化学工場でその行為が事故につながる可能性の有無について、リスク見積もりができるかどうかは従業員のセンスに依存する場合が多いようです。
ここでいうセンスとは経験値といっても良いでしょう。現場に静電気事故を起こした、 あるいはその悲惨な後処理現場を目の当たりにした従業員はどれくらいいるでしょうか。実際の経験が浅ければ正しい知識があったとしても機能発揮できない場合もあります。
正しい知識を持った健全な組織であったとしても、事故経験のない管理者に正しいリスクの見積もりを求めても酷というものです。事故の経験をしていない者は未熟な者であるとか、 正しい対策ができるはずはないと言っているわけではないので誤解のないように解釈して頂きたいのですが、最近は静電気事故を過去のこととする風潮があります。
多くの事故を経験したり、事故の反省から真剣に細則を作った世代は現在現場に少ないと思われます。これら世代の思いを継承すべく若い技術者は再度静電気について学ぶべきと考えます。目的はもちろん従業員保護です。
話題を同じく化学工場の品質トラブルに多い異物で考えましょう。
異物が多い現場で製造を行うと、当然製品には異物が付着し異物不良を起こします。なぜ異物が多い現場になってしまうかというと、ここでも従業員のセンスに依存する場合が多いのです。ここでのセンスとは異物が多い現場だと気づく能力、何かおかしいなとゾクッと感じる能力のことです。センスが悪い現場ですと、これは組織をマネジメントしている層に言いたいことですが現場に異物があるのに見ないふりをする、異物が品質に影響ないと決め...
現場で事故が減らない理由、異物不良が減らない理由は従業員のセンスでしょうか、組織のセンスでしょうか…。通常、現場は組織以上の成長はあり得ません。組織のセンスは正常でしょうか。今一度、組織が経験値を生かしましょう。
【出典】一代技術士事務所 HPより、筆者のご承諾により編集して掲載