『儲け』を出すには売上向上か総原価の削減が定石アプローチです。利益を大きく増やすには売上の確保が重要で、故に先ずは売上向上に尽力した
経営戦略を行うのは必然と言えます。細かい仕様は決まっていなくても取り敢えず注文確保に走り、走りながら詳細を詰める事も実際のビジネスの現場では珍しくない事だと思います。
受注前提で、いつまでに品質を顧客要求にミートさせて欲しいとか、原価をいくらまで下げて欲しいとか営業戦略的見地からシビアな改善要求が来ることもあります。立ち上げを早くし、競合より抜きん出てマーケットに参入するのは先行利益確保に効果的であるのは否定しませんが、その後の原価管理を確実に行う事が前提となります。
早期参入で大量受注が確保出来れば売上は大きく向上しますが、市場が飽和してくると値下げ要求も強くなるので原価削減無しで利益を確保し続けるのは困難となります。ところが売上拡大にばかり注力するあまり原価管理が不十分で、気づいたら損益分岐点が当初の見込みより随分高い位置にあるという事態に陥ることも珍しくない様です。
コスト改善が間に合わず段々と作れば作るほど赤字になってしまい大量受注のせいで逆に窮地に追い込まれるという笑い話の様な事も現実に起きています。もしもコスト削減が不十分なまま売上拡大戦略を取っていけば穴の空いたバケツに水を溜めていくようなものです。この場合の穴とは、いわゆる3ム、企業経営のムダ・ムラ・ムリが該当すると言えます。
ムダやムラを塞がずして水(売上げ)だけを注ぎ込んでも、注ぐそばから漏れてしまい一向に増えていきません。この場合の漏れる水とは変動費と固定費へ流れ込む分です。それでもバケツの中の水が枯渇しない状態をキープ出来ればなんとかなりますが、穴が大き過ぎて注ぐ量よりも出る量が大きくなればいずれ枯渇します。注ぎ込む水の量が大きいほど(高い売上)、穴を小さくする取り組み(変動費や固定費の削減⇒原価削減)を迅速に行っていく必要があります。
大企業ほど大量の受注を得やすい傾向がありますが、それは大量受注を行っても安定して納品できる体制を整えていると信頼されているからと言えるでしょう。少量の評価だけで一気に注文が来ることもありますからコスト削減は緊急の課題となります。
緊急の場合でも穴を塞ぐ作業はいい加減な突貫工事になってはいけません。顧客ニーズを考慮しない自社都合を優先したムリのあるコストダウンは性能不良を引き起こし顧客苦情を招き、最悪の場合クレーム(損害賠償)に繋がります。
慌てずにコスト削減を行うためには日頃からバケツの穴を小さくする全社的コスト改善を行う体制を整える事です。経営者からアルバイトまで全員がコスト意識を持ちコスト削減活動...