「人工知能(AI)」とは
1.人工知能(AI)とは
AI(人工知能)とは簡単に説明すると、人間のように知的に情報を処理できるソフトウェア(プログラム)の事を指します。さまざまな経験を重ね、新たなインプット情報、データを解析する事により、人間と同等、若しくはそれ以上に知的情報を処理する事ができます。
Apple社iphoneに搭載されている「Siri」、Google deepmindによって開発された囲碁プログラム「AlphaGo」、将棋、チェスの世界チャンピオンに勝利した「AlphaZero」やFacebookの文章、画像認識機能などが具体例として挙げられます。
またアマゾンが開発した「Alexa」は、話し手の言葉を理解し、運転中や手が塞がった状態でも音声だけで情報の入手、商品の購入や指令を行うことが可能です。英語だけでなくあらゆる言語にも対応が可能な音声認識機能を有し、身近なAIでは最先端の性能の1つです。
1.1 何でもできる人工知能はまだ存在しない
何でもできる人工知能はまだ存在しないので、人工知能には効率性を追求してもらい、人は人間らしさを発揮するのが良いでしょう。人工知能でデータの価値は最大化するかもしれないが、人は人間らしさを発揮する必要があるのです。人工知能が人間の業務を奪うということは楽になることではなく、その業務をしていた人が不要になるか、今まで以上に難易度の高い業務をしなければならないことになります。もともと能力の高い人であれば、人工知能化によって、もっと高度な業務に注力することができるようになり、非常に良いのかもしれません。しかし、何でもできる人工知能はまだ存在しないので、人工知能化できないくらい高度な知的業務をすべきで、人工知能化にそぐわない非効率な人間臭い業務をすべきです。
1.2 限定された範囲であれば卓説した能力を発揮する
(1) データの抽出から加工・集計・表生成・グラフ化といった定型作業
(2) その定型作業から生み出された表やグラフに対するコメントアウト
(3) コメントアウトの内容からどのような深堀分析を実施するかの判断
(4) 深堀分析の実施とコメンアウト
(5) さらなる深堀分析のためのチャットボット機能
(1)と(2)を「1次分析」、(3)と(4)を「2次分析」、さらなる深堀分析を「3次分析以降」と呼んでいます。第一フェーズとして(1)~(4)までの業務を実施するAIを作ることになります。(1)~(4)までの業務を実施するAIを実現することで、どのような効果が望めるのかを試算しました。
控えめに効果を試算した結果、その業務に携わっている人の83%の作業が、AIで実現できることが分かりました。要するに、その部署の83%の作業がなくなり、今までの17%の仕事だけやれば済むということです。試算方法は非常に単純で、ABC(Activity Based Costing、活動基準原価計算)で試算したため、かなり正確です。ABCとは、各作業のコストを単価・時間・回数をもとに計算する方法で「コスト=単価×時間×回数」で求めます。
つまり、すべての作業をアクティビティという単位の細かい作業単位に分解し、各アクティビティに携わる人の単価(1分あたりの給与)とそのアクティビティ1回にかけた時間、そして月何回そのアクティビティを実施したのかを洗い出し、コスト計算します。ここで試算された83%の作業がなくなるというのは、今までかけていた時間の83%の作業がなくなるという意味です。非常にすばらしいことです。要するに、AIでデータの価値が最大化し、業務全体が効率化され、コストが削減され、利益率も向上するのです。
2.人工知能と機械学習
機械学習とはAIにおける学習の事で、プログラミングされた内容以上の事がタスクとして実行できるようになります。機械学習の特徴としては膨大なデータを処理し、その中から特徴や法則性を導き出す事により、物事を予想、予測し判断が出来るようになることです。また機械学習を大きく分けると「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」以上3つに分類することができます。
2.1 「教師あり学習」とは
「教師あり学習」は例題と回答をインプットし、AIを1つの方向性で学習させる事です。大量のデータからニュートラルネットワーク自体が解析結果の判定を行います。あくまでインプットされた例題から推測できる範囲での行動となり、未知の領域には対応が困難です。
2.2 「教師なし学習」とは
「教師なし学習」は「教師あり学習」とは違い、回答を必要としません。しかしその反面、学習できる環境下で整合性が確認でき、シミュレーションする事ができない場合は学習する事が出来ません。
2.3 「強化学習」とは
