TRIZにおけるリソース

1. リソースとは

 科学的なアイデア発想法であるTRIZの一つのツールに「リソース(Resource)」があります。英々辞典のResourceの意味は、「人あるいは組織が、持っているさまざまなモノあるいは質」とされています。広辞苑では、「生産活動のもとになる物質・水力・労働力などの総称」とされています。通常の和訳では「資源」となりますが、TRIZではだいぶ意味が違っています。そこで資源と訳さず、「リソース」と呼んでいるのです。

 TRIZにおけるリソースは、宇宙のあらゆるモノ、コトなどが発想のヒントやトリガー(きっかけ)となることを意味しています。皆さんの周囲にある「リソース」を利用できないか考えると、アイデアは枯渇しないはずなのです。

 Darrell Mann が著わした「TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新」(創造開発イニシアチブ)の「第14章リソース」では、リソースの中身を詳細に説明しています。迷った場合には、ここを読み返してください。この部分は、筆者が翻訳を担当しました。この中では、使いやすくするために、リソースのリストを以下のカテゴリーに分類しています。その各カテゴリーの一部を、表1に挙げます。

2. リソースの具体例と活用法

 筆者は、TRIZにおける「空間・時間・インターフェース」という概念が、非常に重要な思考ファクターであることから、理解しやすく、発想のヒントとなり易いように、表1のように組み替えて具体例の概要を紹介しています。単純に、発想をし易くするためのリストとして使うことがお薦めです。例えば、物理的矛盾の、空間で分離、時間で分離、条件で分離などのヒントの代替としても使えるでしょう。また、TRIZの9画面法では、空間軸、時間軸でシステムを定義しますので、そのヒントとしても応用可能です。さらにNM法の解説でも述べましたが、「例えば、××のようにキーワードとの関連で見つける」質問のヒントとしても非常に有効と思われます。

 TRIZのリソースは、いままで使われていなかった意外な資源をうまく使うところに意味があります。うまく活用できれば、コスト削減、環境対策、省資源などの現代的課題解決につながるものです。活用法としては、シス...

テムの構成要素の一つ、あるいは、その内部のものに限定してもよいのです。すぐ周りにあってもよいし、離れた所にあるものでもよいのです。それは、材料としての物質であっても、道具としての機材であっても、まわりの空気でもよいわけです。また、光、音、磁力、エネルギなどの「場」であってもよいのです。TRIZのツールの中にあって、自由度が高く、非常にシンプルなものと言えます。

 

参考文献

Darrell Mann 他、TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)

◆関連解説『TRIZとは』

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