あらゆるビジネスが、伝統的な従来の商売のやり方(トラィデショナル:Tビジネス)から、コンピュータとインターネットを使った商売のやり方(エレクトロニクス:eビジネス)へと移行しつつあります。この時代的背景の中でSCMもこの例にもれません。
Tであろうがeであろうが、ビジネスでは人間が顧客で、人間の営む売買のともなう活動であることに変わりはありません。モノ(製品)が売れるためには、多くの選択肢の中から顧客が自社製品を選んでくれるようにしなければならず、すなわち顧客満足にこそ商売の原点であり、すべてのサプライ業務、すなわち製品開発も生産も物流販売なども、起点をサプライチェーン(供給連鎖)の下流の顧客に置いてマネジメントされなければなりません。
20世紀における工業化の進んだTビジネスでは、需要は、メーカーが開発する新技術製品によって作られてきました。需要を月次単位に予測し、生産販売計画、資材調達を実行しやや多目の安全在庫を持っていることで、数年在庫が増えても在庫はやがて消化されて利益が確実に出ていました。このとき、消費者と顧客を「市場」と言う経営用語によってとらえ、全体をマクロに見ていれば良かったのです。そして企業経営力として、技術力・大量生産販売に耐えるブランド力・マーケティング力、これらを強化する戦略が重視されました。
現在進行しているeビジネスと、このようなTビジネスとはどのように違っているのでしょうか。情報化時代において技術は即座に模倣され、月次の計画実行ではグローバル市場の需要や競合の変化に対応できず、過剰在...