これは私が25年ほど前にデンソーで行っていた開発方法で今とは違いますが、皆さんの参考になればと思い提供します。
1.開発業務の管理
「良い計画書を作れば仕事はほぼ90%終わったようなものだ」とよくいわれます。それでは良い計画とはどんなものでしょうか。
例えば次期型製品を開発しようとした時、まず開発目標を明確にしてから開発期間を考えます。企業での開発期間は多くが短期間です。次に自分が使える戦力を確認します。戦力とは部下の頭数、能力、物(設備)、金(部門費)といったものです。短期開発の場合、人海戦術を使えばそんなに知恵を出さなくてもうまくいきます。しかし日露戦争のロシアのように、知恵がないと1/10の兵力、艦船しか持たなかった日本の秋山真之や児玉源太郎の知恵、戦略の前に敗れることもあるのです。
まず開発目標が出たら、これを達成するための技術的な課題を明確にします。この課題が達成できていないと製品化できないという項目です。この抽出に抜けがあると一生懸命開発を続けても最後にこける事になります。
技術、ソフト面の課題ですが企業ではおいそれと人海戦術は使えないので少ない人、物、金で短期間に開発を達成する知恵を出す必要があります。第二次世界大戦で山本五十六は課題分析の結果、国力では米国に勝てないと判断。真珠湾を奇襲し、米国太平洋艦隊を叩き、有利なうちに和平に持ち込むという計画を立てました。
良い開発計画を作成するためのフローチャートを図222に示します。
2.品保会議 (経営者による次ステップ移行承認会議)のまとめ方
開発といっても全くの新規開発というケースは少なく、ほとんどの設計業務は従来品の改良という場合が多いので、このケースについて説明しましょう。
現状製品の弱点を改良するため設計を変更します。変更することで評価が必要となります。この評価項目の出し方とまとめ方について、デンソー独自のNF(EP-20)型ポンプの開発事例を使って説明します。 まず高圧化するためカムベース径、カムリフトを変更すると、物理的要因(静荷重、動荷重…etc.)が変化するので、この物理的要因から故障モードを出します(図223)。次にこの故障モードから性能・信頼性面の検討課題を出します(図224)。この検討課題を2次として1次の検討課題を出します。この課題が目標値を満足しない時は改良する事になり、改良する時の評価項目を出します(図225)。
以上を性能・信頼性面の評価項目としてまとめると、図226、227となります。さらにこの評価項目を評価した結果を説明する必要がありますが、評価するにあたっての基準が必要となります。この評価基準は基準の根拠がないと本当にそれで良いのか分かりません(図228)。結果は設計評価(理論的な結果)と、その確認結果である実験結果になります(図229)。
よく「実験をやって良かったので結果も良いはずだ」という人がいますが、それはたまたま良かったのであり、上下限試験結果があって、さらに理論的な説明がないと信用できません。また流動品と同じだから、市場実績があるから良いはずだという考えも間違いです。市場の使用環境は年々変わっているからです。
また、設計者の中には編集設計ば...