相互作用、交互作用とは

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交互作用
 
 
 統計学で交互作用という言葉が良く出てきます。主には実験計画法(DOE)で頻出しますが、DOEに限らず統計学では一般的によく用います。 交互作用に似た用語に相互作用がありますが、意味が異なるのでしょうか、また、相乗効果、相加効果、相殺効果と言った類義語や対義語もありますが、違いについて考えてみましょう。
 

1. 高次交互作用とは

 高次交互作用の評価を断念することで少ない実験で要因効果を知るためのツールとして直交表があります。工業実験の成果を上げるためにはより多くの因子を扱う事が有効ですが、原理的には掛け算で実験数が増えてしまいますので、すべての結合・組み合わせを評価せず、一部の組み合わせを実験して統計的に要因効果を評価するために直交表が使われます。戦後日本の製造業発展は直交表の効果であると思えるほど効果的な手法で、二水準系、三水準系など多くの種類と使い方があります。

 

2. 相互作用と交互作用

 

 交互作用の英訳はInteractionで、和訳は、交流や意思の疎通(複数の人の)、相互作用、交互作用、相互影響等とあります。辞典には次のように記載されていました。

 
   an occasion when two or more people or things communicate with or react to each other
 
 この記載を見ると相互も交互も意味は変わらないようです。物理学では相互作用、相互効果と表しているので、何故統計学だけ「交互作用」を用いているのか不思議ですが、深追いしない方が良さそうです。では改めて交互作用(相互作用)とは何を表しているのでしょうか。交互作用を説明する前に、相乗効果、相殺効果、相加効果について説明します。
 

例えば添加剤AとBがあり、添加することで製品強度に変化が生じると仮定します。 A、Bそれぞれ単独での効果を[A]と[B]、AとB複合での効果を[AB]と記載すると、相乗、相殺、相加効果としての副作用は次の様になります。

 

 
•相乗効果:[AB]>[A]+[B]
 
•相殺効果:[AB]<[A]+[B]
 
•相加効果:[AB]=[A]+[B]
 
 即ち、相加効果は単独使用時の和と同じであり、相乗効果は単独効果の和よりも大きくなり、相殺効果は併せることで単独効果の和よりも効果が低くなる現象です。

3. 交互作用は難物

 品質工学で主に使用している混合型直交表のL18に「交互作用」が基本的に割り付けることができません。この直交表だけ説明するなら、交互作用のことは説明不要ですが、基本的な部分で動特性のSN比を計算する際には、交互作用が関係します。

 つまり、入出力の関係が、誤差因子と交互作用を持っていて、SN比最大化は交互作用の利用ということになります。しかし、内側直交表で制御因子間の交互作用は考えない、というのはどうも直感的に解釈できません。そもそも、要因配置実験では交互作用が重要な解析対象でした。フィッシャーの実験計画法でも、交互作用があるから配置の検討が必要だという解釈でした。

 実際に実験してみると、いたるところに交互作用が出てきます。そのことが再現性を悪化させ、実験自体が役に立たないものになってしまうのです。特に制御因子にエネルギー的パラメータ(温度とか電力とかなど)を組み込んで実験すると、実験NO.毎に実験の場がエネルギー的等価性を確保できないため、交互作用の塊になります。それを回避すべく「水準ずらし」により、エネルギー等価性を確保してきました。田口先生の「タイルの実験」などは交互作用問題といっても良いでしょう。

 交互作用がないのではなく、交互作用があるから、交互作用効果が出ないように実験を配置することが重要です。しかし、パラメータが離散型(分類データの場合)には積極的に交互作用を利用することになります。

 また、A×Bの交互作用効果を計算するとき、ABの変動からAの変動とBの変動を差し引いて、交互作用変動を求めます。つまり、交互作用変動は「残渣変動」といえるのです。要因効果は主効果の組み合わせで表現する方が、妥当性が高いでしょう。結果の解釈を分かりやすくすることが「汎用性」があるともいえます。

 交互作用が出ないように実験を配置することができれば、結果の頑健性も向上し、結果の汎用性も上がるでしょう。交互作用は難物です。この交互作用に果敢に取り組むことで、より高いレベルの解釈が可能になります。

4. 交互作用、相乗効果と相殺効果とは

 交互作用とは、相乗効果と相殺効果のいずれか、若しくは両方がある事です。 両方があると言うと不思議に思うかもしれませんが、ある特定の水準若しくは一定の水準を越えると効果が反転する場合が該当します。医薬品での薬物投与などがそうです。過剰摂取で毒になります。
 
 両方の効果が併存するケースですが、ある一定までは効果が高まる相乗効果が、それを越えると逆転し相殺効果になるような場合が該当します。
 
 AとBの水準の設定で交互作用が最大に高まるポイントは異なります。それを効率よく見つけ出すことも開発者の腕の見せどころの一つと言えるでしょう。
 
 要因単体...
交互作用
 
 
 統計学で交互作用という言葉が良く出てきます。主には実験計画法(DOE)で頻出しますが、DOEに限らず統計学では一般的によく用います。 交互作用に似た用語に相互作用がありますが、意味が異なるのでしょうか、また、相乗効果、相加効果、相殺効果と言った類義語や対義語もありますが、違いについて考えてみましょう。
 

