但野様
ご質問内容で現状があまり把握できていないのですが、過去の経験から回答させていただきます。
小集団活動では大きく2つの活動があります。
① 問題解決型
② 課題達成型
私が支援企業で小集団活動を導入する場合は①の問題解決型から始めます。
現状はリーダーである但野さんがテーマ設定されているようですが、メンバーの中にはそれを問題だと感じていない方もいるかもしれません。当然問題だと認識していなければ対策案も浮かんでこないでしょう。
問題解決型から開始する理由は、
① メンバーの問題意識のレベルを合わせる
メンバーがどのような問題意識を持っているかを確認するために、メンバーから問題提起してもらいます。
② 活動を通じてカイゼンの手順の把握と能力を向上させる
メンバーの能力が低く対策案が浮かばないという場合もあります。カイゼン活動に慣れていない方は、一気に最終的な課題を解決しようとする傾向があり、何から手を付けてよいかがわからないという場合が多くあります。小さいカイゼンの積み重ねが大きな結果に結びつくという経験と小さなカイゼンで成功体験を積むことで、カイゼンて楽しいと思うようにする。自主性の育成も重要となります。更に、実施したカイゼン活動のプレゼンを実施することでカイゼンは結果より課程が重要であることを理解してもらうことが必要です。それをプレゼンの内容で確認します。なぜ、問題だと感じてどのような結果を期待して対策し、その結果がどうであったかを確認して期待値との差異を分析して残された問題が何かまでをプレゼンしてもらいます。(PDCAの訓練)これがカイゼンが終わりのない活動だと言われる理由です。
ある程度チームがカイゼン能力が身についてきてから②の課題達成型を始めています。課題も会社の方針に沿ってメンバーに考えてもらうようにすることがポイントです。メンバーには常に考える習慣を身に付けてもらうことが重要だと思います。
以上、少しでも参考になれば幸いです。
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大学や企業でのセミナー、コンサルをしている経験からアドバイスします。本サイトのQ&Aコーナー、技法記事等で同様の課題について解説しておりますが、要点のみ再整理してアドバイスします。
一般的に、QCストーリーと呼ばれる仕事のプロセスの改善ステップは、次の通りです。①テーマの選定 → ②現状把握 → ③目標設定 → ④要因分析 → ⑤対策立案 → ⑥対策実施 → ⑦効果確認 → ⑧歯止め。おそらく、アイデアが出ないことが課題ではなく、モチベーションの要因の方が優先順位が高いのではないでしょうか。多くの企業で、成果のあげられない原因がここにあります。では、どうしたらよいのか。以下に、上手くいった例の手順を列記します。
(1)アイデア出し前に、問題解決の狙い・効果を明確化する
一般的に、「アイデアを生み出すには質より量」と言われています。確かに、凄いアイデアを出している人は、その何倍も並みのアイデアを出しているのも事実です。しかし、御社のような規模の企業にとって、アイデア出し会議の時間は、非常に貴重な時間だと思います。そこで、効率的にアイデア出しを行うには、まず、問題解決の狙い・効果を明確化します。いくらコストダウンになるのか、何%の業務効率化に繋がるか等をできるだけ具体的に数値化します。会社への貢献度合いがわかれば、少なくとも何割かのメンバーのやりがいに結びつくはずです。そして、モチベ―トされたメンバーに残りの多くのメンバーが追随していくようになります。
(2)根本原因、本当の目的を特定する
不良等の問題点の解決には、なぜなぜ分析で、「なぜ?」「なぜ?」を数回繰り返し根本原因を特定します。また、どうしたいかの課題のアイデア出しの場合には、真の目的を探求する目的展開をお薦めします。具体的には、「目的の目的は?」を数回繰り返します。少なくとも、これらを実行した企業では、マンネリ化した小集団活動の打開策になっていました。
(3)アイデア出しツールとして御社に合ったものを選定する
お薦めツールを具体的に上げれば、例えばTRIZの40の発明原理です。「ぷろえんじにあ」のツールは、今まで無かったサブ原理104種類を図解した事例総数276のスマホ版40の発明原理事例集です(本サイトの技法記事 または ぷろえんじにあHP参照)。無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)でき、原理名、その意味、サマリー、サブ原理、異分野事例の5視点からアイデア出しできます。また、オズボーンのチェックリストなら多くの技術者は知っているのではないでしょうか。もの足りなければ、オズボーンのチェックリストと40の発明原の共通点を精査した図表を本サイトの技法記事に取り上げております。
