VMIとは?意味やメリット・デメリットを詳しく解説

 

日本でも富山の配置薬商売は、VMI方式です。定期的に訪問し、消費された分だけの薬を補充・納品するわけで、薬屋にとっては顧客である家庭を小売の場とみなします。今回は、VMIとは?意味やメリット・デメリットを詳しく解説します。

1. VMIとは何か?

VMI(Vendor Managed Inventory)とは、材料供給業者が顧客先の資材や部品などを所有し管理する方式のことを指します。たとえば、富山の薬売りが商品である薬を最も消費地に近い家庭内に在庫し、顧客は必要な時に必要な薬だけを使用してその分だけ代金を支払うような方式です。 製造メーカーとしては材料在庫を持つ必要がなく、そのリスクを極限まで排除することが可能となり、部材の供給業者はメーカーからの需要予測データで計画的に生産を予測できるとともに、顧客との強い関係を築くことができます。

◆ VMIの歴史

VMIは、1990年代初頭に導入されたサプライチェーン管理の手法です。歴史的には、消費された分がそのまま仕入と見なされ、マイケルハマーの『リエンジニアリング革命』で紹介されたP&G社とウォールマート社のVMIは、紙おむつメーカーと小売店のパートナー取引の例として有名です。日本でも富山の配置薬商売は、VMI方式でその歴史は、P&G社の事例より古いものです。いずれにしてもサプライヤーが顧客の在庫レベルを監視し、必要な商品を自動的に補充することで、在庫管理の負担を軽減し、生産性を向上させることを目的としています。

2. VMIの導入メリット

(1)バイヤー側にもたらすメリット

  • 在庫レベルの最適化:ベンダーが在庫を管理することで、在庫レベルが最適化され、在庫過剰や不足を防ぐことができます。
  • 在庫管理の負担軽減:VMIを導入することで、ベンダーが在庫管理を行うため、バイヤーは在庫の調整や再発注などの作業を軽減することができます。
  • 生産性向上:バイヤーは在庫管理にかかる時間を削減し、他の業務に集中することができるため、生産性が向上します。

(2)ベンダー側にもたらすメリット

  • 在庫リスクの軽減:ベンダーが在庫を管理することで、在庫リスクを軽減し、在庫の適切な管理を行うことができます。
  • 生産計画の改善:VMIを通じて、ベンダーはバイヤーの需要予測を元に生産計画を立てることができ、生産効率を向上させることができます。
  • 信頼関係の構築:VMIを通じて、ベンダーはバイヤーの在庫を掌握するのでこの面でバイヤーとの信頼関係を築くことができ、長期的な取引関係を構築することができます。

3. VMIの導入デメリット

(1)バイヤー側にもたらすデメリット

  • 在庫管理の責任がベンダーに移るため、バイヤーは自社の在庫状況を直接管理できなくなる可能性があります。
  • ベンダーが在庫を管理するため、バイヤーは自社の在庫レベルや需要予測に関する情報を共有する必要があり、情報の機密性が損なわれる可能性があります。

(2)ベンダー側にもたらすデメリット

  • ベンダーはバイヤーの在庫を管理する責任を負うことになるため、在庫リスクを負う可能性があります。
  • バイヤーの需要予測や在庫状況に依存するため、需要の変動や予測の誤差によって在庫の過剰や不足が発生し、ベンダーに追加の負担がかかる可能性があります。

4. VMIの在庫の所有権移転について

VMIは、サプライヤーが顧客の在庫を管理し、補充するシステムです。在庫の所有権移転に関して、VMI契約においては通常、在庫はサプライヤーの所有物として扱われます。つまり、在庫はサプライヤーの責任で管理され、補充されるものとされます。

法的には、VMI契約においては契約書に明確な所有権移転の条項が含まれることが一般的です。この条項により、在庫がサプライヤーの所有物であることが確認され、顧客はその在庫を使用する権利を持つものの所有権はサプライヤーに帰属することになります。

このように、VMI契約においては在庫の所有権移転に関する法的な取り決めが重要となります。契約書の内容や取引条件をよく理解し、適切な法的アドバイスを受けることが重要です。

5. VMIの今後の可能性

VMIは、サプライチェーンマネジメントにおいて重要な役割を果たしています。VMIは、サプライヤーが在庫管理を行い、顧客の需要をリアルタイムで把握し、適切なタイミングで商品を供給することで在庫レベルを最適化する仕組みです。

VMIの今後の可能性は非常に大きいと考えられます。特に、デジタル技術の進化により、リアルタイムでのデータ共有や予測分析が可能になり、より効率的な在庫管理が実現できるようになります。また、VMIはサプライヤーと顧客の間の信頼関係を強化し、双方にとってメリットがある仕組みであるため、今後ますます普及していく可能性があります。

サプライチェーンマネジメントにおいてVMIを活用することで、在庫レベルの最適化や生産計画の最適化、リードタイムの短縮など、効率的なサプライチェーンの構築が可能となります。さらに、VMIを活用することで、在庫コストの削減や在庫切れのリスクの低減、顧客満足度の向上など、多くの利点が得られると考えられます。

総じて、VMIはサプライチェーンマネジメントにおいて非常に有益なツールであり、今後のデジタル技術の進化とともにさらなる可能性が広がっていくと期待されます。

6. まとめ

VMI方式は、メーカーが売れ残りを最小にし、商品の回転率を上げるために、広告販売などの戦略を打つ必要性も提起します。このことは、メーカーは製造から流通・販売までの資源配分を同期化させる、すなわち、サプライチェーンマネジメントの戦略的仕掛け作りも重視しなければならないということです。このようにVMI方式は、企業間の取引の連携手段を提供するコンセプトであり、一つのバーチャルコーポレーションを形成するツールでもあります。VMIは効率的な在庫管理手法として広く採用されており、企業間の協力関係を強化するために重要な役割を果たしています。

 

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