物流アウトソースにあたっての留意点 (その3)
2017-05-15
物流契約が結ばれると、いよいよ物流アウトソース業務が開始されます。当初予定していたパフォーマンスが出ているかどうかをチェックしましょう。物流アウトソースは単に物流業務を外部業者にやってもらうだけではなく、今の物流を改善し、さらに物流改革を実行していくことが必要です。皆さんが認識されている3PLの定義はどうなっていますか。3PLとは荷主の物流業務を包括的に受託するとともに、荷主に対して物流改革を提案する会社、という考え方が正しいと思われます。つまり、もし荷主が3PLに業務委託したのであれば、受託会社は荷主に物流改革を提案しなければならないことになるのです。では受託した物流会社にその準備はできているでしょうか。もし物流会社選定プロセスの中でこのような認識があれば、何かしらの提案を求めるようになっていると思います。つまり提案の中に物流改善または物流改革の糸口が書かれていると思います。
この物流改善は荷主側、物流会社側両方の共同作業になるはずです。そこで両社でどのように改善を進めていくのかを検討していくことにしましょう。共同改善のネタを探すとともに、目標値を設定しましょう。たとえば積載率向上というテーマを掲げたとします。この積載率について重量的積載率の実態、容積的積載率の実態を明らかにしましょう。そしてこの数字を何パーセントまで向上するのか、つまり目標値を設定するのです。そして荷主会社は何を改善するのか、物流会社が行うことは何なのかを整理します。この改善活動の日程を作成し、それをフォローしながら改善のPDCAを回していきましょう。荷主と物流会社はパートナーですから、お互い協力して改善を進めていくことに物流アウトソースの真髄があると言えるでしょう。
物流アウトソースの重要事項が共同改善の実施でした。物流業務を社内で実施するのか、外部に委託するのかは基本的な要件ですが、それ以上に将来的に改善を一緒に行っていくことで物流効率化につなげていくことが重要になってくるのです。荷主会社は物流アウトソース先が決まり、物流業務を外部で実施することが決まったからと言って安心していてはいけません。荷主の重要タスクとして委託先マネジメントがあるからです。委託先マネジメント、つまり目的とする物流のアウトプットのためにアウトソース先である物流会社には何をしてもらうかを決めてから、マネジメントしていくことがポイントになってくるのです。
この委託先管理は基本となるSQDCMの観点から見ていくことになります。委託先に期待するSQDCMの水準を明確化し、その情報を共有しましょう。場合によっては委託先への指導も必要になってきます。現場管理や作業者教育など委託先が十分なスキルを持っていないこともあり得ます。...
その場合には荷主会社から誰かが委託先に出向き指導をしていくことです。この過程を通して委託先である物流会社が改善していくとともに、物流業務を通して結果的にそのメリットが自社に返ってくるのです。そこでこの委託先指導は「荷主のタスク」ととらえ、積極的に実行していくことです。何年後かには委託先のレベルも向上し、自社の物流の水準が改善していきます。
以上のように物流アウトソースは単なる業務の外注化ではなく、荷主会社・委託先物流会社ともに成長していくチャンスだと考えるべきです。丸投げは失敗します。お互い関心を持ち進めていきましょう。皆さんの会社の物流アウトソースが成功することをお祈りしています。