工場ですぐ使える品質改善技法の開発と普及活動を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。
国内で金型を制作して、海外で成形するのは難しいと思います。
なぜなら、中国サイドでおっしゃっている通り、条件が違うからです。日本でその金型を使って成形してOKの判定をしても、中国の成形機でOKとなるとは限りません。寸法精度や外観的な品質がNGとなった場合、金型が悪いのか、成形条件が悪いのか切り分けが必要になります。その場合中国サイドでは、金型が悪いとして、責任を日本の金型の性にしてしまう可能性が大きいと思います。
また、金型が故障した時、部品が寿命になって交換が必要な時はどうするのか決めなければなりませんが、故障したからと言って、日本からその都度技術者を派遣することはできませんね。
以上のことから、安心できるメーカーに金型製作と成形を一括して任せてしまう方が良いと考えられます。
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ものづくり・工場経営&海外進出コンサルタントの中小企業診断士遠山純夫です。
成形メーカーに金型も任せることが多いですが、以下の理由で金型メーカーに製作させた金型を支給して成形させることも度々あります。
1.量産コストを安くできる成型メーカーで、金型を製作・管理する能力が少ない場合。
2.金型の技術・品質ノウハウに特殊なものがあり、特定の金型メーカーでないと信頼できない場合。
こうして成型メーカーと金型メーカーを分離せざるを得ない場合の注意点は、下記です。
a) 量産成型機の仕様と条件を明確にした上で、金型設計を依頼する(成形機によって取付穴から違う)。
b) 金型見積範囲には、発注者・使用者を含む3者検収立会条件や、補修部品、信頼性保証ショット数を明記する。
c) 金型メーカー出荷立会と量産成型メーカー受入立会の両方を実施する。
上記の条件の下で、多数の欧州企業が中国広東州に金型製作を発注して、船便で欧州に運んでいます。日本企業は、日本製の金型を中国や東南アジア現地企業で量産成型することが多いですが、私は20年も前に台湾製金型をマレーシアに持ち込んで量産したことも有ります。金型技術はアジア各国も非常に向上しています。注意すべきは実績&技術力のある現地企業とまやかしの現地企業を目利き・識別することです。原価低減には、あくなき低コスト代替手法の開拓が必要です。そこには新たなチャレンジとリスクが存在しますので、どうリスクを回避したり減らしていくのかという技術と努力が試されます。
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