓国の重工業企業グループのDoosan(斗山)の子会社、Doosan Mobility Innovation(DMI社)からです。こちらは、タンクだけではなく、燃料電池システムを手掛けています、2時間以上の飛行が可能とされています。交通インフラの整っていないアフリカでの医薬品輸送などへの適用をアナウンスしています。
CESにてDMI社とMicro Softとのパートナ契約が公表されています。なお、MSは交通インフラ関連も狙っているようで、中国の新興自動運転EVメーカの華人運通(Human Horizons)とのパートナーシップ協定も結んでいます。こちらは「車載用AI秘書」の協定です。CASEのconnectedに相当する取組みです。
水素タンクはバッテリの約10倍のエネルギ搭載密度です。燃料電池(スタック)の重量を考慮すると燃料電池システムとしての実効的な搭載密度はその半分程度でしょうが、十分に重量メリットがあります。このため、ドローンやこれ...
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