1. 高次交互作用とは

 高次交互作用の評価を断念することで少ない実験で要因効果を知るためのツールとして直交表があります。工業実験の成果を上げるためにはより多くの因子を扱う事が有効ですが、原理的には掛け算で実験数が増えてしまいますので、すべての結合・組み合わせを評価せず、一部の組み合わせを実験して統計的に要因効果を評価するために直交表が使われます。戦後日本の製造業発展は直交表の効果であると思えるほど効果的な手法で、二水準系、三水準系など多くの種類と使い方があります。

 

2. 相互作用と交互作用

 

 交互作用の英訳はInteractionで、和訳は、交流や意思の疎通(複数の人の)、相互作用、交互作用、相互影響等とあります。辞典には次のように記載されていました。

 
   an occasion when two or more people or things communicate with or react to each other
 
 この記載を見ると相互も交互も意味は変わらないようです。物理学では相互作用、相互効果と表しているので、何故統計学だけ「交互作用」を用いているのか不思議ですが、深追いしない方が良さそうです。では改めて交互作用(相互作用)とは何を表しているのでしょうか。交互作用を説明する前に、相乗効果、相殺効果、相加効果について説明します。
 

例えば添加剤AとBがあり、添加することで製品強度に変化が生じると仮定します。 A、Bそれぞれ単独での効果を[A]と[B]、AとB複合での効果を[AB]と記載すると、相乗、相殺、相加効果としての副作用は次の様になります。

 

 
•相乗効果:[AB]>[A]+[B]
 
•相殺効果:[AB]<[A]+[B]
 
•相加効果:[AB]=[A]+[B]
 
 即ち、相加効果は単独使用時の和と同じであり、相乗効果は単独効果の和よりも大きくなり、相殺効果は併せることで単独効果の和よりも効果が低くなる現象です。

3. 交互作用は難物

 品質工学で主に使用している混合型直交表のL18に「交互作用」が基本的に割り付けることができません。この直交表だけ説明するなら、交互作用のことは説明不要ですが、基本的な部分で動特性のSN比を計算する際には、交互作用が関係します。

 つまり、入出力の関係が、誤差因子と交互作用を持っていて、SN比最大化は交互作用の利用ということになります。しかし、内側直交表で制御因子間の交互作用は考えない、というのはどうも直感的に解釈できません。そもそも、要因配置実験では交互作用が重要な解析対象でした。フィッシャーの実験計画法でも、交互作用があるから配置の検討が必要だという解釈でした。

 実際に実験してみると、いたるところに交互作用が出てきます。そのことが再現性を悪化させ、実験自体が役に立たないものになってしまうのです。特に制御因子にエネルギー的パラメータ(温度とか電力とかなど)を組み込んで実験すると、実験NO.毎に実験の場がエネルギー的等価性を確保できないため、交互作用の塊になります。それを回避すべく「水準ずらし」により、エネルギー等価性を確保してきました。田口先生の「タイルの実験」などは交互作用問題といっても良いでしょう。

 交互作用がないのではなく、交互作用があるから、交互作用効果が出ないように実験を配置することが重要です。しかし、パラメータが離散型(分類データの場合)には積極的に交互作用を利用することになります。

 また、A×Bの交互作用効果を計算するとき、ABの変動からAの変動とBの変動を差し引いて、交互作用変動を求めます。つまり、交互作用変動は「残渣変動」といえるのです。要因効果は主効果の組み合わせで表現する方が、妥当性が高いでしょう。結果の解釈を分かりやすくすることが「汎用性」があるともいえます。

 交互作用が出ないように実験を配置することができれば、結果の頑健性も向上し、結果の汎用性も上がるでしょう。交互作用は難物です。この交互作用に果敢に取り組むことで、より高いレベルの解釈が可能になります。

4. 交互作用、相乗効果と相殺効果とは

 交互作用とは、相乗効果と相殺効果のいずれか、若しくは両方がある事です。 両方があると言うと不思議に思うかもしれませんが、ある特定の水準若しくは一定の水準を越えると効果が反転する場合が該当します。医薬品での薬物投与などがそうです。過剰摂取で毒になります。
 
 両方の効果が併存するケースですが、ある一定までは効果が高まる相乗効果が、それを越えると逆転し相殺効果になるような場合が該当します。
 
 AとBの水準の設定で交互作用が最大に高まるポイントは異なります。それを効率よく見つけ出すことも開発者の腕の見せどころの一つと言えるでしょう。
 
 要因単体の効果や要因間の交互作用を解析する統計手法に実験計画法があります。 開発対象によりますが、実験計画法を知らなければトライアンドエラー方式から抜けだせず、時間とコストを湯水のように使うことになります。
 

 実験計画法は、効率の良い実験方法を設計(デザイン)して、結果を適切に分析する統計学の応用分野の学問のことを言い、実験に際しては、勘、経験だけに頼らず、統計手法を使いながら、より少ない費用と時間で有効な結果が得られるように、計画、実行することが肝要です。

 

 実験計画法は、医学・工学・心理学・農業からマーケティングに至るまで、幅広い業界で利用されています。

 

 実験計画には、1因子の水準の変化と影響を把握するための一元配置実験、2因子の水準の変化と影響を把握する二元配置実験、因子が3つ以上の場合の多元配置実験があります。

 

 その他にも実験計画法には、分散分析、直交配列表(直交表)直交表を利用して実験数を減らす一部実施法などもあります。

 

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この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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