名選手、名監督にあらず:物流管理者の育て方(その1)

更新日

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 名選手、名監督にあらず

昔から「名選手、名監督にあらず」ということが言われています。プロ野球でもよくあることです。一流選手が監督になったとたんにチームはボロボロという現象。皆さんの会社では物流の管理者はきちんと育っていますでしょうか。最初に申しあげたいことは、物流実務と管理はまったく異種の仕事だということです。

 

これを前提に人財育成を進めていくべきなのです。よく現場作業を熟知している人が管理者になるべきだと言う人がいます。これは半分正解で、半分は間違です。なぜならその人は現場作業については一流でも管理技術を身につけているかどうかは別問題だからなのです。

 

会社の中に「管理者」の育成プロセスが無い限り、優秀な管理者が育つというとは稀です。現場実務の延長線上で管理者を考えては失敗します。もう一度言いますが、実務と管理はまったく別の仕事だからです。では「管理」という機能はどのようなものなのでしょうか。一つには「目標管理」が挙げられます。この目標管理とは、会社の目標を受けて、自部門の目標を設定してそれを達成する活動です。

 

この目標管理の中には日々のルーチンワークと、特別な活動を要する方針管理があります。いずれの管理につきましても、部門のメンバーに徹底するとともに、一人ひとりに明確な役割を付与していくことが必要です。

 

二つ目に「人財育成」が挙げられます。チームの能力を底上げしていくためには人を育てていくことが不可欠です。先輩作業者の仕事を見て体で覚えろ、といった昔ながらの方法で上手くいくとは限りません。何となくかっこよく聞こえるこの言葉、実は管理者の無能を表しているとも言えるでしょう。

 

三つ目に「安心して仕事ができる環境づくり」を挙げましょう。誰しも仕事をしていて不安に感じるようでは、本来持つ力を発揮することはできません。そこで、チームのムードを作り、個々人が持つ力を100%発揮できるような環境を作ってあげることが管理者の役割でもあるわけです。

 

四つ目は「収益管理」です。会...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 名選手、名監督にあらず

昔から「名選手、名監督にあらず」ということが言われています。プロ野球でもよくあることです。一流選手が監督になったとたんにチームはボロボロという現象。皆さんの会社では物流の管理者はきちんと育っていますでしょうか。最初に申しあげたいことは、物流実務と管理はまったく異種の仕事だということです。

 

これを前提に人財育成を進めていくべきなのです。よく現場作業を熟知している人が管理者になるべきだと言う人がいます。これは半分正解で、半分は間違です。なぜならその人は現場作業については一流でも管理技術を身につけているかどうかは別問題だからなのです。

 

会社の中に「管理者」の育成プロセスが無い限り、優秀な管理者が育つというとは稀です。現場実務の延長線上で管理者を考えては失敗します。もう一度言いますが、実務と管理はまったく別の仕事だからです。では「管理」という機能はどのようなものなのでしょうか。一つには「目標管理」が挙げられます。この目標管理とは、会社の目標を受けて、自部門の目標を設定してそれを達成する活動です。

 

この目標管理の中には日々のルーチンワークと、特別な活動を要する方針管理があります。いずれの管理につきましても、部門のメンバーに徹底するとともに、一人ひとりに明確な役割を付与していくことが必要です。

 

二つ目に「人財育成」が挙げられます。チームの能力を底上げしていくためには人を育てていくことが不可欠です。先輩作業者の仕事を見て体で覚えろ、といった昔ながらの方法で上手くいくとは限りません。何となくかっこよく聞こえるこの言葉、実は管理者の無能を表しているとも言えるでしょう。

 

三つ目に「安心して仕事ができる環境づくり」を挙げましょう。誰しも仕事をしていて不安に感じるようでは、本来持つ力を発揮することはできません。そこで、チームのムードを作り、個々人が持つ力を100%発揮できるような環境を作ってあげることが管理者の役割でもあるわけです。

 

四つ目は「収益管理」です。会社が儲かるためには各部門が儲かることが必要です。ところが多くの物流現場では今儲かっているのかどうかがわかっていない場合があります。それは実務さえしっかりしていれば良い、という間違った考え方が会社の中にあるからです。数字を読めない人が管理者になってしまっているのです。

 

次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その13)

1.例えば単価10万円の商品で考えて見ましょう    前回のその12に続いて解説します。商品単価が安い商品なら品切れも欠品も、消費者にとって...

1.例えば単価10万円の商品で考えて見ましょう    前回のその12に続いて解説します。商品単価が安い商品なら品切れも欠品も、消費者にとって...


サプライチェーン構築における計測と配置の重要性

1.連続したモニタリング   車の運転やスポーツをしている時は、常にリアルタイムかつ連続して状況判断・計画・実行が行われています。生産・販売の...

1.連続したモニタリング   車の運転やスポーツをしている時は、常にリアルタイムかつ連続して状況判断・計画・実行が行われています。生産・販売の...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その8)

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
会社の総合力 物流最高品質を生み出すものとは(その1)

       1. 物流の最高品質とは  私たちは物流のプロですから、お客様に対しては最高品質のサービスを提供する義務があります。では何をもっ...

       1. 物流の最高品質とは  私たちは物流のプロですから、お客様に対しては最高品質のサービスを提供する義務があります。では何をもっ...


提案営業とは 提案型物流営業の基本(その1)

       (1) 提案型営業のできる人財を育成  3PL企業の人財育成の狙いとして必ず上位に来るのが提案型営業のできる人財を育成するという...

       (1) 提案型営業のできる人財を育成  3PL企業の人財育成の狙いとして必ず上位に来るのが提案型営業のできる人財を育成するという...


仕事量の変動 物流の波動と平準化(その1)

       1. 物流業界とインフラ  物流業界は波動が大きい業界といわれています。お中元やお歳暮が波動をもたらす典型的な要因です。海上輸送...

       1. 物流業界とインフラ  物流業界は波動が大きい業界といわれています。お中元やお歳暮が波動をもたらす典型的な要因です。海上輸送...