風力発電 :新環境経営 (その24)

 前回からは創エネについて解説しています。創エネというと、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、小水力発電等が浮かびますが、前回の太陽光発電に続き、今回は風力発電について解説します。
 

1. 風力発電の現状と課題

 風力発電は、欧米では再生可能エネルギー発電の中心となっています。日本も欧米製の風力発電設備で普及を図りましたが、タワー自体が根本から折れるなどの故障が相次ぎました。日本は山がちな地形で乱気流が発生しやすく、落雷も頻発します。欧州の風が真っ直ぐに吹くのに対して、日本の風は渦を巻くように様々な方角から吹くため、風車への負荷が大きいのです。欧米製は、日本の風の特性が考慮されていなかったということが理由になります。
 
 海外メーカーの風車は国内でのサポート体制が万全だったとはいえず、故障した部品の取り寄せに数ヶ月を要し、しかも海外製の風車はブラックボックス化されており、日本の風力事業者が自社で修繕をするのが難しいという事情もありました。発電事業はひとたび風車が故障して発電が止まってしまうと事業者への収入は絶たれるわけで、風力発電の普及が進まず、後ろ盾のない風力発電事業者の身売り話は絶えなかった時代がありました。日本では、騒音や場所の確保の問題で、地上には風力発電に適した場所は少ないようです。北海道はポテンシャルはありますが、送電線網の制約があり、容量確保が中々進まない現実がありました。
 

2. 風力発電の今後、将来

 日本の風力発電市場がよみがえったのは原発停止によるエネルギー問題でした。エネルギー危機を受けて、H23年に固定価格買い取り制度の導入が決まり、太陽光発電よりは条件が厳しいものの、これまでとは比較にならないほど風力発電の事業環境は改善しました。又、風力発電設備も当初は欧米製中心でしたが、国産メーカーも参入し、信頼性向上が図られてきています。
 
 一方、日本は周りが海に囲まれている利点を生かして、莫大なエネルギー量が見込まれる洋上に場所を求めて、大型の洋上発電施設の実証実験が始まっています。福島沖の超大型洋上風力発電施設など日本の幅広い卓越した技術を集約して、世界に先駆けて、大規模な発電手段として、今後のベース電源の一つになることが期待されています。
 

3. 家庭用風力発電

 家庭用もプロペラ型のもので、安いものは600Wで10万円程度、1.5KWで40万円程度のものが出てきました。太陽光と違い、風があれば24時間発電できるので、場所によっては大きな発電量が期待できます。又、弱...
風でも風を捉えやすい垂直軸型ブレードタイプに大手スポーツ用品メーカーのヨネックスが参入しました。ラケット、ゴルフ、スノーボードでのカーボン加工技術を活用して軽量化と最適形状で弱い風速でも回転しやすく、発電効率を向上させることができる。風向きに関係なく低風速域(1.5m/s)であっても発電を開始することができ、軽量で耐久性が高いとのことです。太陽光発電に風力発電を追加したダブル発電が今後増えてくると思います。エネルギーの自給自足が見えてきました。
 
 次回は、創エネ3 地熱発電、バイオマス発電、小水力発電、風力発電について解説します。
 

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