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ヒューマンエラー防止策の別な呼び方として、ポカヨケがあります。これには、2つの方式があり、1つは注意式と呼ばれるものと、規制式があります。今回は、前者の注意式の防止策を紹介します。
1. 光と音を使って人に喚起させる注意式の防止策
注意式は、規制式に比べてコストがかからないので、比較的簡単に現場でも設置ができます。ただし、注意を喚起して人に気づかせることが主体となっており、喚起してもきづかなかったり、逆に故意に無視したりしてやらかしてしまうこともあります。規制式は、それ以上の行為ができなく、次の作業に移れない強制的な面があります。まずは、喚起して違反をしないように仕向けます。それでもやってしまう場合に、少しコストがかかり複雑な動きも伴う規制式にステップアップしていくとよいでしょう。
しかし、この光だけではどうしても喚起が不十分なことに、皆さんは気づかれると思います。目覚まし時計では、必ず音を併用しなければなりません。光よりも断然音が重要です。出張に行く時は、携帯電話のアラーム機能は当然です。でも万が一の場合を考えて海外の場合は、いつもアナログ式の目覚まし時計を携帯しています。
ホテルのベッド周辺に設置されている目覚まし時計も使います。必ず時間をセットした後に、実際アラームが鳴るかどうかもチェックします。場合によっては、電話でのアラームをセットします。海外は、故障がちょくちょくあるのです。ここまでしないと遅刻したら仕事がなくなることがあるので、念には念を入れます。遅刻は今もゼロです。
これに加えて、携帯でのアラーム機能にある居眠り防止の「スヌーズ機能」も1つだけでなく、2つ入力します。例えば、5時半と6時です。何重にも用意して、絶対に寝坊しないようにし...
西郷隆盛は、目が覚めると一気に布団を足でけり、二度寝をしないようにしていたそうです。そこまでの精神力が足りないので、スヌーズ機能はまだ愛用します。
身近な事例として、ATM機の現金やカードの取り忘れ防止、エレベーターの重量オーバー、車の半ドアや鍵の取り忘れ防止、IHクッキングヒーターの過熱防止、風呂の湯沸かし装置など、普段気づかないものですが、探すと実に多く生活のなかに組み込まれています。中には音声で、状況説明や指示までもしてくれる機能も付いている機器もあります。
2. パトカー、消防車、救急車のサイレンの違いは?
高速道路や工事中の標識には、必ずランプ点灯と併用してランプの点滅があります。さらには、画像も併用して旗を振るしぐさを見せて喚起を促す方式も導入されています。最近気づいたのは、男性でなく女性が旗を振る時に、腰を少しくねらせて優しさを強調した画像もありました。このランプの点灯と“チカチカ”とランプが点滅する違いは、視認性が10倍もあると言われます。LEDにランプ自体が変わり、赤や緑や白なども併用され、自由にしかも模様の変化が奇抜になって、ハッとするように工夫されています。
良く知られているのが、パトカーなどに取り付けられる車両用の回転灯です。製造現場では思わず商品名を語ってしまいますが、“パトランプ”と言っておきますが、回転すること視認性が向上します。しかもこれに、色付けをすることで、色々と識別もできます。赤は緊急、黄色は道路維持作業のパトロール、緑は大型などの運搬車両、青は自主防犯活動中を表し、紫は故障中の車両を識別しています。
遠くからこれらの緊急車両が移動するのがわかるのが、サイレンの音です。パトカーは「ウー、ウー、ウー」のように聞こえます。消防車は、火事の現場に向かう時は「ウー、カンカンカン」と鐘も鳴ります。消火した後の消防車のサイレンはどうなるかと言えば「ウー」がなくなり「カンカンカン」のみとなります。消火したので、緊急を知らせる「ウー」は必要なくなるので鳴らさなくてよいのでしょう。
「ウー」と聞けば、反射的に胸騒ぎが起こります。「消火したので、皆さまご安心ください」とアナウンスをしていると考えた良いでしょう。救急車は、これらと違うサイレンになります。「ピーポー、ピーポー」と聞こえます。
3. 火災報知器の音は即行動につながる武器です
製造現場で騒音のうるさいところでは、ランプや回転灯では報知が不十分なことがあります。製造現場に配属された時に、製造ラインからの呼び出しがあっても気づかないことがあり、現場から苦情がありました。対策として考えたのが、火災報知器のベルでした。製造スタッフ室はパーテーションでしたが、その壁に取り付けました。呼出用のスイッチは各現場に設置して、その場に行かないと切れないようにしました。
一発目が鳴った時は、心臓が飛び出るくらいビックリしました。パーテーションがスピーカーの筐体になって音が鳴り響くのです。即行動せざるを得なくなりましたが、その間うるさくて何もできません。電話も聞こえません。これで強制的に即行動ができるようになり、1ヶ月で相当な問題処理と改善ができるようになり、通常の呼び出しベルに替えました。ただしこれ以降、心臓が弱くなったことも確かです。
このやり方は、海外の工場でもやってみました。効果はてきめんです。最初に工場長以下社員になぜ火災報知器を使い、即行動して改善をどのように推進していくかを説明して、導入に踏み切りました。いきなりその日だけでも、数十回のベルが鳴りました。目的をしっかり説明しておいたので、処置班と改善班が一体となって、改善に取組めるようになりました。2か月後には、数回で収まるようになり、4か月後には火災報知器を撤去して、どこで何が発生したかわかるようにした「アンドン」システムを設置しました。
写真「アンドン」システム
次回に続きます。
【出典】株式会社 SMC HPより、筆者のご承諾により編集して掲載
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