工場ですぐ使える品質改善技法の開発と普及活動を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。
ご質問の中には、そもそも中国工場から日本国内拠点への生産移管を行ったのは、誰がどのような基準で判断を下したのかが明記されていません。従って、1プロジェクトだけの収益性判断による部分最適の判断基準においては、会社としての全体の収益構造、人材や機械の配置、将来性などがどうなっているのかが分かりません。
しかしながら、現在担当されておられるプロジェクトの赤字早期脱却のため、収益性改善にまつわるネタ出し、新たな着眼点や目の付けどころは何か?ということが目の前の課題と考えられます。
そこで私もかつて精密機器の設計、製造を担当しておりましたのでその経験から3点についてお話させて頂きます。
1.徹底的な共通ユニット化
数千点の部品構成から成る製品は、長納期部品は2,3か月と長く、注文を受けてからの発注では、顧客の需要に対して臨機応変に対応はできません。そのために、精緻化された需要予測による部品の先行発注を行います。
重要な点は、顧客仕様に合わせて、標準ユニット化を推進することです。
標準ユニットを組み合わせることによって完全に顧客仕様に応えることを可能にすることで、標準ユニットを計画生産、一定期間在庫することが可能となります。
2.ATO生産管理方式の採用
ATO生産は、受注生産メーカーのリードタイム短縮の究極の戦略と言われています。製品の組立に必要な部品やユニットをあらかじめ先行手配、在庫しておき、製品の注文を受けた時点で、組立て生産し出荷する生産方式です。ATO生産方式採用によって、注文を受けてから、ユニットを組み合わせ出荷するまでに、リードタイムを一週間に短縮することが可能となりました。
取引先からの短納期要求に対応するため、リードタイムを短縮必要が生じた企業、また生産品種拡大、需要変動が大きいため在庫増となった企業は、オプション部品の組み合わせにより、多くのバリエーションを持たせた製品を供給可能となります。
課題としては、最終組み立て工程は、注文に合わせた柔軟な対応が必要であり、変動対応策をどのように講ずるかを考えておく必要があります。
3.セルライン生産方式の採用
柔軟な対応を行うため、ATO生産における最終組み立て工程は、注文に合わせた、セル生産ラインの構築、一個流し生産ラインの検討、営業部門と生産部門のコンセンサスを十分に取り合うことが重要です。
以上の通り、生産性を飛躍的に向上させるためには、単なる無駄取りだけでは限界があります。
上流の製品設計、市場の需要予測、営業の受注方法など、全社レベルでの改革が必要と考えます。
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