試作から量産に向けて、考えることが多いです。その中で下記6点について質問をさせていただきたいです。
可能な範囲でお答え頂けますと幸いです。
1) 生産管理は全般的にどのように行っていけば良いものでしょうか。
定期的に、アドバイスをして頂ける専門家を入れた方が良いものでしょうか。
その方の選定方法を参考までにお教えいただけますと幸いです。
2) 子供向けの健康商品の場合、注意点や取得した方が良い資格などあればご意見をいただきたいです。
3) 試作金型として金型を作った方が良いのか悩んでおります。試作100個を作ることを検討しています。
ご意見いただけますと幸いです。
4) 工場の選定はどのように行えば良いのか。チェック項目や注意点などをお教え頂けますでしょうか。
5) Bluetooth Sigは取得が必須なのでしょうか。最近ですと取得していない商品も見受けられますので。
6) 大学の技術を活用しようとした場合、どういった提携をするのが良いものでしょうか。
知財や利益について、事業を行っていく上でボトルネックになるような提携にはしたくないので。
7) 本製品化に向けた勉強すべきサイト、本、セミナー、勉強会などありましたらお教えいただけますと幸いです。
お忙しい中大変恐縮ですが、ご返答をお待ち致しております。
以上、何卒宜しくお願い致します。
回答、もしくはアドバイス出来る範囲で回答させていただきます。
1)生産管理とは、量産を続けるにあたって、不良品が作られることは無いかチェックする行為、とご質問から解釈致しました。「製造規格書」という、これらをすべて網羅した規格書(指示書。もっと平たく言えば正しい作り方が書いている書)が前提です。さらに、ライン長が居るのも前提です。 通常、量産初期は意思疎通不足なども含めて、不良品が出る確率が高いです。規格書不備なども見つかります。 前置きが長くなりましたが、生産初期(例えば1st Lot)は、設計者が監督・チェック・しつつ生産管理した方が良いでしょう。製造規格書には、ライン最終チェック項目が書かれている必要があり、基本的には設計者が必要とするチェックを全数流せば、初期に出ていた不良はなくなります。ただし、アレもコレもと盛りだくさんのチェック項目数になると、当然、生産性は低くなります。 そのため、ライン長と協議しつつ、チェック項目を削減し、減らした項目は抜き取り検査に移したりします。仲介専門家もいらっしゃいますが、基本は上記となります。
3)これは商品と試作フェーズ・完成度によります。樹脂か金属かでも判断が変わってきます。場合によっては3D Printerで事足りることもあります。 情報が少ないため的確かどうかわかりませんが、例えば樹脂でしたら比較的安価にアルミにて小ロット金型もできますので、金型作成をお勧めします。設計には色々な問題・課題が出てきますが、なるべく早期に最終形に近い状況を作るのが、結局近道です。Protolabsなど事前シミュレーションなどもやっていただけますので、ご検討ください。
5)必要です。2014 年 2 月 1 日以前は不要でした。
7)本サイトもそうですが、コンサルタント・アドバイザーは沢山いらっしゃいます。※私もそうです。このサイトの専門家からコンサルタントやアドバイザーを選ぶことが出来ます。本・セミナー・勉強会は、質問者様の製品によって異なりますので、ここではズバリ「コレ」と回答ができません。申し訳ございません。
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すべてはお答えできないので、1)3)4)についてお答えします。
但し、御社の状況、製品の具体的な内容が不明ですので、回答は一般的な内容となりますが
新製品の生産立上げプロジェクトを多数経験した立場で意見を述べてみたいと思います。
1)について
生産する製品の規模にもよりますが、一般に受注、資材調達、部品加工、組立・試験、検査
最後に出荷という工程が必要と思われます。すべて協力工場へ委託するのか、あるいは、一部
を協力工場へ委託し、組立試験、検査工程を含むメインの工程を自社内で担当するのかによっ
て管理の仕方は変わってきます。
協力工場も含めた、工程の分担、物流、商流をどうするか、まず決めることが必要と思われ
ます。
その上で、生産管理方式を決めることになりますが、自社では一切生産に関与しないので
あれば、最終製品を出荷するキーになる協力工場を選定ることにより、すべての管理を任せる
ことが可能となります。
逆に自社内で生産を行うのであれば、それなりの体制を組むことが必要です。管理はプロの
仕事ですので、専門家のアドバイスだけでは、日々の実務は難しいと思います。
3)について
材質にもよりますが、樹脂製品の場合は、数量が100個であれば、真空注型などが適している
と思います。板金であれば、簡単な治具を製作することで対応できる可能性があります。
ダイカストなど金属金型で量産する製品の場合は、最初に上記の方法、または3Dプリンタで
いくつか製作し、形状などを確認してから、金型を製作するようにします。
