筆者が社会人となって間もないころ、エンジニアとしてどういうキャリアプランを描こうか迷っていました。ぼやっとしたものはありましたが、考える日々が6ヶ月ぐらい続いていました。その時,書店の棚で、ある本が私に語りかけてくれました。実際には、目に留まったのですが、そのときは、語りかけられたような感覚だったと記憶しています。その本のタイトルは、「技術士への道」というタイトルでした。いつも、問題意識を持っていると偶然に見つかることを、「セレンディピティ(serendipity)」と呼びます。まさに、それであったような気がします。その本により、40歳ぐらい先までのキャリアプランの糸口が見つかったのでした。
「セレンディピティ」を広辞苑でひくと「思わぬものを偶然に発見する能力。幸運を招きよせる力。また、その能力。」とあります。ホレース・ウォルポールという英国の小説家が、スリランカ(昔はセレンデイップと呼ばれていた)の昔話に出てく
何年か前に「セレンディピティ」というに映画を観ました。ニューヨークとサンフランシスコに住むふたりの出会いと数年後の運命的な再会の映画でした。サラとジョナサンが出会い、初めてデートをしたニューヨークのカフェの名が「セレンディピティ」でした。度重なる偶然に引き寄せられ、助けられながら、最後は自分の強い意志で相手を探し当て、恋を成就させる男女のラブストーリーだったことを思い出しました。
図1 映画のセレンディピティ
数年前、ホンダのフィットという車種の開発担当者が、次のようなことを言っていました。毎日毎日、車のデザインのことで頭がいっぱいだったそうです。考えに考え抜いても、よいアイデアが出なかったことを強調していました。苦しんで、苦しんで、斬新なものを開発しようとしていたある日、視点をちょっと違う...