【業務改革を実現する問題解決技法 連載目次】
1.仮説設定と実態調査計画
前回のその3 事業責任者の問題認識に続いて、今回は、全体業務フローです。「事業目標と改革テーマ」の関係が明確になれば、次はどのような問題が実際に起きているのかを調査する段階となります。上層部から現場担当者まで、関係者が想定している問題にはいろいろな思い込みがあります。『問題と思っていることがどの程度悪い状況なのか』『表面的な現象ではなく、問題の真因は何なのか』を明らかにすることがまず重要です。
このようなことは、机上の議論だけでは明らかにはなりません。実態調査が必要ですが、この時注意が必要です。『とりあえず調べてみよう、とりあえず意見を聞いてみよう』いうような“とりあえず調査”をしてしまいがちですが、これにはムダが多く、大きな手戻りが発生します。それを避けるために「実態調査計画」をきちんと作成してから取組むことが必要になります。その際の大事なポイントは「問題構造(原因→結果)」の“仮説”を設定することです。
仮説が単なる“思いつき仮説”とならないように、仮説設定には根拠が必要です。既存の関連資料・関連データ、事業責任者の問題認識などが材料になりますが、それに加えて関係キーパーソンの問題認識も重要な材料となります。それを収集するために実施するのが「キーパーソンインタビュー」です。そしてこれを円滑に進めるために「全体業務フロー」を作成しておくと大変役に立ちます。
2.全体業務フロー作成
全体業務フローとは、改革対象となる事業領域の全体的な業務の流れを図示したもので、作成時のポイントは以下の通りです。
業務フロー作成は経験された方も多いと思いますが、時間をかけて作成しても、後で見てみると『枚数が多く細かい情報ばかりで、何を表しているのか理解しにくい』ということが往々にしてあります。この様な状況に陥らないために、重要な点が1つあります。それは全体業務フローについては『1枚で図示する』ということです。業務フローというものは、例え2枚であっても複数枚数になると全体像が掴めなくなります。大きくなっても全く構いませんので、『1枚で図示する』ということが非常に重要です。
また業務名称(例えば「部材納期確認」「製造指示」など)と共に、その業務へのインプット...
この後、実態調査計画を作成する段階に入りますが、その際「業務フローの調査・分析」「三現主義(現場、現物、現実)」「事実データに基づいた定量的調査・分析」という3つのポイントがあります。この1番目のポイント「業務フローの調査・分析」の観点からも「全体業務フロー」は最低限作成すべきものとなります。