質量という言葉はものづくりに関わる業務の中でしばしば使われますが、それが正確には何を指しているのかを考える機会は、実のところあまり多くはないのではないかと思います。質量とは何か、定義や重量との違い、単位、換算方法などについて解説します。
質量とは
質量とは、「物体を構成する物質固有の量」のことで、物体を動かそうとする時の動かしにくさの度合い、つまり慣性の大きさを示す値です。質量の単位はkgです。
質量の定義説明には、引力による重さの度合いを指す重力質量(gravitational mass)もありますが、動かしにくさを指す「慣性質量(inertial mass)」と等価とされています。
質量は物体固有の量なので、重量と違って場所など環境の影響を受けません。例えば同じ物体でも月面では地球上の約6分の1の重量になりますが、質量は変わりありません。
質量と重量の違い
重量(重さ)とは、物体に作用する万有引力(重力)の大きさです。単位はN(ニュートン)またはkgf(キログラムエフ)です。
既に述べたように質量は場所など環境の影響を受けず、重量はその影響を受けますが、ほとんどの人々は重力場がほぼ変わらない地球上で生活しているため、実用上は質量と重量を区別する必要がありません。そのため質量という言葉と重量という言葉はしばしば混同されたり同じ文脈で使われたりしますが、物理量の定義としては明確に異なるものなので注意が必要です。
法制度においても、計量法ではそれぞれ「質量」「力」として定義されていますが、例えば道路運送車両法における「車両総重量」や航空法における「最大離陸重量」など、「質量」の意味で「重量」の語を使用しているケースも見受けられます。
質量の単位の種類
SI単位系(国際単位系)における質量の単位はkgであり、計量法でもkgを基本として規定しています。kgの派生単位としてgやtもよく使われます。また国際単位系以外ではlb(ポンド)やoz(オンス)も質量の単位です。
SI単位のkgは、「プランク定数を10の34乗分の6.62607015ジュール秒とすることによって定まる質量」(計量法別表より)と定義されています。従来の国際キログラム原器による定義から2019年に変更されたもので、これによってkgは器物に依存しない定義となっています。
質量の単位の換算方法
質量の単位間の換算について、SI単位のkgを基準として見ていきます。
kgを基準として、その1000倍がt(1000kg=1t)、1000分の1がg(1g=0.001kg)となります。gのさらに1000分の1がmgです。いっぽうアメリカなどでは、今でもlb(ポンド)やoz(オンス)が使われています。1lbは0.453kg、1ozは0.0283495kgです。また我が国で古くから使われていた尺貫法の貫(貫目)との換算では、1貫は3.75kgです。
kg | t | g | lb | oz | 貫 | |
1kg= | 1 | 0.001 | 1000 | 2.2046 | 35.274 | 0.26667 |
1t= | 1000 | 1 | 1000000 | 2204.6 | 35274 | 266.67 |
1g= | 0.001 | 0.000001 | 1 | 0.0022046 | 0.035274 | 0.00026667 |
1lb= | 0.45359 | 0.00045359 | 453.59 | 1 | 16 | 0.12096 |
1oz= | 0.0283495 | 0.0000283495 | 28.3495 | 0.06 | 1 | 0.0075599 |
1貫= | 3.75 | 0.00375 | 3750 | ...