DX、AI、データサイエンス、機械学習、ディープラーニングなど、データ活用を目論むことが多くなった昨今です。ただデータ活用を過度に進めることで、ちょっとしたことが起こります。データ活用の末路とも言ってもいいかもしれません。他社に先行し、その末路に陥った企業も存在します。その末路とは、いったい何でしょうか?今回は「データ活用の末路」というお話しをします。
1. データ活用の効果・効能
データ活用の効果・効能の1つに、リスクを回避しながら果実を得る、というのがあります。要は、以下の2つを満たすようなことが実現されます。
- リターン最大化
- リスク最小化
データをうまく活用することで、リスクをできるだけ小さくしながら、ほどほどのリターンを得るという感じです。営業の新規受注を例にとると、受注確度の薄い大型受注の見込める顧客を狙うのではなく、そこそこの受注金額の見込める受注確度の高い顧客を狙う、という感じです。
要は、ハイリスクハイリターンの夢をあきらめ、ローリスクミドルリターンを狙うということです。野球で言い換えると、ホームランを打つパワーヒッターではなく、こつこつヒットを稼ぐアベレージヒッターになるということです。
射幸性の嗜む博打好きとは逆を行く感じです。
2. データ活用で平準化
アベレージヒッターになるということは、失敗が減りそれなりの成果を継続的に出し続けるということです。結果的に、何事も平準化されていきます。平準化されるとは、安定的にほどほどの成果を上げられるということです。
営業活動でいえば、受注件数や売上金額などが安定してくるということです。生産活動でいえば、歩留まりやサイクルタイムなどが安定してくるということです。何やら良さそうですが、落とし穴があります。
3. 新商品で大きな失敗がなくなった
ある消費財メーカーで、データを活用した製品開発を行っていました。製品そのものの開発業務では、それなりにデータ活用をしていましたが、消費者ニーズを組むこむところのデータ活用が不十分でした。そこで、商品のコンセプト設計やローンチ(上市)前に、消費者データを活用することになりました。
- 商品のコンセプト設計時:コンセプト受容評価を消費者データで実施
- ローンチ(上市)前:商品受容評価を消費者データで実施
その結果、赤字になる新商品が激減しました。