主な直交表の種類と特徴

更新日

投稿日

 

【目次】

    ▼さらに深く学ぶなら!
    「直交表」に関するセミナーはこちら!
    ※本記事を執筆した専門家「熊坂治」が提供するセミナー一覧はこちら!

     

    直交表には実に多くの種類がありますが、主な直交表とそれによって評価できる因子水準の種類と数を下の表1に示します。

     表1.主要な直交表と評価できる水準主な直交表の種類と特徴

     

    一般的には、2水準/3水準とその混合系の直交表が利用されます。5水準系や、完全には直交していない殆直交表などもあり、それぞれ有効な場面もありますが、使用頻度は多くないようです。

    リアル(現物)実験では、30サンプル程度規模までの実験が通常の限界で、それ以上の直交表が使われることはなかなかなく、半導体プロセスなど大掛かりな実験ではさらに小さい直交表を使わざるをえません。一方で、条件設定変更が容易で計算時間も短いシミュレーション実験では、L54やL108という大きなサイズの直交表も頻繁に使われます。ただし制御因子を大きな直交表に割り付け、さらに誤差因子を外側に割り付けると、パラメータ水準変更の回数がとてつもなく増えるため、水準自動設定、結果自動記録のソフトウェアを使った方が合理的です。

    それでは主なそれぞれの直交表に関して、特徴と用途を挙げてみます。

     

    1.2水準系直交表

    (1) L4直交表

    主な直交表の種類と特徴

    長所:とにかく小さいので、手軽に使える
    短所:繰り返し数が少ないために、結果の信頼性が低い
    適用:サンプルあたりの実験時間、費用が非常に大きい、もしくは実験期間が極めて短い場合。
     ただし時間がないと言っていながら小さい実験では結局解決せず、何度も繰り返すケースが多々あり...

     

    【目次】

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「直交表」に関するセミナーはこちら!
      ※本記事を執筆した専門家「熊坂治」が提供するセミナー一覧はこちら!

       

      直交表には実に多くの種類がありますが、主な直交表とそれによって評価できる因子水準の種類と数を下の表1に示します。

       表1.主要な直交表と評価できる水準主な直交表の種類と特徴

       

      一般的には、2水準/3水準とその混合系の直交表が利用されます。5水準系や、完全には直交していない殆直交表などもあり、それぞれ有効な場面もありますが、使用頻度は多くないようです。

      リアル(現物)実験では、30サンプル程度規模までの実験が通常の限界で、それ以上の直交表が使われることはなかなかなく、半導体プロセスなど大掛かりな実験ではさらに小さい直交表を使わざるをえません。一方で、条件設定変更が容易で計算時間も短いシミュレーション実験では、L54やL108という大きなサイズの直交表も頻繁に使われます。ただし制御因子を大きな直交表に割り付け、さらに誤差因子を外側に割り付けると、パラメータ水準変更の回数がとてつもなく増えるため、水準自動設定、結果自動記録のソフトウェアを使った方が合理的です。

      それでは主なそれぞれの直交表に関して、特徴と用途を挙げてみます。

       

      1.2水準系直交表

      (1) L4直交表

      主な直交表の種類と特徴

      長所:とにかく小さいので、手軽に使える
      短所:繰り返し数が少ないために、結果の信頼性が低い
      適用:サンプルあたりの実験時間、費用が非常に大きい、もしくは実験期間が極めて短い場合。
       ただし時間がないと言っていながら小さい実験では結局解決せず、何度も繰り返すケースが多々あります。本当に役立つデータを得るための実験規模を考えるべきです。

      (2) L8直交表

      主な直交表の種類と特徴

      長所:サイズが小さすぎず大きすぎず使いやすい。要因が7個評価できる。反復数も十分で信頼性がある。1列使って交互作用の効果を評価することが可能。3列使って4水準も割り付け可能。
      短所:想定外の交互作用があると、制御因子の効果と交絡して(分離できずに)間違った結論を出す危険性がある。
      適用:実に手ごろな直交表。

       

      (3) L12直交表

      主な直交表の種類と特徴

      長所:サイズ、繰り返し数が適当。
      交互作用が一つの列に集中しないので大きな失敗が少ない。
      実験効率がそこそこ大きい(211/12=171倍)

      短所:交互作用が評価できない。
      3水準、4水準が一切組めない。

        

      (4) L16直交表
      主な直交表の種類と特徴

      長所:実験効率が高い(215/16=2048倍!)
      繰り返し数8で信頼性充分、欠測値があっても結構精度が確保できる。
      4水準を組んでも多くの因子を評価できる。 

      短所:大きなシステムでは16回の実験実行に苦労する。
      特に15因子をフルに使うと、複雑な水準の設定を間違えそう。
      かなり気合を入れて、注意深くする必要あり。   