「強化学習」はゲームなどの結果に対して点数をつけ、最も効率的に高得点を獲得できる手段を学習させます。「教師なし学習」と類似している面もありますが、大きな違いは、機械が高得点を得るために最適な行動を分析し実行することです。機械学習の手法として良く用いられるのは、「ニューラルネットワーク」と「ディープラーニング」です。これらとAIとの関係性は、「AI」を実行するための手法が「機械学習」で、機械学習を行うための技術が「ニューラルネットワーク」。そしてニューラルネットワークの学習能力の効率化を図る手法が「ディープラーニング」と言えます。ニューラルネットワークは音声、画像など膨大な量のデータで学習し、それぞれのデータを分類、識別するパターン認識に特化しています。
ディープラーニングはニューラルネットワークを多層化させ、学習、分析能力を高められた技術と言えます。機械学習はAIをより一層知能的な機械へと進化させてくれる技術です。人間が学習して判断能力が高まっていくように、AIも学習方法によって様々な形に進化していきます。どのようなAIを作りたいかによって、その学習方法は大きく違ってくることになります。
3.人工知能の重要性
日本の少子高齢化社会による労働力不足が、あらゆる分野で問題とされています。しかし今後AIの導入により、これまで人間が行ってきた作業を機械が代わりに行う事が可能です。また作業効率の最適化を図り、工数の削減、業務の集約などを行い、事業所自体の効率化により人員削減も可能となり、コスト削減に繋がります。特にAIの特徴が発揮されるのはデータ分析です。人力では行えなかった膨大な量のデータを分析、処理できる為、これまで発見出来なかった問題点や利点を分析し、より課題解決、効率的になることが期待されます。今後ますますAIの重要性、必要性が高まっていくことになります。
4.人工知能の活用法
AI技術はあらゆる分野での活用が可能で、多くの活用事例が存在します。
4.1 活用事例
医療現場においては画像診断などから正確に、かつ迅速に、病状の診断を行うことが出来ます。教育現場でもテスト採点の自動化、生徒1人1人への的確な教育カリキュラムの作成なども行えます。またIoTとの組み合わせにより、業務効率化、モノづくり製造現場のスマートファクトリー化の実現が可能です。他にも自動車運転制御をAIで行う自動運転化も、今後さらに拡大、進歩していくでしょう。軍事産業に関しても同じことが言えます。近年のインターネットの普及、人々はスマートフォンを手にし、IT関連の進歩により、人々の生活環境は大きく変わってきていますが、その影にはAI技術の進歩が大きく関わっています。これからもその流れは変わることは無いと思われ、2005年にアメリカのレイ・カーツワイル博士により、2045年問題が提唱されています。
4.2 2045年問題
2045年問題とは、AI技術が人間より賢い知能を生み出してしまう「シンギュラリティ」が起こる事を指します。SF映画の題材にも良く使われる事象です。その時に人間の仕事はどうなってしまうのか?と言った不安は誰しもが抱きます。しかしこれまでも時代の流れと共に、人間の仕事、働き方や生活が変貌していくことは歴史が証明しています。不要な仕事は減少傾向、ないし消滅し、逆に新しい仕事、サービスが誕生していきます。人の温かみを再認識し、人と人とのコミュニケーションの重要性が高まるかもしれません。AIの進歩、発展により、シンギュラリティが起こるのかは分かりませんが、人間も多様に進歩していく必要性があります。
5. 人工知能について学ぶなら
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6. まとめ:AIに奪われないスキルとは
AIには効率性を追求してもらい、人は人間らしさを発揮するのが良いでしょう。AIでデータの価値は最大化するかもしれませんが、人は人間らしさを発揮してこれからのキャリアでは、機械と働く上で、人々が持つ次の強みを磨くことが重要です。実績や単純作業のみで物事を考えず「イノベーション」と「ソリューション」この2軸を中心としたスキルとマインドがこれから重要になると考えます。
【リーダーシップ/マネジメント】:デリケートで複雑なコミュニケーションを行い、人々を奮い立たせて勇気付け、人々をある目的に導き、目標を達成させるための意識付けなど、意識に働きかけて人を動かすスキルです。
【ホスピタリティ・課題解決】:人が感じる潜在的な課題と向き合い、自分ごととして不便、不満など問題を解決・解消するためのスキルです。
【クリエイティビティ】:課題の特定にいたる枠組みや新しいコンセプトをデザインすること、またアイデア、ひらめき、通常では発想に至らない仮説を導き出すスキルです。