少子化による人材不足で、中高年や女性を活用しようとする動きも検討されているようです。しかし、2014年になってから、大手人材サービス会社が、中高年の採用について企業の人事担当者の意向を初めてアンケート調査した結果は、大きく違うようです。
「今後、中途採用の予定がある」と答えた775社にその年代を複数回答で尋ねたところ、30代前半と20代後半がいずれも65%だったのに対し、40代前半は27%、40代後半は15%、50代前半は7%と、年齢が上がるにつれて採用を検討する企業が減っていました。一方、「高いコミュニケーション能力」や「目標を達成できる力」などが備わっていれば、中高年の採用も「積極的に検討する」、「給与などの条件を満たせば検討する」という企業は、合わせて74%でした。
企業は、中高年技術者に、どういう具体的な能力を求めているのでしょうか。筆者が、キャリアカウンセラーとして支援した技術者を約100人抽出し、異動や転職が成功した人の強みを統計的に整理してみました。その結果が次に挙げた6項目です。
<異動、転職時に評価される能力>
(1) 専門性
(2) コーディネート力
(3) 人脈
(4) マネジメント能力
(5) リーダーシップ
(6) 語学力
製品開発や製造技術等のハードウェア系職種だけでなく、SE等のソフトウェア系職種も同様でした。これらの全部の能力を備えるのは、なかなか難しいかもしれませんが、少なくとも3つぐらいは磨いておきたいものです。
以上の結果を踏まえて、中高年技術者が生き残れる職種は何かを考えてみました。それを3つに絞るならば、図1のようになります。その理由は次の通りです。
カウンセラーは、年齢の制約を受けにくく、いままでの成功や失敗の経験が生かせ、ストレス過多の時代に...
コーディネーターは、技術者としての経験の集大成につながり、産学官の目利き役として、社会貢献にもつながるからです。
講師やトレーナーは、中高年技術者の専門性を直接生かせ、やりがいというモチベーションを維持できて、技術伝承という役割も担えるからです。
図1 中高年技術者が生き残れる職種