今回、解説するガス化炉は、固定床式のダウンドラフトタイプのものになります。固定床式には、アップドラフトタイプというものもあり、この場合、原料の連続供給、連続灰出しが可能となります。ダウンドラフトタイプの場合、どのようにして連続してガス化しながら原料の連続供給と連続的に灰を排出することできるのかを中心に解説します。
一般論として、ガス化炉の中で空気を入れてガス化を行う直接式の炉型はいろいろありますが、主にアップドラフト方式とダウンドラフト方式があり、炉上部から原料を投入するのは共に共通ですが、空気の供給位置・方向がアップドラフト方式では、下部に位置し投入原料と反対方向(下から上)に進み燃料ガスは上部より炉外へ排出する方式となります。(図-1参照)
図1. アップドラフト型ガス化炉
ダウンドラフト方式では、空気は炉の中央又は上方より供給し燃料ガスは下部より炉外へ排出します。(図-2参照)
図2. ダウンドラフト型ガス化炉
これが両方式の原料と燃料ガスの流れとなりますが、次に炉内原料の反応状態から説明しますと、アップドラフト方式では、炉内上層部より乾燥層→熱分解層→ガス化反応層→酸化(燃焼)層→チャーアッシュ+廃水層を連続的に形成します。
次にダウンドラフト方式では、炉内上層部より乾燥層(蒸気:ガス化材生成)→熱分解(タール生成)層→酸化(燃焼)層(タール分解)→還元層(タールレス)→チャーアッシュ+廃水(少量)層を連続的に形成します。
どちらも、炉の上から下へ連続的に層変化を繰り返し移動していくことは共通となります。
昨今バイオマス発電用として天然ガス用のガスエンジンが併用されることからガス化の清浄度の要求が強く、タールレスに優れたダウンドラフト方式が主流を占めるようになってきています。
両タイプ(アップドラフトとダウンドラフト)の構造上の違いとして、燃料ガスの排出位置があり、アップドラフト方式では上部に位置し原料供給口と乾燥層の間のスペースにノズルを配置するのが一般的で、ダウンドラフト方式では、下部に位置し還元層とチャーアッシュ+廃水層(少量)の間のスペースに配置されます。
また、空気供給口は、アップドラフトタイプでは炉の底部または、下部側面からの吹き込みとなり、ダウンドラフトタイプでは、酸化(燃焼)層と還元層の間に配置されることが多く見受けられます。
以上のことから整理し、アップドラフトタイプの構造等は理解されているという前提で解説致します。
アップドラフトタイプとダウンドラフトタイプの炉の基本的構造に大きく差異はありません。従って、大雑把な言い方をすれば、供給方法というのも炉に対しての位置や構造等も同様で差し支え無いでしょう。
また、方式等もメーカー各社、供給条件によって多種、多様な方式が存在しますが、いづれも一般的な方式を採用することが多く、ベルトコンベヤ+定量フィーダーやスクリューコンベヤ+ロータリーバルブ等が考えられますし、供給部近傍に例えば、計装機器取付ノズル等が...