5S活動と仕事の効率、仕事の効率は時間短縮だけではない

 

【目次】

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    1. 5S活動と仕事の効率

    5S活動では、仕事に対する効率改革も当然行います。ところで日本社会にとって、残業は「悪」と言われて来ています。 世間で残業は「悪」と思われがちですが、残業代が給与の +アルファになっている方もあると思います。会社側としては、できる限り残業を無くし各自の生産性を向上させる努力は必要です。今回は「仕事の効率は時間短縮だけではない」についてお話します。

     

    仕事の効率を考えて行くと、残業は減っていきます。しかし、現状では残業代が無くなると困る人達も出てきてしまう。先程も述べましたが、残業代が生活の足しとなっている人達がいるのです。仕事効率向上は、残業が減り、ムダな経費・人件費が減ることになりますが、各自の生産性は向上して必ず利益に貢献します。大手企業であれば、会社の経営計画を変えるとなると、少しの変更に対しても時間がかかります。中小企業では、規模が小さければ小さい程、変更にも直ぐに対応が出来て各自の生産性は向上効果は早く出ます。

     

    余談ですが、まさに経営は、船の舵取りに似ています。

     

    例えば船を運航していて、前方に回避しなければならない障害物を発見した時、障害物を避けるためには左右のどちらかに舵を切り障害物を避けなければなりません。大型船に乗っているAと、小型船に乗っているBでは、舵を切らなければならないタイミングはそれぞれ違います。Bが乗っている小型船は、Aの大型船に比べ小回りが利きます。障害物をギリギリで回避したBの小型船と同じタイミングで、Aの大型船が障害物に気付き回避しようとしても、左右に旋回させるためには小型船に比べかなり時間が掛かるのです。大型船が、小型船と同じタイミングで舵を取っては既に時遅しとなり、障害物に衝突してしま...

    います。会社も同じ事が言えます。

     

    規模が大きくなればなるほど、規模の小さい会社に比べ動きは遅くなります。会社内での情報伝達を考えて見て下さい。経営者が情報を発信し、全職員に必ず伝えなければならないとした場合、十人の会社と千人の会社であればどちらが早く情報を伝えられるのか?当然、数の少ない十人の会社の方が早く伝わります。ひねくれた人であれば「メールで発信すれば、どっちも同じじゃないか」と言われるかもしれませんね。しかし、メールとは発信側は一斉に遅れても、送られた人(受け取った人)がどのタイミングで確認するかにもよります。

     

    直ぐ送られてきたメールを確認した人、送られては来ていたが確認したのが十日後など様々です。メールは送った側と送られた側とに温度差が必ずあるものです。重要な事項や早急に求めるものについては、メールを一方的に送っただけではなく、電話などほかの手段も交えて伝えなければ「言った、言わない」の揉め事になるので要注意です。規模が大きい会社ほど、経営判断のタイミングを早めなければなりません。判断が遅れ、衝突してからでは手遅れなのです。

     

    話を戻しますが、5S活動での仕事効率向上で残業は減ります。仕事効率向上は、残業が減り、ムダな経費・人件費が減ることになりますが、各自の生産性は向上して必ず利益に貢献します。その利益は、残業代という名目ではなく、給料や賞与として全社員に還元されるべきものです。従業員の方々も安心してください!本来、5S活動での仕事効率向上で残業が減ったとしても、所得が下がることはありません。

     

    2. 効率向上において大切なこと

    「仕事の効率」について、注意しなければならないことが一つあります。

     

    「効率」と聞くと、自分達の仕事時間の短縮と捉えてしまい、何でもかんでも時間だけ削ろうとする人がいます。ムダな時間の削減ですが、必要な事までも削ってしまい、仕事上のミスや事故が増えたのでは全く意味がありません。仕事の効率は、ミスや事故を無くすという意味も当然含まれているのです。ミスが多くなれば、修正するために同じことを2度も3度も繰り返し行わなければならなくなります。事故は、仲間の怪我などで人手が足りなくなり、効率どころか仲間の仕事をカバーするために残業だって増える可能性も出てきます。ミスや事故が多くなる会社で「仕事の効率を考えています」は嘘です。 

     

    効率を考えたムダの削減は良いのですが、ミスや事故によりムダを増やしては意味がありません。仕事の効率を考えれば、ミスや事故は減ることになります。

     

    ミスや事故を減らすためには、自分や仲間達の弱点を理解する必要もあります。ミスしやすい所、注意しなければならない所、危険な作業については、時間短縮という考えではなく、逆に時間をかけた方がよいのです。2度、3度と、同じことを繰返さなければならない時間を考えれば、ミスを無くした方が絶対に効率は上がります。今まで、5分間かけた仕事でも、ミスが多い、絶対注意しなければならない所は、5分間を8分間に増やすのです。その代わりに、注視する前後の仕事内容で、増加した3分間のムダを短縮すれば、トータルの時間は変わりません。

     

    時間は変わらなくても、ミスがなくなることでムダな時間は削減されるのです。効率というと、どうしても必要な時間まで削減されることが多いですね。しかし、注意箇所には充分に時間かけて、ムダな時間を削減するように心掛けてください。次の段階として、ミスや事故が無くなれば、時間を増やした分の削減を考えれば良いのです。仕事の効率は、一気に進めてしまうことで、余計なミスや事故に繋がってしまうことが多いので、十分注意を払う必要があります。時間のかけ方を間違えないことが、効率において大切なこととなるのです。

     

    次回に続きます。

    【出典】株式会社 ヒューマン・ナレッヂ HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

     

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