技術者マーケティングの重要性

 マーケティングとは何でしょうか、いろんな答えがありますが、そのプロセスは、図1のようになります。すなわち「マーケティング環境分析(市場調査)」→「標的市場の選定(STPマーケティング)→「マ―ケティングミックスの最適化(4Pマーケティング)」で、これをPDCAサイクルで回すとより良い戦術が生まれます。
 
 技術者はマーケティングに無縁と思っている方が多いようですが、マーケティングは、その専任部門のみならず、全組織・全個人の課題であり、技術者にとっても無縁ではありません。技術者へのマーケティング講座を担当する時に強調するのは、技術者が市場を知らずして、また顧客企業、顧客組織、顧客個人を知らずして、更には競合を知らずして、自社の現実を知らずして、果たして良い仕事が出来るかという点です。
 
 海外の企業では、技術者が世界中の顧客を定期的に訪問します。自ら市場を調べ、自ら顧客のところに出かけ、自分の技術を磨き、そしてはじめて技術に基づく市場のニーズと期待に沿った商品を提供できるということです。技術者は、自社の自分のシーズを保持し、磨き、新技術もとり入れ、適応できる市場ニーズに合わせますが、逆に常に自ら市場ニーズを探り続ける努力を怠ることはできません。技術者がマーケティングする必要がここにあります。マーケティングしない技術者は半人前と言われる所以です。
 
                  
図1.マーケッティングのプロセス
  
 市場調査には、政治的、経済的、動態的などのマクロ的観点からの調査と、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を調査するミクロ調査(3C調査)があります。経験上大事なことは、自分から足を運んで顧客に会い、十分な事前準備とGive...
&Takeの精神でインタビューを行うことです。そのためには相手側からリスペクトされるだけの技術・知識・人間力が要求されます。リスペクトされれば相手側も真剣に対応してくれます。さもなければ十分な市場情報を得ることはできません。市場調査は、技術者の宿命的な仕事と肝に銘じるべきです。
 
  この文書は、 2015年10月29日の日刊工業新聞掲載記事を筆者により改変したものです。
 

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