研究開発部門がとるべきリーダーシップの型、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その97)

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この連載の前回、事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)へのリンク

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先日「研究開発部で新規プロジェクトを主導するためのリーダーシップ法」というセミナーを行いました。タイトルにあるように新規事業や新商品の立ち上げを目的に研究開発を行う組織・チームのリーダークラスの方に参加いただくプログラムです。

 

ご承知のとおり、リーダーシップに関しては、すでに書籍やWeb媒体で数多くのノウハウが公開されています。このような中、どういった課題を持つ方が参加されているかというと、次のような課題がある方が多いようです。

 

中でも社内外のステークホルダーと良好な関係性を構築しつつも、目標達成をするべくリーダーシップの取り方に迷いを感じているケースが目立ちます。自社にとって新規性が高い事業アイディア・研究開発テーマを進める際、第一のハードルは社内ステークホルダーの賛同を得ること、すなわち企画の稟議を通す活動です。もちろんアイディアや企画そのものの質を上げる活動は重要ですが、忘れてはいけないのが他者を巻き込むリーダーシップのスタイルです。

 

他者とは、企画を判断する上位層だけではなく、事業化活動の中で今後、協創するであろう組織・チーム・人です。とかく小規模でスタートする新規事業・研究開発テーマは、近々、他部門の協力が必要になります。リーダーは先々を見越して、協力関係を結ぶであろう組織をリストアップし、アプローチすることが必要です。

 

ちなみにアプローチといっても、いきなり協力を依頼するのではなく、相手方の状況をヒアリングし、こちらからは事業アイディア・研究開発テーマの概要を伝えることから始めます。これを何度か繰り返すことで、無理な協力依頼を避け、友好な協力関係を築くことが可能です。

 

正式に協力を依頼する際は、事業企画や研究開発テーマの詳細を説明するとともに、依頼事項を具体的に伝えることがリーダーの仕事です。依頼項目には、①目標、②期限、③アプローチ案、④コミュニケーション法(進捗・完了報告など含む)を盛り込みます。

 

さらにリーダーとして注意するべきは、Win-Winの成果が得られる依頼となっているかです。多くのケースでは、新規事業系の依頼が相手方にとって追加業務であり、負荷がかかります。心理的にもネガティブになりやすいため、依頼相手となる組織・人にメリットを提示できるかはアウトプットの質にも影響しかねません。例えば、依頼相手の組織が開発する既存事業に活用可能な技術であったり、興味を持っている新規技術とマッチしていると快く対応してくれることがあります。

 

以上のように、プロジェクトを推進するリーダーは、第一のハードルである社内ステークホルダーとWin-WInの協力関係を構築・維持する巻き込み型リーダーシップを発揮することが望まれます。

 

次回に続きます。

 

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