1.物理学者の論文で使われた装置をヒントに、サイクロトロンを開発した、アメリカの物理学者、アーネスト・オルランド・ローレンス
サイクロトロンは、原子核の研究を大いに進歩させた粒子の加速器です。創案者ローレンスは、この複雑きわまりない装置の発明の糸口を、一編の論文に見いだしました。ローレンスの興味を引きつけたのは、論文の内容より、そこで使用されている装置です。長い真空管をつなぎ合わせて、荷電粒子の速度を増加させるというもので、ローレンスは、より多くの真空管をつなぎ合わせられれば、巨大な加速度をつくり出せるだろうと考えました。この着想をもとにサイクロトロンについての思考を練り上げたローレンスは、事実を単純な数学的関係にして仲間に示しました。
彼らはローレンスの正しさを理論的に認めましたが、実際に機械を製作するのは不可能、とする者がほとんどでした。大方の予想どおり、製作にあたっては技術上の数々の難問が立ちふさがりました。ローレンスは自分の考えに固執することなく、他の方法についても検討しましたが、サイクロトロンほど有力なものは一つとしてない、と確信するにいたりました。
結局、ローレンスの着想を現実のものにしたのは、彼自身の不屈の意志力とバイタリティでした。最初に即席の方法でサイクロトロンを試作したときに要した材料は、研究室にあった木製台所椅子、洋服掛け、それに長い針金というのが、主な内容でした。
2.嘘をつくと脈拍や血圧が上昇することを見つけ、嘘発見器を開発した、イタリアの犯罪学者 チェサーラ・ロンブローゾ
嘘をつくと、手のひらに汗をかいたり、脈拍が速くなる、血圧が上がる、などということはよく知られています。また、口の中が乾くことも古くから知られており、裁きの際の判断材料にされたようです。
例えば、アラビアのベドウィンでは、二人の申し立てが違った場合、熱した鉄をなめさせ、舌をやけどしたほうが嘘つきと判定されました。同じ考え方から、古代中国では容疑者にコメの粉を含ませ、すぐに吐き出させて、粉の湿り具合を見たという。そして、米が乾いていた者が犯人とされたそうです。
このような現象はずいぶん昔から知られていたわけですが、...