よろしくお願いします。
工場ですぐ使える品質改善技法の開発と普及活動を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。
私は医薬品製造に関わったことはありませんが、一般の工業製品でもバリデーションと同じ考え方で品質保証を行っています。
一般の工業製品の場合、品質特性を確認する方法として寸法測定、重量測定、外観検査などがありますが、この様な方法だけでは確認できないものがあります。ハンダ付け、溶接、熱処理、メッキ処理などの工程が該当し、目的の品質特性が得られているどうか検査するには、破壊試験を行うしかありません。しかし全数検査を行う場合は、それは製品として出荷できないことになります。このように破壊試験でしか特性が碓認出来ないような製造工程を「特殊工程」と呼びます。
特殊工程の品質保証はその工程の「妥当性確認」を行い、工程(設備、方法、人・・)が正しく決められた通り構成され、手順通り作業が実施されていることを証明しなければなりません。安定して品質特性を得るためには、温度湿度の変化や設備の故障や異常発生、保守点検作業、人の入れ替わりなど、起こり得る4M変動(変化点)の影響を受けないように管理方法を決め、正しく工程が維持されているかどうか証明する必要があります。
医薬品や医療機器の製造工程の場合は、目的とする製品を製造するのに最適かどうか(科学的根拠、妥当性があるかどうか)を検証する一連の業務のことをバリデーションと呼んでいますね。
ご質問の専用設備で、通常多品目の製品が混じることはなく、ほぼ毎日稼働していたとしても、上記の考え方から、製造設備や器具の残留物を定量し、定期的に洗浄する洗浄バリデーションの考え方は品質保証の手段として必要と考えられます。
但し、どの程度厳しく実施するかは、品質リスクの考え方を適用します。
品質リスクとは、品質に対するリスクを意味し、製品の使用者(患者等)に対する責任に結び付いています。
製造業者は、品質リスクを最小限とするための手順を適切に設定し、その後も継続的な改善により品質リスクを低減することに努めます。
リスクの定義は「危害の発生確立」×「危害の重大性、大きさ」で表され、危害の発生が大きくなる工程ても、発生確率を低く抑えることができれば、品質を保証することが可能となります。この場合発生確率、重大性の指標は製造する製品、設備の種類ごとに、過去の製造実績や工程トラブル、市場品質データ等を分析して製造業者自らが決定します。
これらのリスク評価の考え方は経済産業省の「リスクアセスメントハンドブック」(ダウンロード可)に詳細が記載されています。
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