教えを請うなら実績のある人が好ましいと多くの人は思うでしょう。しかし実績のある人(成果を出している人)が必ずしも教え上手では無いと言うことがあります。今回はこれに関連して、教え方の本質についてお話します。
「教え方を知らない人」が他人に教える場合に、「わからないことがあったら聞いて下さい」方式になりがちです。しかしながら、教えを請いたい人は「わからない事が何なのかもわからない」のが普通なので、この様な教え方が良いとは限りません。
既にある程度経験があって自己分析をそれなりに出来ている場合ならこのやり方でも良いのですが、未経験者もしくは、必要な知識や理解力が足りてない方々を導こうとするならば、体系的に教育を行う必要があります。体系的に教えるとは次のような条件を満たすことです。
1.教育プロセスを構築し、それに沿って教育する
2.重点箇所を示し、教え方にメリハリをつける
3.最初は理解しやすい(易しい)事例で経験を積んでもらう(実践する)
4.力の付き具合を確認する為の力量評価を行う
5.個々の生徒の力量に合わせ教え方を調整する
1は、言い換えれば全体像です。全体の流れをプロセスとして示し、プロセスの流れとその意味を理解してもらう所から入らないと教わる方は面食らいます。
2は、当たり前ですがプロセス全体を均等に教えれば効率が悪く、教わる方もどこが重要かわからないので留意すべきポイントがわかりません。結果に繋がる重要プロセスや重点事項を示して教育バランスを調整する事で、教えを受ける人も集中すべきポイントが分かり安心して学ぶ事が出来ます。
3は、実践トレーニングでいきなり難易度の高い技から教えようとするのでなく、最初はトレースしやすい、再現しやすい平易な事から教えると言う事です。英語が苦手な人に、いきなり長文読解をやらせるのはハードです。敢えて難しい所から入ったほうが後々の理解が早い場合もありますが、それで上手くいくのは、教わる方が相当覚悟を持って臨んでいる場合です。
4は、学校で言う学力試験の様なものですが、意外と抜け落ちています。学校でも黒板に向かって黙々と板書する先生もいますが、生徒の反応や理解度を把握せず教えっぱなしでは個々の学力差が開くばかりです。不出来を努力不足にされてはたまりません。やはり教える側は、適切な力量評価を行い、生徒が理解し力をつけているかどうか、生徒自身に実感出来るようにする必要があります。家庭教師型の個別教育では対面で教えているせいか、この部分の意識が希薄な様です。
最後に5ですが、生徒個別に不足点を補強する方法を取らなければ十分な成果は得られず、ばらつきの大きい結果となります。特に集団教育の場合は一方向性が強まるせいか、生徒各々の個別調整が抜け落ち気味になります。進学塾の中には対策として少数クラス制を採用し、個々のフォローを強化している所もあります。
重要なポイントは生徒力量の現状把握です。それに応じてプログ...