(4)アイデア出し会議にはメリハリをつける
個人でアイデア出しをする方が、ブレストよりも、出てくるアイデアの数も、アイデアの質も高まる傾向を示しているデータもあるようです。その主な原因は、「他者への気兼ね」です。どうしても「自分のアイデアを他の人はどう評価しているか」が気になります。特に、権威のある人がブレストに参加すると顕著になることも示されています。つまり、短時間のブレストとブレストの間に、個人でアイデア出しする機会も設ければよいわけです。
回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂
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工場ですぐ使える品質改善技法の開発、製造業の取り組み事例・対策の進め方の紹介を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。
従来型のQCサークル活動は、様々な矛盾を抱え、すでに存続は困難となっています。
活動テーマを設定し、QCストーリーに沿った報告書を作成する活動は、発表会でいかに成果をアピールするかが問われ、そのために日常業務の小さな問題には手を付けず、また小集団では解決が難しい大きな問題は、放置されたままになっています。
QCストーリーに基づいた発表会用の資料作りを目的とした活動は、メンバーの活動への参加意欲、積極性を大きく阻害しているものと考えられます。
実際の現場の改善は、QCストーリー通りに進むことはありません。問題が発生する都度、様々な試行を繰り返し、失敗を繰り返しながら経験を重ね、最適解を求めて行く、いわば「泥臭い」活動が主体となります。その生々しい実態を知ってもらい、共有化することが大事な事なのではないでしょうか?品質管理活動の本質がここにあります。
質問者の工場では、どのような活動が行われているのでしょうか?
「メンバーの改善への参加度に積極性を感じません」ということは、少なからず、改善活動が現場の実態から離れた建前の活動に陥っているのではないでしょうか?
当研究所では、テーマを決めず、活動期間も決めず、QCストーリーを使わない新しいサークル活動のあり方を提案しています。
従来からのQCサークル活動の枠組みにこだわらず、品質改善活動のあり方、小集団による改善活動のあり方を一から見直してみることをお勧めします。
ものづくり.com技法解説 「新しい時代のQCサークル活動の提案」に詳しい内容を掲載しています。
URL https://www.monodukuri.com/gihou/article/748
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但野 様
現場の小集団活動で課題解決のアイデア出しですね。
私はクリーン化、つまりものづくりの現場で、如何にゴミを減らして歩留まりや製品品質を向上させるか。そしてその先にある企業の利益をどう追求するかということが専門です。
如何にという部分ですが、やはり多面的にものを見たり考えたりしながら、沢山のアイデアを拾い上げ、その中でできるだけお金をかけないでできる方法を提案するよう努めています。
もちろん、自分のアイデアだけでなく、国内、海外のたくさんの現場を指導する中で、どうしてこんな発想が出来るのか、改善できるのかと感心する場面も多かったです。
それらを事例として紹介したり、その現場に相応しいアイデアに置き換え提案しています。事例から学び、更に付加価値を付けるということです。
文中からは、詳細が把握できませんので、具体的なアドバイスはできません。一般的なアドバイスになりますがご了承下さい。
まず、問題解決とは現場の問題をさしていますでしょうか。例えば現場での新製品開発や作業効率、短納期化、品質向上、安全の確保などQCDSなどの改善でしょうか。
テーマによって少しずつ攻め方は変化しますね。
問題点、改善点として考えられること
まず、同じ方が長年リーダーを務めると、それ自体一つのカラーに染まりがちです。
改善は無限ですが、固定概念に縛られたり、物の見方、考え方に偏りがある気もします。
進め方やそこから出るアイデアも重複したりとなかなか斬新なものは出ない気がします。
着眼点を幾つか列記してみます。
・リーダーを交代してみる。
・ブレーンストーミングでのアイデア拾い出し。(やられていると思います)
・特性要因図を作成する時、特に小骨のところは現場で対象となるものを良く観察し作り上げていく。外の事務机では、頭の中にあることを拾うので落としていることがあったり、不確かなことや抽象的な部分が出て来ます。すると詳細部分ではさらにずれが出て来ます。
・オズボーンのチェックリストなどを活用し多面的に見る。
