創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの構築とは

  
【目次】

    品質管理学会の第50回年次大会研究発表会から、創造性と効率性を両立した技術開発プロセスの構築の事例解説です。本発表は品質工学会と品質管理学会の共同研究会 ”商品開発プロセス研究会”の3つのWGの一つであるWG2の活動報告であり,細川のニコン時代のLIMDOW-MOの媒体の2つの技術開発事例を取り上げて,DFSS (Design For Six Sigma)注1. のプロセスをより良いものにするという提案の概要です.

    注1. DFSS:「新規」の製品やプロセスを設計する際に、起こりうる問題を「未然」に防ぐためのフレームワーク

    ◆関連解説記事:DFSSとは何か 【連載記事紹介】

     

    1. 研究テーマ設定の狙いとDFSS  

    お客様の期待を超える製品を継続的に提供することを目指して,技術開発段階で性能とロバスト性を両立確保すること.より具体的には狩野モデルの一元的品質を圧倒的に高めること,あるいは魅力品質を実現する...

    ことであるが,一元的品質や魅力品質は当たり前品質とトレードオフ関係にあることが多いので,お客様の期待を超えるためには,結局のところ当たり前品質であるロバスト性を確保することが必須となる.つまり,フロントローディングの実現が狙いである.

     

    2. LIMDOW-MOの技術開発

    (1)システム考案のためにロバストパラメータ設計を実施する

    パラメータ設計の主目的は最適化による改善とされているが,技術開発段階ではロバスト性と性能の両立性を評価するためにロバストパラメータ設計を活用する.これによって,考案あるいは選択したシステムをトータルに評価する効率性を向上させた.

     

    (2)ロバスト性の改善メカニズムを把握する活動を入れる

    材料デバイス領域ではロバストパラメータ設計の実施だけでロバスト性と性能の両立確保することは難しい.ロバストパラメータ設計によって得られたロバスト性改善効果のメカニズムを把握することで新たなシステムを考案する的確性を高めた.

    ◆関連解説記事:独自技術事業化を目指した技術開発 品質工学による技術開発(その15)

     

    3. まとめ

    この成功事例から5つの改善項目を見出した.

     

    ここで提案したプロセスや技法を使うことを目的化してはならない.提案した技術開発プロセスを上位の目的を実現するための手段に位置付けるために方針管理の考え方が有効と考える.今後の研究活動を以下に示す.

    • DFSSのさらなる改善
    • 方針管理による技術開発のマネジメント
    • 企画立案プロセスとの連携(シーズ技術先行)
    • 複数のサブシステムからなら大規模システムでの技術開発目標の展開と目標達成プロセスの構築

     

    【出典】QECompass HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

    ◆[エキスパート会員インタビュー記事] 品質工学の魅力とその創造性への影響(細川 哲夫 氏

     

    ◆関連解説記事:品質工学による技術開発 【連載記事紹介】

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