いずれにしても、材料、形状、試作の目的に応じて一番適した製作方法を選定することになり
ます。
4)について
協力工場を選定するには、当然QCDの要求を満足しなければなりません。
生産設備の生産能力の余力、精度管理、生産管理、品質管理、資材管理など、直接部門だけで
なく間接部門を含む工場システム全般を確認し、自社の製品の生産に適しているかどうかを
見極めます。
更に類似の製品を製造した実績があるかどうか?が大事な選定ポイントにまります。
それには、あらかじめ工場監査チェックシートを作成し、漏れなく確認を行います。
必要に応じ、財務状況やトラブルの有無なども調査を行います。
生産可能と判断した段階で、取引基本契約、品質保証契約、ライセンス契約など必要な契約を
取り交わします。
量産製造立上げは、ご指摘の通り、考えておかなければならない事が多岐にわたります。
新製品は、素早く生産立上げを行い、軌道に乗せることが重要であり(垂直立上)、市場投入
時期を逸すると、その分販売チャンスを失うことになります。
プロジェクト全般について課題解決を図り、日程通り進捗を管理するコーディネータの役割は
重要になります。従って経験豊かなアドバイザーの選定が望まれます。
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6)について回答致します。
大学との連携の形態は次の3つになるかと思います。
① 大学の技術(研究成果)を導入する。
② 大学と共同開発をする。
③ 大学へ開発や試験を委託する。
ここで、大学は企業からの委託研究(下請け)は原則として実施しません。委託研究という文言を使っている場合でも実態は共同開発の場合がほとんどです。そのため、①か②で進めることとが通常となります。
①は既に存在する大学の研究成果を導入することであり、当然ながら対価を支払わなければいけません。大学の立場ではライセンスアウト(技術導出、技術供与)、企業の立場ではライセンスイン(技術導入)となります。この際に、独占的供与(当該企業のみへの技術供与)か、非独占的供与(当該企業を含む多くの企業への技術供与)かの確認が必要です。また、大学の研究成果は基礎研究段階としての成果のものも多く、導入して直ぐに企業の事業に活用できる例は多くはありません。企業の求める仕様や状況に合わせたチューニング(摺り合わせや実用化開発など)を必要とする場合が多いことを予め理解しておくことが必要です。このチューニングを大学のアドバイスを受けながら企業側の責任で実施する場合が多いようです。チューニングに要する費用と時間、必要とされる要員、設備、大学がどこまで付き合ってくれるのか、企業の求める仕様への実現可能性などを事前に調査分析し、導入するか否かを判断することが重要です。ここで、第三者的な立場で対象技術を評価してもらうことも良いかもしれません。
②は、具体的な開発テーマやゴールとする仕様を双方協議決定し、欲しい技術をこれからプロジェクト型で開発を進めることとなります。ここでは、開発費や要員の負担割合、ゴールまでの進捗管理、成果物に対する産業財産権の所有割合と対外発表の方法などについて、合意を図れるかどうかが重要となります。通常、企業側が開発費や特許出願費用などの資金面を負担し、成果に対する産業財産権は貢献度に応じて双方が所有するという場合が多いようです。但し、通常では大学が成果物を論文や学会で発表(公表)することを希望するため、成果を秘匿したい企業側の思惑とどうバランスを取るかという点で事前に合意しておくことがトラブルを防ぐ上でも重要となります。大学側の権利を買い取って企業が独占的に実施権を確保するという方法もあります。ここでの産業財産権は特許とは限りません。特許出願から特許取得と維持管理に多額の費用と時間を要する上に出願により新技術を公開することとなるため、営業的に問題がなければ特許出願を行わずに営業秘密としてノウハウ化する戦略も最近の企業の選択肢の1つになっています。
①、②について、時期的に合えば、内容によっては公的および民間の助成金を活用できる場合もあります。該当する場合はその活用を検討してみるのも一手です。この場合、助成金のポリシーを理解し申請や提案の内容を検討することが重要です。
いずれにしましても、案件毎に対応や戦略が異なってくるため、各々の目的や状況に応じて最適な方法を柔軟に選ぶことが成功のためには重要です。さらに、企業側が必要とする仕様を大学に具体的に提示することも大事です。ここが曖昧ですと、導入や共同開発が右往左往することとなります。基礎的かつ深い研究成果や技術が大学にはありますが、産業的に利活用して行く知識や技術は企業側に圧倒的に多く蓄積されています。そのために産業的に利活用するための仕様を企業側が示し開発の方向性がブレないようにすることが重要となります。「開発のための開発」になってしまうのは企業としては避けたいところです。
もし、具体的な案件をお抱えで、詳細な内容をお聞かせ可能でしたら、より踏み込んだアドバイスも可能かと思います。
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