・無駄の排除であれば、作業分解してそこから無駄を見つける。
・動作の無駄であれば、動作経済の原則から考える。
・製品、部品等の運搬のロス改善では、活性分析、物の流れは、流れ矢線的な見方からレイアウトを検討するなど。
・ある事務機器製造会社では、どうしてもヒット商品が出ない。マンネリ化を排除したいとして、学生(特に女子大生、女子高校生)から製品開発のアイデアを貰い製品化した例があります。
こういう人たちは、キャンパス感覚でこういうものがあったらいいねと日常的に会話し、しかもそれを提案できる場があるので、色々な案を自然に出してくれます。そしてそれが商品化されるとまたキャンパスの中で話題になる。主だった営業をしなくても、あるスピードで広がる。(異分野、素人の活用)
・これは事実かどうかわかりませんが、北京オリンピックの少し前に、韓国のある企業が白黒テレビをたくさん作ったという話があります。
世の中カラー化が進み、白黒テレビはどこを探しても無いという、時代に逆行してのことです。
この理由は、白黒テレビは、電子銃で画像を作るのが日本の特許だったようですが、とっくにその期限は切れ、特許料もほとんどかからないので安価に作れる。ところがこの時代に至っても、中国の山間部、奥地ではやっと電気が通るというところがあって、北京オリンピックくらいは白黒でもいいから見たいものだ。でもお金はないという人たち向けの需要を見込んだとのことです。この真意はどうかわかりませんが、使い古しのアイデアでも見方、考え方を変えれば生きてくるという部分を参考にしたい。
・また特許や実用新案、意匠と言った工業所有権の考え方を把握しておくと、新たな見方考え方が出て来ると思います。
・或いは、過去の改善事例をまとめておき、若い人たちに指導する時の参考や掘り起こしに使うことで、更に連想することもありますね。
事例を含め気がつくことを拾いました。参考になることが一つでもありましたら嬉しいです。
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トリニティ・プログラムの野中と申します。現場改善の支援を実施している観点から、経験を元にアドバイスさせて頂きます。
(1)改善の本質を意識付ける
改善の本質は、「当たり前のことを根気よく、拘りをもってやり続ける」ことだと思います。
そのためには、現状を肯定するのではなく、現状を否定することから開始し、日々の仕事をする中で常に疑問を持ち、自分の足と目で手にとって製品や現場を確認し(三現主義)、難しい課題にも逃げずに取り組むことが大切だと思います。そのように真剣に対応すればする程、知恵が出てきます。そのような意識付けするように管理者や指導者は、常に発信し続けることが必要です。
(2)高い目標を設定する
そのような改善意識を持ち解決アイデアを出し続けるには、何のために改善を行うのかといった目標設定も重要となります。高い目標を設定し、それを「あるべき姿」として現状とのギャップを洗い出し、課題を明確にしていくのです、しかし、すぐには「あるべき姿」に近づけませんので、半年〜1年程度で解決可能な改善目標を「目指す姿」として定め、その解決に向けて解決すべきアイデアや施策を検討するのです。目標は、製造リードタイムを半減するなど高ければ高いほど効果的です(改善意識が高いことが前提ですが)。また目標は部門を越え、できれば全社的な観点での目標設定が望ましいと考えております。
(3)問題の本質を探る
解決案が出ないということは、目標設定が曖昧なのか、或いは問題点の掘り下げが不十分というケースが大半です。ではどのようにして具体的な解決のアイデアを出すかですが、ここでは現場観察を通して問題点を見つける方法をご紹介致します。我々は、「立ちん坊」と言っておりますが、製品や設備・人などの物を見て考える力や知恵を出す力を育てるため、特定の作業者を定位置に立たせ現場を観察させ、問題点や改善点を見つけ出させるのです。
我々は、改善点が見つかるまで2時間でも5時間でもその場を離れないで観察を続けさせます。また、そのようにして課題らしき物が見つかっても、「表面的な課題」というケースが多いので、そこから「なぜ、なぜ」を繰りかえし「問題の本質まで掘り下げる」のです。問題の本質まで掘り下げができれば、おのずと解決アイデアや施策は明らかになります。御社の場合、そのような掘り下げが不足している可能性があります。また改善に向けて、そのような時間的な余裕を与えることも重要となります。
このようなストーリーを通せば課題が明確になり、必ず解決のアイデアが出せると思います。我々も実践していますので、自信をもってお勧めできます。以上、ご参考になれば幸いです。
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