荷主サイドの効率化改善 荷主とトラック運送サービス(その3)

投稿日

 
  SCM
 
 トラックの運送コストで、注目されるのは燃料費と人件費です。契約時のコストと、実際に何年かたった時点でのコストでは異なることがあります。荷主とトラック運送サービス、その3は、 荷主サイドの効率化改善を考えます。
 

(1) 燃料サーチャージ

 皆さんは燃料サーチャージという言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。これは燃料コストが契約時と現在とで変化があれば、それを価格の上で調整しようというものです。原則として、契約時より燃料価格が上がればその分のコストを当初の契約価格に上乗せし、下がれば差し引くということになります。ある意味で取引上フェアなやり方だと考えられます。一方でそのための管理工数が必要となるということもあり得ます。
 

(2) 物流会社の人件費

 燃料以上に気にかける必要があるのが人件費です。市場全体的に人件費は上昇傾向にありますので、物流会社にとってみるとコストアップの要因ということになりそうです。人手不足の時代にあっては、賃金を上げざるを得ないと思われますので、それが顧客に転化されることは致し方のないことかもしれません。
 

(3) 荷主サイドの効率化改善

 荷主にとって運賃上昇はコストアップ要因です。ですから、できるだけ輸送の実態に目を向けて、効率を上げることを考えるべきです。「混載」の必要性はよく言われることですが、実際になかなかできていません。しかしながら混載を実施していくことは必須です。さらに輸送に見合った「荷姿」にしていくことも重要になります。
 
 これからトラックの輸送能力が低下していくことはほぼ確実ですから、この2つの改善を実行するとともに、さらなる改善の実施が求められます。それが荷主会社同士の協力体制を築くことです。もう他社と物流分野で競合する時代ではないでしょう。本業では競争、物流では共創がキーワードです。
 
 望ましいのは他社と物流研究会を開くことではないでしょうか。今までは競合他社と話をすることはほとんど無かったかもしれません。でも一度情報交換をしてみると、今まで全く気にもかけなかった「気づき」があると思います。そうすると、...
 
  SCM
 
 トラックの運送コストで、注目されるのは燃料費と人件費です。契約時のコストと、実際に何年かたった時点でのコストでは異なることがあります。荷主とトラック運送サービス、その3は、 荷主サイドの効率化改善を考えます。
 

(1) 燃料サーチャージ

 皆さんは燃料サーチャージという言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。これは燃料コストが契約時と現在とで変化があれば、それを価格の上で調整しようというものです。原則として、契約時より燃料価格が上がればその分のコストを当初の契約価格に上乗せし、下がれば差し引くということになります。ある意味で取引上フェアなやり方だと考えられます。一方でそのための管理工数が必要となるということもあり得ます。
 

(2) 物流会社の人件費

 燃料以上に気にかける必要があるのが人件費です。市場全体的に人件費は上昇傾向にありますので、物流会社にとってみるとコストアップの要因ということになりそうです。人手不足の時代にあっては、賃金を上げざるを得ないと思われますので、それが顧客に転化されることは致し方のないことかもしれません。
 

(3) 荷主サイドの効率化改善

 荷主にとって運賃上昇はコストアップ要因です。ですから、できるだけ輸送の実態に目を向けて、効率を上げることを考えるべきです。「混載」の必要性はよく言われることですが、実際になかなかできていません。しかしながら混載を実施していくことは必須です。さらに輸送に見合った「荷姿」にしていくことも重要になります。
 
 これからトラックの輸送能力が低下していくことはほぼ確実ですから、この2つの改善を実行するとともに、さらなる改善の実施が求められます。それが荷主会社同士の協力体制を築くことです。もう他社と物流分野で競合する時代ではないでしょう。本業では競争、物流では共創がキーワードです。
 
 望ましいのは他社と物流研究会を開くことではないでしょうか。今までは競合他社と話をすることはほとんど無かったかもしれません。でも一度情報交換をしてみると、今まで全く気にもかけなかった「気づき」があると思います。そうすると、その気づきを自社で実施してみるだけでも輸送改善につながるかもしれません。
 
 もう一つ。ぜひ荷主会社の皆さんには出荷場や受入場の整備を実施していただきたいと思います。物流会社に余分な作業はさせない、わかりやすい表示をつける、ダイヤ化して待機時間を無くすなど、改善すべき点が多々あるのではないでしょうか。
 
 このように荷主サイドの効率化を行うと同時に、物流会社が少しでも「楽になる」改善をしかけていくとよいでしょう。ぜひ1つでもすぐに手がけてみましょう。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
面積原価(その1)

 SCMの生産性を計るKPIとして、『面積原価』の概念とそれに基づくSCMのPDCAサイクルを実現する手法『面積原価管理』について解説します。 &nbs...

 SCMの生産性を計るKPIとして、『面積原価』の概念とそれに基づくSCMのPDCAサイクルを実現する手法『面積原価管理』について解説します。 &nbs...


経営判断のための会計法「スループット会計」について

 スループット会計とは、キャッシュフローベースの会計システムで、需要の変化と製造から販売までのサプライチェーンのマネージメントとオペレーションを同期化させ...

 スループット会計とは、キャッシュフローベースの会計システムで、需要の変化と製造から販売までのサプライチェーンのマネージメントとオペレーションを同期化させ...


サプライチェーンマネジメントの背景と効果実現に向けた考え方(その1)

1. サプライチェーン・マネジメントの狙い  サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management・以下SCM)は、ITシス...

1. サプライチェーン・マネジメントの狙い  サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management・以下SCM)は、ITシス...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
努力不足の物流 生産と物流の関り(その2)

        製造業の経営者や管理者は生産活動には興味を持つものの、物流には無関心であるとよく言われます。物流について学生時代にきっちりと勉強した...

        製造業の経営者や管理者は生産活動には興味を持つものの、物流には無関心であるとよく言われます。物流について学生時代にきっちりと勉強した...


現地物流会社を育てる:海外物流での勘所(その3)

  ◆現地物流会社を育てる 物流の中で特にインランド輸送はローカル業務という色合いが強いと思います。海上輸送で国と国の間を運ぶ業務がグロ...

  ◆現地物流会社を育てる 物流の中で特にインランド輸送はローカル業務という色合いが強いと思います。海上輸送で国と国の間を運ぶ業務がグロ...


荷役の現状把握:物流現状把握の重要性(その3)

  ◆ 荷役の現状把握  フォークリフトで物を出し入れしたり、ピッキング作業を行ったりする荷役作業は、保管や輸送を行う際にそれに付随して...

  ◆ 荷役の現状把握  フォークリフトで物を出し入れしたり、ピッキング作業を行ったりする荷役作業は、保管や輸送を行う際にそれに付随して...