機械や構造物について論じる時に、よく「剛性」という言葉が出てきます。身近な場面ではクルマの操縦性や乗り心地の話題で「ボディ剛性が高いので…」などと使われたりしますね。
この「剛性」とはどのような工学的意味を持った言葉なのでしょうか?「強度」との関係も含めて、わかりやすく解説します。
剛性とは何か?
剛性とは、材料に加えた曲げやねじりの力に対する「変形(寸法変化)しにくさ」のことで、単位変形を起こすのに必要な力(荷重/変形量)で表されます。剛性が高い(大きい)と変形しにくく、逆に剛性が低い(小さい)と変形しやすくなります。剛性のことを「こわさ」と呼ぶこともあります。また「変形のしやすさ」(変形量/荷重)を柔性と呼びます。
剛性と強度の違いを解説
剛性が「力が加わった時の変形しにくさ」を表すのに対して、強度は「力が加わった時の壊れにくさ」、すなわち力が加わって変形してもその力を除けば元の形状に戻る限界や、力が加わって変形しても破断しない限界を表します。元の形状に戻る限界を表すのが弾性限界もしくは降伏点、破断しない限界を表すのが引っ張り強さ(引張強度)です。
頑丈な材料の選定方法
「頑丈」という言葉には、「力が加わっても変形しにくいこと」すなわち剛性が高いことと、「力を除けば元の形状に戻ることや破断しないこと」すなわち強度が高いことの2つの意味が含まれます。この2つを分けて考え、設計対象の機能を満たすためにはそれぞれの特性がどれだけ必要かを判断基準にして材料を選定するこ...