これまでの拡大基調の見直しを契機に、変化が起きた時に部門を
超えて自由に応援し合える風土と仕組みを築き、ボーダーレスな
組織体質を目指します。
具体的には、間接人員を生産変動対応の戦力に教育します。
従って、生産部門が間接人員の応援受け入れ準備を行います。
そこで教えて頂きたいのは、わかりやすい作業標準書を作るポイントなど
このような状況での生産部門の受け入れ準備へのアドバイスです。
よろしくお願いします。
一過性的に大量の製造が必要な場合、一時的に間接部門の人間を現場に投入することがあります。また外国人研修生・派遣労働者など今後人材の流動化が想定されます。そのようなケースを意識した分かりやすい作業標準の作成ポイントをご説明致します。
1、 分かりやすい作業標準作成のポイント
作業標準には文書マニュアルや動画マニュアルなど色々な形式がありますが、ここではそれらに共通で基本的な内容をご説明致します。
(1)作業標準は一般的に熟練者が作ることが多いのですが、ある程度の基礎組織がある前提(分かっているだろう的な)で作成するケースが大半です。ご質問に沿うような場合は、新人や初心者の観点で作成する必要があります。
(2)未経験者を現場に投入する場合、類似経験の有無が理解度を大きく左右します。従って未経験者には、まず作業の全体像と流れが分かるような作業標準が必要となります。
(3)作業標準は、未経験者でも分かりやすいように道具や作業内容に関し、動画や写真を使用することが必要です。 但し、写真や動画には多くの情報が入っていますので、必ずコメントを吹き出しや音声で入れておく必要があります。また動画は重要部分に限定し、最大でも5分以内におさめておくことが重要となります。
(4)作業標準書には、安全面を考慮した安全作業マニュアル的な意味合いのものが多いのですが、そのような作業標準はすぐに陳腐化します。作業のカンコツやノウハウを可能な限り盛り込むように心がけてください。
(5)一般的に作業標準などは、内容を知ってしまうと使われないことが多いのですが、それは内容が薄いことに起因しています。本来は、新人向け・中堅社員向け・監督者向けなどと記載内容を区別して作成し、多方面で活用できるような工夫が必要となります。
2、作業標準作成の方法について
上記で述べた分かりやすい作業標準を作成する方法として、二つの方法をご紹介致します。いずれも多くの企業で実績があります。
(1)貴社が3D-CADをお使いであれば、シュミレータで設計/製造/保守などの検証を行った上で、3Dの作業標準としてタブレット端末などにダウンロードして使用する方法があります。3D-CADのデータを活用し作業標準までデータ連動するのです。実際に、多くの企業でも使われていますが、数百万の初期投資が必要となります。
(2)作業標準などを作成する際は、製品工程分析などの手法を活用するケースもありますが、これで作業標準を作成するには、分析と作成に多大な時間がかかります。短時間で効果的に作業標準を作成する方法として、作業分解という方法があります。ものづくり.COMの技法解説にも掲載されていますので、参考にしてみてください。
以上、当方の実務経験をもとに簡単ですが整理させて頂きました。ご参考になれば幸いです。
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工場ですぐ使える品質改善技法として製造業の取り組み事例・対策の進め方の紹介を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。
「間接人員を生産変動対応の戦力に教育します」とありますが、これには動機づけが必要と考えます。なぜなら、間接部門の人員が、直接部門の仕事を応援すると言う形態は、モチベーション維持という意味でかなり難しいと考えられるからです。(経験上)
自由裁量で業務を行っている間接部門では、ある意味一定の拘束を受ける直接部門の業務に従事することは、苦痛を伴うものです。
対策としては、例えば多能工という特別に選ばれたスタッフとしてのステータスと、見合った待遇を与えることが重要となります。「応援」という業務形態ではなく「多能工」としての本業務の位置づけが重要と考えられます。
次に、受け入れ側の立場で考えると、治工具の準備や作業指示などに多くの時間を割くことになってしまい、返って負担が増すことにもなりかねません。従って工程の作業そのものの手順の明確化だけでなく
①今、作業はどこまで進んでいるのか?進捗を見える化すること
②目標として、いつまでに何をどのくらい生産しなければならないのかを明確にすること
③治工具や材料・部品の準備手順、どこから取って来るのか?を分かるようにすること
④どの作業から始めればいいのか?を分かるようにすること
など、現場の状況が即座に分かるような仕掛けづくりが必要であり、そのことがミスの防止、生産性向上にもつながります。
ボーダレスな組織体質とは、上記のような考え方に基づく「しくみづくり」が重要なポイントとなります。
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