企業経営におけるコア・コンピタンスがスピードであるならば、何を経営指標としなければならないのでしょうか。組織ぐるみでの日本発の経営改善活動である連続的改善のTQM・TPMは、1980年代の強い日本製造業の代表的モデルとして全世界に広まったジャスト・イン・タイムのように、欧米の経営論に大きな影響を与えています。市場規模は目立つほど大きくなくても、金型・工作機械などの生産財は、世界の製造業のサプライチェーン・リソース(経営資源)として、明らかに日本製品が貢献しています。顧客満足視点でのサプライチェーンマネジメントは、今後確実な収益をしっかり上げてますます強くなるための必要条件です。熟練と連続的な改善努力の積み重ねが、ポイントソリューションからラインソリューションへの展開、自社の連鎖業務の同期化によるスピードアップに要求されます。
熟練とサプライチェーン全体の同期化によるスピードアップとは、特に密接に関係しています。
資材調達・生産・販売出荷などの業務連鎖の速度を、顧客の需要に合わせて同期化するように制御できなければ、少ない在庫でスピードを上げることができません。速度の制御を気にせずに個別の都合に合わせたスピードで業務を行って良い場合は、充分な運転資金があって在庫を充分に持つことができるときです。充分な在庫によって、速度制御の未熟さが隠されてしまうのです。資材・仕掛・製品在庫を減らしていくときに、速度制御の熟練度が未熟なままであると、物不足という能力...