今回は、「社会人基礎力」について解説します。
1. 社会人基礎力の定義
社会人基礎力の定義は『「基礎学力」「専門知識」に加え、今、それらをうまく活用し「多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力』でした。その後「人生100年時代の新・社会人基礎力」として、新しい定義づけがされました。それは『これまで以上に長く個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフ・ステージの各段階で活躍し続けるために求められる力』です。そして「3つの能力/12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、目的、学び、組み合わせのバランスを図ることが、自らキャリアを切り開いていく上で必要」と位置付けています。
(1)3つの能力 / 12の能力要素
「3つの能力 / 12の能力要素」は、
- ▶前に踏み出す力:主体性・働きかけ力・実行力
- ▶考え抜く力:課題発見力・計画力・想像力
- ▶チームで働く力:発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力・規律性・ストレスコントロール力
こちらに「新たな3つの視点」が加わりました。
- ▶何を学ぶか『学び』:学び続けることを学ぶ
- ▶学び続ける力・「OS]と「アプリ」・マインドセットとキャリアオーナーシップ
- ▶どのように学ぶか『組合せ』:多様な体験・経験や能力を組み合わせる
リフレクションと体験・実践、多様な能力を組み合わせる
- ▶どう活躍するか『目的』:自己実現や社会貢献に向けて行動する
自己実現や社会貢献に向けて、企業内外で主体的にキャリアを切り開いていくとは、経済産業省の解釈では「人生100年時代」「第四次産業革命」の下で『社会人基礎力(3能力/12能力要素)』は、むしろその重要性を増している。
その一方で「人生100年時代」ならではの『切り口』『視点』が必要としています。みなさんご存じだと思いますが、団塊世代(1947~49年生まれ)の方が2022年から75歳、後期高齢者となりました。いわゆる「超高齢化社会」に突入しました。そうなると、今の60歳定年、65歳まで雇用延長のパターンですと、今「支える側」と「支えられる側」の割合2:1が、2040年には1.5:1、2050年には1.3:1になる試算が出ています。非情に厳しい現実があり、またこれからさらに負担が大幅に増えます。
(2)人生100年時代
人生100年時代です。現在約10万人ほどの100歳以上の方が、2050年頃には50万人を超えるとされています。こちらも団塊世代の方々です。以前は労働力として有益だった方々が逆に厳しい状況に繋げてしまう。なんとも、もの悲しいものです。(参照:平成30年9月経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」)
国は「75歳まで働く」を旗揚げしています。ということは、企業の労働者は、10代から70代、ほぼ家庭で言う3世代となるわけです。この3世代の多種多様な価値観を持っている方々が組織、チームとなって仕事に取り組んでいくわけです。うまくチームを組んで結果を出していくためには、「社会人基礎力」はとても大切なポイントになります。
(3)社会人基礎力
経済産業省が提唱する「社会人基礎力」ですが、その後「人生100年時代の「社会人基礎力」」という表現に変わりました。その内容は、先に書かせていただきました。この後は、具体的にどのようなことをすればいいのか、について書いていきたいと思います。「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「どう活躍するか」ですが、経済産業省は「人生100年時代の社会人基礎力」の「気づき」の設定として、以下の内容をあげています。
▶新人 社会人
何を学ぶか:自らが付加価値を生み出すための学びは何か、学びの広さや深さを得られるか
どのように学ぶか:多様な人と出会い、視野広く持ち、多様な機会を得ているか
どう活躍するか:組織や家庭との関係でどんな自分でありたいか
体験の場:どこで=職場・業界団体の集まり・異業種勉強会・地域社会、
どのように=企業や業界主催の研修・社外活動
誰が=企業や業界等・研修事業者・有志の集まり
▶中堅 社会人
何を学ぶか:強みを伸ばし、弱みを克服する学びは何か、社会や技術の変化に体操するための学びはなにか
どのように学ぶか:多様な人との関係性を構築し、価値の創出に向けて組合せているか
どう活躍するか:自己実現するためにどのような行動が必要か
体験の場:どこで=職場・業界団体の集まり・異業種勉強会・地域社会・大学や大学院
どのように=企業や業界主催の研修・社会活動・社内兼業や起業・兼業副業出向
誰が=企業や業界等・研修事業者・有志の集まり・大学等
▶中高年 社会人
何を学ぶか:持続的に活躍し続けるために必要な学びはなにか
どのように学ぶか:多様な人との関係性を活用し、活躍の場や活動の領域をこれまでより広げているか
どう活躍するか:これまでの経験を踏まえ自らが社会に提供できる価値は何か
体験の場:どこで=職場・業界団体の集まり・異業種勉強会・地域社会・大学や大学院
どのように=企業や業界主催の研修・社会活動・社内兼業や起業・兼業副業出向
誰が=企...
2. まとめ
上述の内容を、企業がサスティナブルに行っていくことが求められているのです。実践するには、企業内で認識の統一が図れているのかが大切です。ベクトルが合っているかです。特に、上からです。経営陣に認識、幹部の認識、中間管理職の認識です。ありがちな、担当者のみが危機感を感じているのではいけません。
社内の認識を統一し、社内担当者と役職者が情報共有し、社外の研修事業者や関係団体などと役割分担を明確にして連携し、行っていくことが大切です。経済産業省がしっかりとまとめてくれているので、この内容をうまく活用しながら自社の「キャリア開発&組織形成」についての方針決め、プログラム設計と実践のPDCAを行うことが一番と考えます。
次回に続きます。
【出典】株式会社トライアングル・トラストHPより、筆者のご承諾により編集して掲載。