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QUESTION 質問No.293

プラスチック成形物が歪んで蓋が閉まらない

生産生産マネジメント |投稿日時:
国内ベンチャー企業の会社で、組み込みプログラマ・回路設計を担当しております。中国の金型工場に、直径40cmの円型で材質がプラスチックの金型の制作を依頼しました。今年、数千回ほどショットしてたのですが、一部の成形物に歪みが生じ、製品の蓋がきちんと閉まらない不具合が発生して困っております。

なぜ成形物が歪んで蓋が閉まらないのか中国の金型工場に理由を質問してみたところ、金型の問題ではなく、成形後のプラスチックは熱を持っており、形が円だったりサイズが大きいと、保管状態によって、成形後に歪みが生じるため、金型を修正せずに保管方法を改善するという回答でした。

世の中には大きいサイズのプラスチック製品は割と沢山あるので、そんなことで歪むはずはないと思うのですが、成形後の保管状態によって歪むことはあるのでしょうか?また、歪まないように保管するにはどうすればいいのでしょうか?

私自身に金型の知識を持っておりませんので、なんとも言えませんが、単に金型を修正したくないだけのよう感じました。

※ プラスチック金型の保証ショット数は10万回と聞いてます。

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

工場ですぐ使える品質改善技法の開発と普及活動を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。

プラスチック成形は高圧力で金型の中に密閉状態で冷却されますが、肉厚や形状によって、冷却速度が異なるため、内部に歪みが残ってしまいます。これを残留応力と言います。この残留応力によって、徐々にそりが生じてしまいます。

これは金型の問題ではなく、プラスチック製品を設計する際には、肉厚をできるだけ均一化し、可能な限り薄肉とすることが重要です。
また残留応力で変形しないために、あらかじめ升目のような形状のリブを追加して補強します。異なる肉厚間の段差部に発生する応力によるそりは、スロープを使用することによって改善されます。

このような設計時の対策がされていない成形品は、成形後に残留応力を取り除く方法を用います。電気炉や乾燥機に入れて一定時間一定温度で加熱した後、徐々に温度を常温まで下げます。これを一般的にアニール処理と言います。

アニール処理における最大の注意ポイントは、できるだけゆっくりと一定の速度で温度を上げ、一定の速度でゆっくりと温度を下げることです。 急加熱、急冷却では、かえって樹脂内部の歪みを高めたり、クラックなどの発生原因となります。
樹脂別のアニール条件は、プラスチック材料で異なりますが、70℃〜150℃、数分間が目安となります。




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

「成形後のプラスチックは熱を持っており、形が円だったりサイズが大きいと、保管状態によって、成形後に歪みが生じるため、金型を修正せずに保管方法を改善するという回答でした。」
その通りですが、改善は簡単ではありません。

原因は、残留応力の分布です。

鉄鋼材料、アルミ材料、・・・では、
 超音波刺激による均一化が行われている成功事例があります。
 (超音波を利用したアルミダイキャスト装置もあります
  アルミの場合、強度の向上改善が大きく、普及しています)
 エンジニアリングプラスチック・・樹脂でも事例があります。

残留応力処理以前に
 (保管工程を含めた)成形工程の
 (常温から常温までの)温度管理を推奨します。

このデータに基づいて対策を行った事例があります。

追記
成形後、常温までの工程は、各社様々な工夫があります。
成形物の特性に合わせて
 ゆっくり均一に冷却していくと改善が進むと思います。