「BTO」とは
デルがパソコンではじめたBTOという生産方式が注目を集めています。BTOは正式な生産管理用語ではATO(Assemble To Order:受注組立生産)といいます。受注組立生産は、組立てに必要な部品を予め在庫して、注文が入った時点でその部品を組み立てて製品を出荷する生産方式です。パソコンでは、顧客のカスタマイズに対応して、フルカスタマイズに出来るだけ近づけようとするパソコンメーカーの販売戦略がこのBTOに関連しています。一方、パソコン初心者には、製品仕様の選び方などで購入の敷居を高くしている懸念もあります。
自動車は、基本的には受注組立生産で生産されています。多品種少量生産の増加で受注組立生産を採用する最終製品企業が増えています。ATO:受注組立生産では、生産者は最低限の在庫を保有して、顧客要求に対応して生産することができます。そのため、オプション品などの在庫負担で苦しんでいる最終製品メーカーには在庫削減策として期待が集まっています。
◆関連解説記事『サプライチェーンマネジメント上のバーチャルコーポレーションとは』
1.BTOとは
BTO(Build to Order)とは、製品を在庫するのではなく、中間製品状態で在庫を持ち、個別仕様に合わせた加工、生産を実施して出荷する方法であり、短納期と不良在庫低減を両立する方法として注目されます。 最も典型的なのは、前述のようにデルが始めたパソコンの通信販売方式であり、購入者が仕様を自由に選択して注文し、メーカーはスタンダードモデルに注文に応じた部品を組み込んで出荷するもので、ITシステムを構築する事で初めて可能となりました。 自動車販売における日本特有の「メーカーオプション」という仕組みもBTOと言って良いでしょう。
2.BTOで製品や商品の製造を行うメリット
製品の製造に「BTO方式」採用している製造者(メーカー)は、部品の状態で在庫を確保したり、半完成品の状態で商品在庫を保持することが出来ます。購入者から注文(オーダー)が行われると、保持していた「部品」や「半完成品」をオーダー内容を基に「完成品」として出荷を行います。その為そもそも完成している状態の在庫は所持していないことになります。
- 製造を行っている側の企業としては何点かメリットが発生します。
- 「完成品」を在庫として所持していないので「完成品」の状態の在庫が残る不安が解消される。
- 「半完成品」や「部品」の状態で在庫を確保しているため、「完成品」をこの在庫を使ってくみ上げることもできますし、他の製品のパーツとして組み込むこともできます。とにかく応用できる範囲が広がります。
- ニーズに細かく把握したうえでオーダーを貰えるので、お客様の製品に対する満足度もアップする。
- 一番のメリットは「在庫を抱える可能性が減っていくこと」です。
3.BTOで製品や商品の製造を行うデメリット
「完成在庫」を抱えることなく企業活動を行っていく「BTO方式」は、製造者にとって在庫が減るというメリットを受けられます。但し、メリットだけではなく勿論デメリットも存在しています。そのデメリットもしっかりと理解をすることで、良い方法を選べるようになります。
製造を行っている側の企業としては何点かデメリットが発生します。
- 注文者が商品をオーダーしてから完成品への組み立てを行うため、即納は難しく、納期が掛かってしまうケースが多々発生する。
- 注文者が商品をオーダーするという前提がある為、そのオーダー内容によって完成品自体の仕様が変更されてしまうため、製品を大量生産したいケースには向かない方式です。
- 注文者が商品をオーダーするという前提がある為、注文方法が難しくなりやすく、知識が無いとオーダー自体が難しいケースも発生してしまう。
上記の中でもBTOでは注文方法の難しさや納期が安定しないという点は割り切らないといけないポイントとなります。
ただ、仕方ないと割り切ってしまい何の対策も行わなければ、顧客へのサポートやサービスが悪い企業と判断される恐れがあります。
その為、顧客目線に立ち、分かりやすい注文画面にする、注釈などつけて理解を促すなど、BTOにする事で発生してくるデメリットをなるべく減らす努力を行っていく必要があります。
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