作動油とは?その特徴と種類を知る

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作動油

 

油圧作動油、潤滑油は油圧装置の血液とも呼ばれ、機械が長期間正常に稼働するために必要不可欠な要素です。18世紀半ばにイギリスで産業革命が起こってから約250年経過しますが、その間機械文明は発展を続け、それに伴って作動油も著しく多様化・高性能化を遂げてきました。一方、その専門性ゆえに、作動油の中味や作られ方、市場動向などは限られた関係者にしか知られていないようです。


産業、工業の発展に伴って各種機械に使用される作動油の基油は多岐にわたり、また、要求される性能は年々厳しくなってきています。作動油を厳正に選び、正しく使用することにより、工場の省エネルギー効果が増大し、利益向上につながります。また、機械装置の進歩に応じて、新しい作動油の用途開発、作動油のロングライフ化も重要です。このような観点から、今回は、作動油の概要を解説します。

 

1.作動油とは

 

作動油は、主に油圧類の装置中で動力伝達を目的として使用される流体で、冷却・潤滑・防錆等の作用があります。装置に適合した作動油の選択と管理が装置の機能を十分に発揮させるために重要です。

 

2.作動油の特徴

 

油を媒介として一方に加えられた力を他方に伝達する役目をする作動油は、高所作業車の伸縮部分・ブレーキ・工作機械・アームの上下に力の伝達をする役目として使用されます。この為、油の粘度が重要で、作動油選択は、キャビテーション、摩耗、圧力損失、機械効率、漏洩、発生熱、熱安定性、油膜、始動性に影響を与えることを考慮して選択しなければなりません。

 

低粘度の場合は、漏洩の危険を招き、摩耗の増大、ポンプ容積効率の低下、圧力維持や調整を困難にさせるなど弊害が起こります。又、高すぎる粘度は、摩擦の増大による油温上昇、流動抵抗増大に伴う圧力損失の増加、作動の不活発、キャビテーションの発生などのトラブルを招きます。

 

3.作動油の種類

 

作動油は、難燃性合成作動油と鉱物油系作動油があります。環境対応型の植物油や合成油を使用した生分解性作動油も登場しています。基材に添加物を調合して混入した水を分離しやすい、潤滑性を保ち劣化しにくい、泡立ちにくいといった条件を満たします。一定の使用期間が過ぎたものは、適切に交換することが重要です。


通常、オイルフィルターを使いますが、単に作動油を定期交換するだけでも、油圧システムの寿命が大きく変ります。なお、機器のパッキンには多くの種類があり、作動圧力に適合して、作動油や使用環境とのマッチングが重要な要素です。

 

難燃性作動油は、消防法適用の設備で使用される装置に使われる作動油です。石油系作動油として使用されるのは一般作動油と耐摩耗性作動油です。石油系作動油は、装置に対する適用範囲が広く、作動油の大部分を占めています。

 

4.作動油の判定と交換

 

装置自体が磨耗によって金属粉を発生させるため、定期的に作動油を交換する必要があります。また、作動油タンクに出入りする空気は、ごみや水分を持ち込みます。作動油が使用限度に達しているかどうかを判定する方法には、作動油を...

作動油

 

油圧作動油、潤滑油は油圧装置の血液とも呼ばれ、機械が長期間正常に稼働するために必要不可欠な要素です。18世紀半ばにイギリスで産業革命が起こってから約250年経過しますが、その間機械文明は発展を続け、それに伴って作動油も著しく多様化・高性能化を遂げてきました。一方、その専門性ゆえに、作動油の中味や作られ方、市場動向などは限られた関係者にしか知られていないようです。


産業、工業の発展に伴って各種機械に使用される作動油の基油は多岐にわたり、また、要求される性能は年々厳しくなってきています。作動油を厳正に選び、正しく使用することにより、工場の省エネルギー効果が増大し、利益向上につながります。また、機械装置の進歩に応じて、新しい作動油の用途開発、作動油のロングライフ化も重要です。このような観点から、今回は、作動油の概要を解説します。

 

1.作動油とは

 

作動油は、主に油圧類の装置中で動力伝達を目的として使用される流体で、冷却・潤滑・防錆等の作用があります。装置に適合した作動油の選択と管理が装置の機能を十分に発揮させるために重要です。

 

2.作動油の特徴

 

油を媒介として一方に加えられた力を他方に伝達する役目をする作動油は、高所作業車の伸縮部分・ブレーキ・工作機械・アームの上下に力の伝達をする役目として使用されます。この為、油の粘度が重要で、作動油選択は、キャビテーション、摩耗、圧力損失、機械効率、漏洩、発生熱、熱安定性、油膜、始動性に影響を与えることを考慮して選択しなければなりません。

 

低粘度の場合は、漏洩の危険を招き、摩耗の増大、ポンプ容積効率の低下、圧力維持や調整を困難にさせるなど弊害が起こります。又、高すぎる粘度は、摩擦の増大による油温上昇、流動抵抗増大に伴う圧力損失の増加、作動の不活発、キャビテーションの発生などのトラブルを招きます。

 

3.作動油の種類

 

作動油は、難燃性合成作動油と鉱物油系作動油があります。環境対応型の植物油や合成油を使用した生分解性作動油も登場しています。基材に添加物を調合して混入した水を分離しやすい、潤滑性を保ち劣化しにくい、泡立ちにくいといった条件を満たします。一定の使用期間が過ぎたものは、適切に交換することが重要です。


通常、オイルフィルターを使いますが、単に作動油を定期交換するだけでも、油圧システムの寿命が大きく変ります。なお、機器のパッキンには多くの種類があり、作動圧力に適合して、作動油や使用環境とのマッチングが重要な要素です。

 

難燃性作動油は、消防法適用の設備で使用される装置に使われる作動油です。石油系作動油として使用されるのは一般作動油と耐摩耗性作動油です。石油系作動油は、装置に対する適用範囲が広く、作動油の大部分を占めています。

 

4.作動油の判定と交換

 

装置自体が磨耗によって金属粉を発生させるため、定期的に作動油を交換する必要があります。また、作動油タンクに出入りする空気は、ごみや水分を持ち込みます。作動油が使用限度に達しているかどうかを判定する方法には、作動油を目視で判定する官能検査と、科学的分析による性状試験があります。

 

科学的分析試験は、沈殿物含有量、比重、引火点、色彩、粘度、含水有量、酸化を測定し、油の劣化を定量判別します。目視判定は、油をタンクから採取し、採取した油と同種の未使用の油をそれぞれ比較します。正常な油は、通常0.05%程度の水分を含んでいますが、それ以上水分では油は乳白色に変色します。グリースの混入では、泡立ちます。劣化した油をそのまま使用すると、機器の循環性が失われ、シールが腐食します。いずれにしても、作動油の判定と交換は、装置寿命に影響を及ぼします。

 

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この記事の著者

大岡 明

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

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