                

      2.3水準系直交表

      (1) L9直交表

      主な直交表の種類と特徴

      長所:3水準では最小の直交表
       水準繰り返しも3回あってまずまず。

      短所:4つの因子しか評価できない。
       実験効率小さい(34/9=9倍)   

         

      (2) L27直交表

       

      主な直交表の種類と特徴

      長所:実験効率が高い(313/27=59049倍!)
      繰り返し数9で信頼性ばっちり、しかも3水準。

      短所:3水準13因子フルに使う実験はあまりない。
      27サンプルを別仕様で作るのはかなりの労力を要する。

      3.混合系直交表

      (1) L18直交表

      主な直交表の種類と特徴

      長所:サイズ、水準繰り返し数が適当。
      交互作用が一つの列に集中しないので、誤った結論に至りにくい。
      6水準が1因子組み込める。
      実験効率がそこそこ(21×37/18=243倍)。

      短所:交互作用が評価できない。
      大きなシステム実験では18回の実験やサンプル作りが若干大変。

          

      以上のように各直交表ごとに特性があるため、使い分けて使用します。

      よく「直行表」と間違えて表記されているのを見ますが、「直交表」ですので注意してください。

       

      下にL18の直交表および品質工学SN比計算式が設定されたエクセルワークシートをご提供します。ページ右上のバナーから会員登録の上ダウンロードしてください。

      特典資料(会員限定)
      L18 基本ファイル(※xlsファイル)

      計算式にロックをかけていませんので、少し勉強すれば他のサイズの直交表向けに自分で作りかえることも可能です。

      ここで出てくる18組み合わせ行下の「B・M」は「Bench Mark (ベンチマーク)」の頭文字です。たとえば現行の組み合わせが「1 2 2 2 3 1 1 3」だとすると、これは直交表の18通りの組み合わせ中に存在しません。実験時に直交表が示す18通りに加えて、このB・Mの組み合わせも測定することで、現行の特性との比較が可能となります。
      もちろん現行条件以外でも、何らかの理由で評価したい組み合わせがあれば、この行を使うことができます。

      もしこのワークシートや、直交表に関して不明の点があれば、当サイトの「コミュニティ」「問い合わせ」機能を使って質問してください。


      品質工学をやさしく解説するセミナーDVD好評発売中! 
      「品質問題の未然防止は難しくない!-品質工学の基本的な考え方-」

       

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「直交表」に関するセミナーはこちら!
      ※本記事を執筆した専門家「熊坂治」が提供するセミナー一覧はこちら!

       

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      熊坂 治

      ものづくり革新のナレッジを広く共有、活用する場を提供することで、製造業の課題を解決し、生産性を向上します。

      ものづくり革新のナレッジを広く共有、活用する場を提供することで、製造業の課題を解決し、生産性を向上します。


      「直交表」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      直交表問答集

       直交表に関して皆さんからいただいた相談、質問の中からいくつかを公開します。 Q1:直交表で不良率を評価するにはサンプルがたくさん必要ではないでしょうか...

       直交表に関して皆さんからいただいた相談、質問の中からいくつかを公開します。 Q1:直交表で不良率を評価するにはサンプルがたくさん必要ではないでしょうか...


      直交表実験の解析と確認 効率的な実験手順を考える(その5)

        【効率的な実験手順を考える 連載目次】 1. 全体の流れ 2. 実験の目的と評価項目、方法、目標を設定する 3. 因子のリストアップ...

        【効率的な実験手順を考える 連載目次】 1. 全体の流れ 2. 実験の目的と評価項目、方法、目標を設定する 3. 因子のリストアップ...


      直交表実験の準備と実行 効率的な実験手順を考える(その4)

        【効率的な実験手順を考える 連載目次】 1. 全体の流れ 2. 実験の目的と評価項目、方法、目標を設定する 3. 因子のリストアップ...

        【効率的な実験手順を考える 連載目次】 1. 全体の流れ 2. 実験の目的と評価項目、方法、目標を設定する 3. 因子のリストアップ...


      「直交表」の活用事例

      もっと見る
      直交表における交互作用の評価について

              今回は、直交表における交互作用の評価について、次のようなQ&A形式で事例により解説します。   Q1. 現在3つの因子A...

              今回は、直交表における交互作用の評価について、次のようなQ&A形式で事例により解説します。   Q1. 現在3つの因子A...


      統計手法利用の改善事例:直交表、分散分析表

       インターネットを媒介とした契約商品を販売しているE社は積極的に売上の改善に取り組んでいました。様々なアイデアを社員から募集し、採用したものは契約率への効...

       インターネットを媒介とした契約商品を販売しているE社は積極的に売上の改善に取り組んでいました。様々なアイデアを社員から募集し、採用したものは契約率への効...