分析波長の選択、内標準法:金属材料基礎講座(その151)

 
【目次】

    1. 分析波長の選択

    ICP-AESの定量分析ではブランク材(超純水など)、標準試料、測定試料の発光スペクトルをそれぞれ測定して、目的元素の定量分析を行います。この時、一つの元素を測定するのに複数の波長から最適な波長を選択しなければなりません。これは測定元素が1つから複数になっても同じです。波長を選択するための基準はいくつかあります。

    1.  高感度で十分な検出下限であること。
    2.  他の元素の分光干渉の影響が少ない波長であること。
    3.  同じ元素で別の波長を比較したときに見かけ上低濃度となる波長を優先すること。

     

    測定後は波長ごとに発光スペクトルの波形データを確認できるので、そこから判断します。理論上はプラズマの中で発生した発光スペクトルは同じ元素であれば、測定する波長が変わっても発光強度は同じはずです。そのため、いくつかの波長で同じ発光強度(濃度)となり、1つの波長だけ大きく発光強度の異なる波長がある場合、その波長は干渉されていると思われます。また、バックグラウンド補正では波長のベースラインを設定します。ピーク一からベースラインを引いた値を正味の発光強度として計算します。

     

    2. 内標準法

    金属材料の定量分析には測定元素を標準溶液で調整して測定する検量線法が広く使われますが、物理干渉を補正するのに内標準法が使われます。内標準法はJIS K0116発光分析通則では強度比法と規定されています。検量線作成用標準溶液と試料溶液に測定元素とは別の元素(内標準元素)を一定量添加して、測定元素と内標準元素の発光強度比から濃度を算出します。内標準法のグラフを下図に示します。注意点としては内標準元素は試料溶液に含まれていないことです。内標準元素としてはYを使用することが多いです。もしYが試料中に含まれている時はYbを使用することもあります。

    図.内標準法

     

    次回に続きます。

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