「SLP」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「SLP」とは

SLP(Systematic Layout Planning)とは、米国のリチャード・ミューサーが提唱した体系的な工場レイアウトを決定する手順の事を言います。具体的には、製品の量と種類、工程毎の必要スペースと相互の関係性などをインプットして、事業計画・商品企画・製品構成・生産計画・物流計画・受注販売計画など一連の手順で工場レイアウトを検討します。

 

材料のレイアウトや設備や工具は、工場の生産性を考える時に極めて重要であり、基本的にはトータルの搬送距離が最短になるように計画します。 レイアウトの最適化が行われても、生産品目や設備が更新されることにより条件が変化しますから、定期的な見直しが必要です。

 

2. 「SLP」実施の手順

工場のレイアウトを一旦決めてしまうと、簡単には変更ができませんから、初めのレイアウトは慎重に決める必要があります。そのための方法がSLP(Systematic Layout Planning:体系的レイアウト計画)で、以下のような手順で実行します。

(1)P-Q分析(Product-Quantity分析)

工場内で生産する製品(Product)の種類と数量(Quantity)を、多いものから順に並べて整理します。その結果から、図1のように1品種当たりの数量が多いものは「製品別配置=ライン生産」、数量が少ないものは「機能別配置=ジョブショップレイアウト」が適していると判断します。

 

(2)物の流れ分析

製品別配置を決めるために、生産工程の流れを図示します。

 

(3)アクティビティ分析

機能別配置の場合は、加工だけに限らず、搬送、仕掛保管含めて、作業や活動(アクティビティ)の種類と量を分析します。

 

(4)アクティビティ相互関連ダイヤグラム

上記(3)で活動項目を抽出したら、それぞれの活動間の関連度を相対的に評価します。関連度の高い活動同士を近距離に配置することで、人や物の移動距離を短くするためです。設備だけでなく、通用口、食堂やトイレも評価の対象とします。

 

(5)面積評価

この段階で各活動単位に必要な面積と、実際に利用することのできる面積を算出します。後者が大きい場合は適切な場所に余裕度を設定すれば良いのですが、前者が大きい場合は、例えば生産品目を減らすなど、ここまでの作業をやり直して面積を削る必要が出てきます。

 

(6)スペース相互関連ダイヤグラム

いくつかのアクティビティをまとめて配置したスペースを、他のスペースとの関連度で相対評価します。ここでも関連度の高いスペース同士は、配置を近づけます。

 

(7)各種条件考慮

ここまでに考慮しなかった各種条件を加味して、最終調整します。

 

(8)レイアウト案の作成と選択

複数の案を作成した後、多面的な観点から一案に絞ります。

 

レイアウトは頻繁に変更できないだけに、以上の原則を参考に実行し、生産性の向上を実現してください。

 

◆関連解説記事『工場内のレイアウト(設備配置)とその手順』

 


「SLP」のキーワード解説記事

もっと見る
SLP手法とは(その1)誰でもできる効果的なレイアウト設計

    1.はじめに 工場レイアウトを決定、見直す場合に直線的であることや、最短距離といった点に注目されがちです。これらは大事で...

    1.はじめに 工場レイアウトを決定、見直す場合に直線的であることや、最短距離といった点に注目されがちです。これらは大事で...


工場レイアウトの原理原則とは

    工場診断時によく見られることですが、設備や組立て作業のレイアウトを、長年変えずに生産している工場があります。製造業を取り巻く環境はめ...

    工場診断時によく見られることですが、設備や組立て作業のレイアウトを、長年変えずに生産している工場があります。製造業を取り巻く環境はめ...