時系列データといっても色々な形のものがあります。よく見かけるのが次の2種類です。
- 縦持ち時系列データ(時間軸が縦方向)
- 横持ち時系列データ(時間軸が横方向)
基本となるのが「縦持ち時系列データ」です。ビジネスの現場でよく見かけるのが「横持ち時系列データ」です。「縦持ち時系列データ」と「横持ち時系列データ」は、多くは相互に変換可能です。今回は「2種類の時系列データ」というお話しします。
【この連載の前回:ビジネス時系列データでよくある7つの活用事例 データ分析講座(その304)へのリンク】
1. 縦持ち時系列データ(時間軸が縦方向)
「縦持ち時系列データ」とは、ここまで例として登場した時系列データで、時間変数が1つ、指標変数が1つ以上あります。もちろん、時間変数や指標変数以外の変数があっても構いません。次の例は、時間変数が「年月」(月単位)、指標変数が「販売金額」(全体の販売金額の合計)で構成された「縦持ち時系列データ」です。
ビジネスの現場では、全体の販売金額だけでなく、商品や顧客、エリアなどに分けた販売金額にも関心を持つことでしょう。このような場合、例えば次のように「商品別の変数」を設け時系列データを作ったりします。
このような時系列データは、ぱっと見では分かりやすいのですが、商品の種類が多いと、変数の数が非常に多くなるのが難点です。では、顧客別の場合はどうでしょうか。
2. 層別変数
商品別と同じように「顧客別の変数」を設けるという方法もあります。ただ、通常は非常に変数の数が非常に多くなります。顧客数が10万人であれば、10万変数になります。避けたいところです。このような場合、顧客の数や商品の数、エリアの数だけ新しい変数を設けるのではなく、それぞれを1つの変数(例:顧客ID、商品コード、エリアNo)で表現し、縦に長いデータセットを準備するのがいいでしょう。ここでは、このような変数を「層別変数」と呼ぶことにします。
3. 基本のデータセット
この非常に縦に長い「縦持ち時系列データ」が、基本のデータセットになります。このデータセットは集計や分析などを実施するとき非常に扱い易いです。必要に応じて、このデータセットの一部を切り出したり集計したりし、新たな「縦持ち時系列データ」を作り利用することができるからです。
さらに状況に応じて、この非常に縦に長い「縦持ち時系列データ」から、この後説明する「横持ち時系列データ」や別の記事で説明する「時系列特徴量付きテーブルデータ」を作り、活用することができます。
4. 横持ち時系列データ(時間軸が横方向)
「横持ち時系列データ」とは、変数で時間を表現したデータ...
厳密には違いますが「横持ち時系列データ」は、ちょうど「縦持ち時系列データ」を転置(行と列を入れ替える)したかのようなデータセットになります。「横持ち時系列データ」の方が「縦持ち時系列データ」よりも分かりやすいと感じる方も多いことでしょう。そのためか、ビジネスの現場では「横持ち時系列データ」の方をよく見る気がします。
そこで「縦持ち時系列データ」を作った方がいいのか、それとも「横持ち時系列データ」を作った方がいいのか悩むことがあります。しかし、先ほどもお話ししましたが、基本となるのは「縦持ち時系列データ」です。時系列データを利用した集計や分析などを実施するとき、最初にすべきは、非常に縦に長い「縦持ち時系列データ」を作ることです